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王子様のロマン(シナリオ版)  作者: 運転手
1年 2学期
21/28

9月1週目

2学期になりました。

この辺りから文字数が多くなるので、ルート分岐補足は番外編ですることにします。

 夢を見た。昔の夢。

 私は壊れた人形を抱えて、泣いていた。私の隣には男の子が座っていた。


???

「泣かないで」


 男の子は、持っていたバンソウコウを人形に貼ってくれた。これで、もう人形も痛くないから大丈夫だよって。そう言って笑ったのにつられて、私も笑った。

 仲が良い男の子だったと思う。でも、お母さんに聞いてもそんな子知らないって言うから。だから忘れてしまった。ごめんなさい。忘れてしまっていたの。

 ――……



セミ子

「お姉ちゃん、起きて! 今日から学校だよ!」

ボブ子

「……セミ子? あれ、もう朝!」

セミ子

「そうだよ! ほら、朝ごはんがもう出来てるよ!」


 夏休みも終わって、今日からまた学校だ。

 ……あれ、私なにか夢を見ていたような。なんだっけ? まぁ、いいか。





 [・・・ロードします・・・]





セミ子

「久しぶりだと、なんだかドキドキするね! いってきまーす」

ボブ子

「いってきまーす」


 今日は始業式だけだからすぐ学校が終わるな。帰ったらどうしようかな。

 そんなことを考えていると、りんりんと自転車のベルが鳴らされた。曲がり角の先に、同じく自転車通学の啓太先輩がいる。


桂木啓太

「おはよう、ボブ子さん。久しぶりだね」

ボブ子

「おはようございます、啓太先輩。お久しぶりです」

桂木啓太

「ふふ。学校があるのはいいよね。またこうしてボブ子さんの顔を、当たり前のように毎日見ることができるから」

ボブ子

「そう、ですか?」

桂木啓太

「うん。あ、そうだ。今日の放課後って予定あるかな?」



 選択1「ありません」

 選択2「あります」



●選択2「あります」

ボブ子

「ごめんなさい。ちょっと予定があるんです……」

桂木啓太

「そっか。残念だな。でもしょうがないよね」

ボブ子

「本当にごめんなさい。何の用事ですか? 大事な事なら、今度付き合いますよ」

桂木啓太

「ううん。大したことじゃないんだ。ただ一緒に帰りたいなって、それだけ。気にしないで」

ボブ子

「そう、ですか? また今度誘ってくださいね」

桂木啓太

「うん。またいつか一緒に帰らせてね」


 啓太先輩と学校まで一緒に登校した。……ちょっと悪いことしちゃったかな。

 ちょっと気が引けて、嘘ついて断っちゃった。





 [・・・ロードします・・・]





 始業式で校長先生の長い話を聞いた後。久しぶりの伊藤先生のホームルームだ。


伊藤忠良

「みなさん、元気にしていましたか? 先生は今日、皆の顔が見られて元気もりもりです。明日からまた授業ですね。夏休みの夜更かしがクセになって、遅刻しないようにね。明日また会いましょう。さようなら」


 さて放課後になったし……



⇒次から「選択」を選ぶ

選択1「学校に残る」

選択2「寄り道して帰る」

選択3「まっすぐ帰る」



●選択1「学校に残る」

 ちょっと学校に残っていようかな。だって、今帰ると日差しがきつそうだし……。夕方の日差しが弱まるまでどこかで時間を潰そうかな。

 窓越しに遠くを見ると、暑さでゆらゆらと景色が揺らいでいる。蝉もまだ元気にジーコジーコ鳴いているし、まだまだ夏って感じだよね。早く涼しくならないかなぁ……。

 そう思ってぼんやりしていると、突然むわっと暑い空気が顔にかかった。え? 教室はエアコンが効いているはずなのに……? 誰かが窓を開けた? 

 窓の方を見ると、八十君が窓を開けて外に手を伸ばしていた。って、あれ? 身を乗り出し過ぎじゃないかな? あれじゃあ落ちちゃいそう。


ボブ子

「八十君! 危ないよ! 何してるの?」

練絹八十

「あ、こんにちは五津木さん。大丈夫です。もう取れました」

ボブ子

「取れたって、なにが……」


 八十君の手の中にあるものを見て、思わずぎょっとした。せ、蝉……!


練絹八十

「蝉の抜け殻です。綺麗ですね。窓の近くの木の枝にあったので、取りました」

ボブ子

「だからってあんなに身を乗り出したら危ないよ。気をつけてね」

練絹八十

「落ちませんよ?」

ボブ子

「だめ。見ていて心配だもの」

練絹八十

「心配、ですか。不安なことはいけませんね。……ごめんなさい。五津木さんが困るのなら、もうしません」


 素直にぺこりと頭を下げる八十君。さらさらと白い髪は太陽の光を受けて、まるで透きとおった蝉の抜け殻みたいに綺麗だった。




 [・・・ロードします・・・]





 家に帰ると、先に帰っていたセミ子がリビングでソファに寝転がっていた。その手には、なにかカラフルな缶バッジが握られている。


セミ子

「あ、お姉ちゃん、おかえり」

ボブ子

「ただいま。何を持ってるの、それ」

セミ子

「これ? 久しぶりに会った友達からもらったお土産! その子、ちょっと人とセンスがずれてるんだよね」


 手の中の缶バッジをくるくると指で回している様子は、ちょっと不満そうな言葉とは裏腹に嬉しそうだった。久しぶりに友達に会えて嬉しかったのかも。

 私も、久しぶり今日話せてよかった。夏休みで、しばらく会えてなかったもんね。



次回本編更新は4月12日です。

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