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王子様のロマン(シナリオ版)  作者: 運転手
1年 1学期
7/28

5月1週目(休日)

主要キャラクターが出揃いました。


セミ子

「お姉ちゃん、休みだからっていつまでも寝てたらだめだよ! 起きて!」

ボブ子

「……せっかくのお休みなのに」

セミ子

「せっかくのお休みだから、寝てたらもったいないよ! セミといっしょにお出かけする約束もしたでしょ!」


 休日の朝から、セミ子は元気だなぁ……。

 ベッドでぐずぐずしている私を無理矢理起こしかと思うと、朝ごはんを手ずから食べさせる勢いで急かし始めた。


セミ子

「はやくはやく」

ボブ子

「はいはい」


 私はセミ子に引っ張られて、家の近くの公園までやってきた。いつも通学の途中に見かけていて、気になっていた場所だ。

 よく晴れた休日ということで、多くの人が公園に来ていた。犬の散歩に来ている人や、ジャージ姿でランニングをしている人、青い芝生の上にレジャーシートを広げてお弁当を楽しんでいる人もいる。


セミ子

「見てみて! お姉ちゃん、噴水があるよ!」


 アーチをずっとくぐっていった向こうにある、中央の噴水を見つけてセミ子が大喜びで飛び跳ねる。そして私の腕をぐいぐいと引っ張った。


セミ子

「ねぇねぇ、お姉ちゃん! あっち行こう!」

ボブ子

「わかったから、そんなに引っ張らないで」


 近づいていくと、遠目には小さく見えていた噴水がなかなか大きいのが分かった。さらさらと水の音が耳に心地よくて気分が自然と落ち着いてくる。陽光を浴びて、水しぶきが宙にうっすらと虹をつくっていた。


セミ子

「あれ、だれかいる……」

ボブ子

「本当だ」


 セミ子の言う通り、噴水の前に立っている男の子が立っている。染められた銀髪がとてもよく目立つ。背中には大きな黒い鞄――ギターケースを背負って、片足を噴水の端に乗せてじっと噴水がつくりだす虹を眺めている。


???

「虹だ」


 ……なにか喋っているみたいだけど、よく聞こえない。なにを呟いているんだろう。


???

「虹を見てると、インスピレーションが湧いてくるぜ!」


 男の子は腕を伸ばして、ギターケースの中からギターを取り出した。そして指を鳴らすように、弦をはじく。

 ギターの練習でもするのかな……。



選択1⇒「邪魔しちゃいけないよね」

選択2⇒「近くで聞いてみようかな」



●ルート2「近くで聞いてみようかな」

 男の子は水に濡れるのもお構いなしに噴水の縁に腰かけて、ギターを鳴らしている。ぼそぼそと呟いているのは、歌……?



選択1⇒「なに、このビート……」

選択2⇒「落ち着く声だな……」



●ルート2「落ち着く声だな」

 静かで透明感があって、とても真っ白な声。なんだか聞いたことがあるような声かも……?

 あれ、でもあの男の子に見覚えは無いから、誰か似ている声の人が近くにいたかな? 最近聞いたことがある声かも。


???

「なぁ、お姉さん」


 男の子がふいに顔を上げて、呼びかけてきた。お姉さんって――周りには誰もいないから、私なのかな。

 私がきょろきょろとしていると、男の子が笑って手招きしてきた。


???

「そこのお姉さんで間違ってないよ。こっち来て」


  私がおそるおそる近づくと、ギターを抱えた男の子がずいっと顔を近づけてきた。よく見ると顔がまだちょっと幼い……同じ年か年下なのかも。


???

「俺の歌、聞いてた?」

ボブ子

「あ、ごめんなさい。ちょっと気になっちゃって」

???

「あはは! そんなの全然いいって! 聞いて! 俺さ、いまバンドの曲をつくってるんだ。なんか感想とかある? どんなとこがよかった? 俺はサビのところとか、気に入ってるんだ」

ボブ子

「えっと……」


 歌詞はあんまりよく聞き取れなかったんだよね……。感想といえば――


ボブ子

「声が、すごく素敵だった」


 そういうと男の子は、ちょっと悩むようにうーんと唸った。あれ、あんまりいい感想じゃなかったかな。


???

「俺も、自分の声は好き。この声は結構気に入ってるよ」

ボブ子

「えっと、ごめんね。あんまり上手く感想が言えなくて」

???

「いいんだ。声を褒められるのって、歌う人間としては嬉しいし! あっ、もう時間だな」


 男の子はギターをケースに戻して、背負い直す。

???

「じゃあまた、お姉さん」


 ひらひらと手を振って去っていく男の子の背中に、一応私も手を振っておいた。

 あの子、いつもここで歌の練習をしているのかな。


セミ子

「お姉ちゃん、セミお腹すいちゃった。帰ろう」

ボブ子

「うん、そうだね」


 セミ子と手を繋いで家に帰るとお母さんがオムライスを作って待っていた。

 それにしてもあの男の子の声、なんだか引っかかるんだよね。



 明日は学校か。

 もう寝よう。

他選択だったら……



●???の男の子がギターを取り出したとき、「邪魔しちゃいけないよね」と思ったら、

⇒省略。

 家に帰ってオムライスを食べます。



●???の男の子がギターを鳴らしたときに「なに、このビート……」と思ったら、

 彼の鳴らすギターの音色に、私の心がざわつく。駄目よ、押さえて、ボブ子。こんなところではしたないわ。

 心臓のあたりをぎゅっと手で押さえて、どくりどくりと脈打つ自分を静める。

 ああ、隣のセミ子がつぶらな瞳で私を見てくる。姉として、妹に醜態を見せる訳には……。


選択1⇒「もう、帰ろうか」

選択2⇒「――もう我慢できない」



●ルート1「もう、帰ろうか」

 息も切れ切れという風に私がそう言葉を吐き出すと、セミ子が心配そうにこちらを見上げながらこくりとうなずいた。ああ、この子に心配をかけてしまうなんて姉失格だわ。でも、あれ以上あそこにいてはいけなかった。

 あのビートは、私を狂わせるわ……。



●ルート2「――もう我慢できない」

  私はずんずんと男の子に近づいて、ギターを奪い取った。

???

「え、誰? っていうか、ギター……」

ボブ子

「ちんけなビートを響かせないでくれる? あんたの魂のビートはそんなに頼りないっていうの? 生きるってそういうことじゃないでしょう! 生きた魂のビートっていうのを見せてあげるわ!」

 大きく腕を振りかぶって、一気に指を叩きつける。空間を私のビートが包み、支配していく。

???

「もしかしてギタリスト……?」

ボブ子

「いいえ! 今日はじめてギターに触れたわ! だからなんだって言うの! 魂を表すのには、自分という存在を叩きつければいい! ただそれだけのことなのよ!」


 かき鳴らす。

 世界の音が聞こえる。全ては私。私は全て。

 だんだんと周りに人が集まってきて、ギターに合わせて手拍子をし始めている。男の子は端っこの方で体育座りをしているのが、ちらりと見えた。

 最後の一音を震わせると、ぱっと一斉に周りから拍手が贈られる。……無我夢中で、演奏中の記憶が飛んでしまっていたわ。

 額の汗を拭っていると、スーツを着た一人の男が私に近づいてきた。不審に思う私に、その人は名刺を差し出す。


「さきほどの演奏、素晴らしかったです! その音を世界に届けてみませんか! 私とあなたが一緒に、ギター一本で革命を起こすんです!」

ボブ子

「革命……」


 男は熱心だった。両親に私の持つ才能を熱く語り、何度も頭を下げた。両親も最初は渋っていたが、私も一緒になって頼み込むと了承してくれた。

 学校は中退した。ギター一本を持って都会へ旅立つ。ここからがスタートだ――私は世界に革命を起こす。

 ……ところでこのギター、あの男の子からもらってきちゃったんだけどよかったのかな。

【BADEND2 ギター泥棒は革命少女】

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