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王子様のロマン(シナリオ版)  作者: 運転手
1年 1学期
4/28

4月2週目

ボブ子

「いってきまーす」

セミ子

「いってきまーす」


 家を出ると、セミ子がくるりと私を振り返った。


セミ子

「今日は帰ったら私のところに来てね。いいことがあるよ」


 手を振って学校へ向かう背中を見送った。セミ子はたまに不思議なことを言う。

 さぁ、今日も一日がんばるぞ。




 [・・・ロードします・・・]





 教室につくと、今日も練絹君が自席から窓の外を眺めていた。風景を見るのが好きなのかな?

 同じクラスになって一週間。彼は見るたびに、一人で窓の向こうを眺めている。


伊藤忠良

「みなさん、おはようございます」


 チャイムが鳴ると、伊藤先生が教室に入ってきた。


伊藤忠良

「今日は、みんなの実力テストの結果を返却します。それでは出席番号順に返却するので、名前を呼んだら前まで来てください」


 三番目に名前を呼ばれた私は、こわごわと返却された実力テストの点数を見る。

 こ、これは……! びみょう。


伊藤忠良

「今回のテストの順位結果が張り出されています。気になる人は見に行ってくださいね。それじゃあみなさん、今日も良い一日を過ごせますように」


 実力テストの順位結果かぁ。職員室前の廊下に張り出されているみたい。見に行ってみようかな。





 [・・・ロードします・・・]





 職員室前の廊下に、たくさん人が集まっていた。やっぱりみんな、順位が気になるんだね。

 えっと私の順位は、下から数えた方が早いかな……。

 下から順番に自分の名前を探していって、ちょうど真ん中あたりに自分の名前があった。一学年約200人の中で、100位。本当にど真ん中だな……。


下前学

「なんということだ……」


 隣から、この世の終わりを嘆くような低い声が聞こえてきた。

 ど、どんなに成績が悪かったんだろう。そう思ってその人の顔をのぞいてみると、それは見たことのある眼鏡の男の子だった。


下前学

「まただ。また、2位になってしまった。まだ僕の努力が足りないというのか、練絹とかいう奴はいったい一日にどれだけの勉強をしているというんだ」

本田サルシス

「そんなに落ち込むことないじゃない、学くん! 2位というのもなかなかいいじゃないか、ボクは大好きさ! 2という数字はかっこいい!

ほら、かっこいい人間のことを二枚目というだろう!」


 眼鏡の男の子の隣には、前と同じく金髪碧眼の彼がいた。演じるような大げさな身振りをしながら、眼鏡の男の子を励ましている。


下前学

「下手な励ましはやめたまえ、本田。……そろそろ教室に戻ろう、次はとても残念なことに体育の授業だ」

本田サルシス

「学くんは体育が苦手なのかい? それならボクがめいいっぱい、体育の時間を輝かせてあげようじゃあないか!」

下前学

「……授業中には、僕に絶対に絡まないでくれたまえよ」


 なんだか目を引く二人組だなぁ。そう思ったところで、予鈴がなった。

 あ、次の授業は私のクラスも体育だった。しかも隣のクラスとの合同じゃなかったっけ。もしかたら、あの二人組のクラスと一緒……?





 [・・・ロードします・・・]





 合同体育の時間。

 私が思った通り、あの二人組を見つけた。


女子A

「あの隣のクラスの金髪の人、ハーフかな。背が高いね」

女子B

「ね、モデルさんみたい」

女子C

「でも、私はやっぱり練絹君の方が好みかも」


 こそこそと女の子たちが噂していると、前で説明をしていた体育の先生が大きく咳払いをした。


教師A

「そこ、静かにしなさい。……よろしい。今回の授業では短距離走のタイムを計る。しっかり準備運動をして、怪我をしないように気をつけなさい」


 短距離走かぁ。春休みには全然運動していなかったけど……。



選択1⇒「がんばって走ろう」

選択2⇒「無の境地に入ればいいのよ」



●ルート1「がんばって走ろう」

 よしっと気合を入れて、スタートラインに立つ。

 パンッとピストルの音ともに地面を蹴る。走って、走って、ゴール。

 記録は9・33秒。中学の時よりも遅くなってる……。

 女子の短距離走が終わると、次は男子の番だ。

本田サルシス

「はははは! この本田サルシスの走るタイムは計れても、無限に溢れ出る美しさまでは計れないのだよ! なぜならボクの美しさには限りが無いのだからね、宇宙のように!」


 肩よりも長い金髪をポニーテールにした本田君は、バサッと髪をかきあげてポーズをとる。な、なんかすごいなぁ、あの人。

 ピストルとともに颯爽と走っていく姿は、なぜか背後にバラの幻影が見えた。

 次の走者は、本田君と一緒にいたあの眼鏡の男の子だった。憂鬱そうに地面を見つめながら、スタートラインに立っている。

 ピストルの合図とともに走り出す彼の姿は――陸にあがってしまった河童みたいに拙かった。

 って、あ!


教師A

「下前! 大丈夫か、立てるか!」


 眼鏡の男の子、下前君はまるで見本のように滑ってこけた。地面に手をつくこともできずに、頭から。

 しばらく倒れたまま動かなかった下前君は、ゆっくりと地面に手をついて体を起こした。


下前学

「眼鏡……。眼鏡がすっぽ抜けていってしまった。いや、現実を直視しないためにも、今は眼鏡が無い方がありがたいのかもしれない……」


 よろよろと立ちあがる下前君に、本田君が手に何かを持って走り寄っていく。

本田サルシス

「学くん! キミの眼鏡はここだよ! 大丈夫、ボクが保護してあげたからには眼鏡は無事さ!」

下前学

「ありがとう、本田。助かった」

本田サルシス

「それにしても、学くん! 見事なこけっぷりだったよ! 一種の芸術性すら感じた!」

下前学

「なぜ、その話題を出すんだ本田! 君はもう少し、人の機微に注意したまえ!」

本田サルシス

「どうして怒るんだい! 面白いこけ方をしたキミを、こんなにも褒めているのに!」

下前学

「いいからその口を閉じたまえ!」


 下前くんが大声を出せるぐらい元気があることを確認すると、体育の先生は男子の短距離走を再開させた。

 次は練絹君の走る番だ。うちのクラスの何人かの女子が応援の声をあげている。



 選択1⇒「応援、しようかな」

 選択2⇒「心の中で祈っておこう」



●ルート2「心の中で祈っておこう」

 テレパシーで私のアドバイスが届けばいいけど。


ボブ子

(聞こえていますか、練絹君。早く走るコツは、無に入ることです。己を捨てるのです。その先にたどり着いてこそ、あなたは真の力を引き出せるでしょう。まずは解放感に身を委ねなさい)


 一通り、テレパシーでのアドバイスを伝える、するとそれを感じ取ったのか、一瞬だけ練絹君と目が合った気がした。

 ピストルがパンッと鳴ってすぐ、練絹君はあっという間にゴールまでたどり着いてしまった。あまりにも早くて、風に乗っているかのようだった。

 記録は――5・8秒。男子の中でも飛びぬけてすごいタイムを叩きだしてしまった。近くの女の子たちはきゃあきゃあと喜んで、ほかの男子たちは面白く無さそうな顔。

下前学

「練絹は、勉強もできればスポーツもできるのか……」

本田サルシス

「大丈夫さ、学くん! キミのこけ方は誰にも真似できない!」

下前学「いい加減にしたまえ、本田!」


 練絹君は周りの声なんか聞こえていないかのように、表情一つ変えずに空を見上げている。その視線の先を辿っていくと、一匹のモンシロチョウがひらりと舞っていた。





 [・・・ロードします・・・]





 お昼休みだ。どうしようかな。


選択1→教室

選択2→屋上

選択3→職員室



●屋上ルート

 屋上が気になるなぁ。

 ガチャガチャ

 屋上は鍵が閉まっていて入れないみたい。





 [・・・ロードします・・・]





 帰りのホームルームの時間になった。

伊藤忠良

「今日も一日お疲れさまでした。明日また会いましょう、さようなら」

 さて、放課後は……。



選択1⇒「部活」

選択2→「校内散策」



●部活

 部室に行くと、クマの着ぐるみを着た先輩が出迎えてくれた。

エンクマ

「やぁやぁ、正式入部おめでとう。新しくやって来た君たちにやってもらうのはーーそう。筋トレだ」

ボブ子

「筋トレ、ですか」

エンクマ

「演劇なめちゃいかんよ。動いたり、大声出したり、めちゃ体力使うから」

ボブ子

「そうなんですね」

エンクマ

「そうそう。お、頑張ってるじゃん、期待の新人」


 クマ先輩がそう言ったのは、本田サルシス君だった。言われた通りに腹筋をしていて、その一生懸命な姿に感心した。真面目なんだね。


エンクマ

「おつかれー。頑張りすぎんなよ。ほどほどに休憩をいれてーー」

本田サルシス

「お気遣いありがとうございます」


 ぱしっ

 熊先輩が肩を叩こうとした手を払って、また腹筋に戻ってしまう。


先輩A「お、がんばってんじゃん。おつかれ」

サルシス「はい、ありがとうございます!」


 そして話しかけてきた他の先輩には笑顔で対応。

 払われた手を無言で見つめ、熊先輩は静かに戻ってきた。


エンクマ

「あれ。俺の何がダメだった? 怒らせた? イケメン怒ると、ちょー怖いんだけど」

ボブ子

「き、きっと、機嫌が悪かっただけですよ……」

エンクマ

「えー……。他のやつには笑顔だったんですけど」


 熊先輩はがっくりと肩を落とした。

 一体、どうしたんだろう……。

 その後も部活を頑張った。





 [・・・ロードします・・・]





 たしか帰ったら、セミ子が来てほしいって言ってたよね。


セミ子

「お姉ちゃん、おかえり」

ボブ子

「ただいま。私になにか話しでもあるの?」

セミ子

「最近、お姉ちゃんの様子があやしいなと思って」

ボブ子

「あやしいって……」

セミ子

「気になる人でもできた?」

ボブ子

「ちょっと、どこでそんな言い方覚えてきたの?」

セミ子

「だから、協力してあげる。いつでも私のところに来てね。お菓子をごほうびにくれるなら、相談にのるよ。定番おやつのプリンとかね」


 セミ子ってば、いつからあんなにませちゃったのかな。そもそも気になっている人なんていないし、……たぶん。



 もう今日は寝よう。おやすみなさい。

他選択だったら……



●短距離走でボブ子が「無の境地に入る」と、

 思い出しなさい、私。中学の体育教師が言っていたじゃない。走ることに苦しみを覚えてはいけない。体という殻から解き放たれ、その解放感に喜びを覚えれば自然に早くなると。そう、自分の呪縛から解き放たれる時がきたのよ!

 パンッとピストルの音と友に地面を蹴る。自分から抜け出す、自分から抜け出すのよ、わたし! ああ、体が軽くなってきた! この解放感が清々しい!

自然と浮かんできた喜びの笑みとともにゴール。

 記録は9・33秒。中学の時よりも遅くなっているけど、ちょっと真理には近づいた気がするわ。

【ボブ子は真理に近づきます】



●練絹八十君を「応援、しようかな」と思ったら、

ボブ子

「が、がんばれ」


 恥ずかしくて、ちょっと声が掠れてしまった。他の女の子の声援に紛れてしまうような小さな声。

 だけど一瞬だけ、練絹君と目が合った気がした。

【ロマンチックになります】



●お昼休みの行動は毎週あるので省略します。

 回数で変化あり。

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