表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/131

11 最後の復讐へ2

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!」


 ユーノの苦鳴が響く。

 奴の両足が、さっきのファラ同様に真っ黒になっていた。


 まずは逃げられなくする。


「次は──その右腕だ」


 奴が新たに手に入れた、腕。


 おそらく、生身の肉体ではなく【光】の力の結晶のようなものだろう。

 そこさえ破壊すれば、もはやユーノが俺を倒せる可能性は消える。


 俺は【固定ダメージ】を奴の右腕に集中させた。


 破壊する。

 破壊する……!

 破壊する──!


 強い意思を送りこむ。


『させるか』


 ユーノの前に人影が現れた。


 ずんぐりと太った男だ。

 俺が注ぎこんだ意思は、彼の全身からあふれた輝きによって弾き散らされる。


 こいつ……!?


「ヴァーユ……だったか」


 俺の【闇】に宿る『端末』ラクシャサと同じく、ユーノの【光】の端末だ。


「主人を守ろうというわけか」

『私たち端末は【光】や【闇】の宿主の精神力があって、初めて具現化できる』


 と、ヴァーユ。


『だからユーノに消えてもらうわけにはいかん。せっかくここまではっきりとした形で存在できるのだ。これを逃せば、また不安定な存在のまま『白の位相』を漂い続けることになる……何百年か何千年、あるいは永遠に──』

「要は幽霊みたいな存在になる……いや、戻るということか。お前はそれを恐れている」

『当然だ。具現化状態を失うことは、私にとって死に匹敵する恐怖!』


 吠えるヴァーユ。


「死に匹敵する恐怖? なら──実際に死んでみるか?」


 俺はゆっくりと彼に近づいた。

 黒い鱗粉がヴァーユにまとわりつく。


『無駄だ、我ら端末は不死にして不滅の存在。いかに【固定ダメージ】といえど、私を破壊することは──ぐうぅっ、おおおおおっ!?』


 勝ち誇りかけたヴァーユは、次の瞬間、苦鳴を上げていた。


「以前の俺のスキルは『対象に9999ダメージを与える』──それだけだった」


 俺はのたうちまわるヴァーユを見下ろす。


「だが【闇】のすべてを解放した今は違う。【固定ダメージ】は以前とは比べ物にならないほど深化し、そして進化した。これこそが──真の【固定ダメージ】だ」


 ダメージ量は自由自在。

 効果範囲は変形可能。


 そして──どんな対象だろうと確実に破滅するだけのダメージ量を送りこむ。


『これほどまでの、【闇】を……人間が、これほど強大な……力を……」


 ヴァーユの声が次第に弱々しくなっていく。


【光】の端末──。

 俗っぽい言い方をするなら、こいつは『天使』に似た概念なのかもしれないな。


 だが、関係ない。


 神だろうと天使だろうと、立ちふさがる者は蹴散らす。


 あらゆる敵を排除して、必ず復讐を果たす。


『馬鹿な……消されてしまう……跡形もなく……こ、この私が何もできずにぃぃぃぃっ……!?』

「消えろ」


 俺は冷ややかに告げた。


 黒い鱗粉が奴を囲み──。


『ぐうううっ……無念……』


 苦鳴とともにヴァーユは完全に消滅した。


「そ、そんな……ヴァーユ……!?」


 ユーノがうめく。


 俺はさらに意思を強める。

 今度はユーノの右腕が砕け散った。


「くううっ……!?」

「これでお前が頼れる者はいなくなったな。頼みにしていた新しい右腕も消えた」


 俺はニヤリと笑ってユーノに向き直った。


「さあ、復讐を続けよう──」


 まだまだお前には痛い目にあってもらうぞ、ユーノ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。







Mノベルス様から書籍版・全3巻発売中です! 画像クリックで公式ページに飛びます
5nsm9ikyhyex6cuw779ybmn5kyeb_gcs_160_1pw_9ggn



コミック最終6巻、発売中です!
hsvpgtig5jf9fm1l08o7y6i1prn_2k2_1d2_1xr_l0kf.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] 勇者ザマアァアアアアアアアア
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ