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一里塚

作者: 竹下千代

人によっては不快な内容かもしれません。年齢制限がつく、というわけではございませんが、ご了承ください。

彼女は学校のことを『一里塚』と呼ぶ。


ちょうど家から4キロのところにあるからだそうだ。


「それだけじゃないけどね」


と、彼女は苦笑しながら続けた。


「私が死ぬまでの一里塚だよ」


この子は、まだ花の女子高生のくせに、『死』についてよく話題にする。


そして、彼女の家庭教師である私は、仕事とは


全く関係ないのに、彼女の自分が存在しなくなることについて


の話に、凝りもせずに乗る。



「私が生まれて初めて『死』を覚悟した瞬間は、いつだと思う?」


今日も彼女は、どうでもいいことのように私に話題を振った。


「さあ……、車にひかれかけたとか?」


「違う。母親に、私が描いた絵が見つかった時だ」


どうでもいいが、どうして彼女は、4つも年上の私に敬語を使わないのだろう。


「小5の時のことだった。車にひかれた猫の死骸をスケッチしたものだったんだが、


3時間正座の罰だった。あれはきつかったなあ」


彼女の変人っぷりは小学生の時からすでに開花していたらしい。


「なんでそんなものを絵に描いたんだい?」


彼女は遠くを見ながらつぶやいた。


「私も、いつかああなることを忘れないためだよ」


それから、彼女は、憑き物が落ちたように数学の問題を


解き始めた。


話題は初老の紳士のように枯れているのに、


彼女の数学の試験の点数は一桁から上がることがない。


彼女が、『死』の前に、長い長い『生』があることに気づくのは、いつだろうか。


できれば、その瞬間に、私も立ち会いたい、と思った。


<了>

思いついてパーッと書いたので、支離滅裂かもしれません。

お読みいただきありがとうございました。

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