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王子様のロマン(シナリオ版)  作者: 運転手
1年 夏休み
19/28

夏の部活動(8月3週目)

8月2週目は省略しました。

また、他部活のルートは後日番外編に投稿しました。

セミ子

「おはよう、お姉ちゃん!」

ボブ子

「おはよう、セミ子」

セミ子

「お姉ちゃんって今日は用事があるんだよね?」


 そう。今日は夏休みの部活動の日。部活も久しぶりだなぁ。

 自転車に乗って学校に向かった。

 もうすぐ演劇の夏の大会がある。今日はそれに向けての最後の練習だ。


ボブ子

「おはようございます」

エンクマ

「おはようっす! 今日もあっついなぁ」


 出迎えてくれたのは、こんなに暑い夏の日でもクマの着ぐるみを着ているクマ先輩だった、うちわで煽いでいるけど、着ぐるみ越しに風って感じられるのかな。


エンクマ

「五津木は、裏方だったな。照明役だっけ?」

ボブ子

「はい。照明を切り替えるだけなのに、すごい緊張しますね……。間違えちゃったら、どうしよう」

エンクマ

「そんなに緊張すんなって。一年のことは俺達先輩がフォローするから!」

ボブ子

「そうですね」


 そこまで言ったところで、部長からの集合がかかった。全員で舞台前に集まると、まず準備運動として学校の周囲を三周するらしい。


ボブ子

「三周かぁ……」

本田サルシス

「やぁ、おはよう! 五津木くん! なんだか元気がないけど、どうしたんだい?」

ボブ子

「こんな暑い中、外を走るのはきついなぁって。夏休みちょっと筋トレとかサボりがちだったから体力が心配」

本田サルシス

「ボクは心が弾んで疲れるどころじゃないよ! もうすぐ先輩達といっしょに演劇が出来て、大会に出られるんだ! 早く練習がしたいね!」

ボブ子

「サルシス君は一年生で数少ない役をもらえたもんね。確か、従者役だったっけ?」

本田サルシス

「そう、台詞は少ないけどね! 先輩達に遅れをとらないように頑張るさ!」


 サルシス君、本当に嬉しそう。演劇をするのが本当に楽しみみたい。そうやっているサルシス君を見ていると、私もなんだか楽しみになってくる。練習、頑張ろう。


本田サルシス

「せっかくだから、一緒に走ろうか」

ボブ子

「そうだね。誰かと一緒に走ったら、少しは気分的に楽かも」

サルシス

「それだね! じゃあ、ゆっくりのペースで行こう!」


 外に出ると日差しがきつくて、勝手に汗が出てくる。先輩たちがあっという間に走ってしまう中、私は最後尾をとろとろ走る。うう、きつい……。


ボブ子

「遅くてごめんね。サルシス君、先に行ってくれてもいいんだよ?」

本田サルシス

「気にしないでくれたまえ! ボクも誰かと楽しみながら走りたいだけだから!」


 サルシス君はほとんど汗もかかずに涼しい顔で私を気遣ってくれる。サルシス君って見た目よりも体力あるんだよね。息が全然切れてない。

 まぁ、あれだけ演劇部で練習していたら当たり前か。


先輩A

「サルシスの言う通りだな。辛いばっかりだと、モチベーションが下がるだろ? できるだけ楽しみながらやるのがいいぞ! これから一日中練習だからな!」


 一番後ろで監督している先輩もうんうんとサルシス君の言葉にうなずく。それにぱっとサルシス君が嬉しそうな顔をする。


本田サルシス

「そうですよね、先輩! ボクはこうやって演劇部で走るのも楽しくて、今から最高の一日になる確信しています!」

先輩A

「サルシスは大げさだなぁ! いい後輩が入ってきてくれて、先輩としては嬉しい限りだ!」

本田サルシス

「ボクも嬉しいです!」


 そうやって楽しくジョギングしていると、同じく最後尾グループで着ぐるみのまま走っているクマ先輩が近づいてきた。……最後尾とはいえ、よく着ぐるみのまま走れるよね。すごい。


エンクマ

「本当にサルシスは偉いよな。いつも朝早くから来るし、俺もがんばらないとなぁ」

本田サルシス

「すいません。暑苦しいので、近づかないでいただけますか」

エンクマ

「あ、はい。着ぐるみですいませんでした……」


 しょぼんと肩を落として離れていくクマ先輩……。

 サルシス君は本当に、クマ先輩にだけ冷たいよね。もう部内でも、お決まりの態度になっちゃったけど。



選択1「クマ先輩、優しいよ?」

選択2「クマじゃなかったら平気?」



●2「クマじゃなかったら平気?」

 私がそう聞くと、サルシス君は困ったような顔をして首をかしげた。


サルシス

「どうだろう。たぶん、無理だろうね。クマが一番嫌だけど」

ボブ子

「クマ先輩――クマの着ぐるみを脱いだ先輩だったら平気?」

本田サルシス

「それはきっとそうさ! だって、ボクがどんなに言っても怒らない良い人だからね!」


 クマ先輩、サルシス君に良い人だと思われてたんだ。これ、後で本人に伝えてあげれば喜ぶかも。






 [・・・ロードします・・・]





 走り終わってから、ストレッチをしてからの全体練習。私は裏方なので、その打ち合わせ。

 ちらりと舞台を見ると、サルシス君が真剣な表情をして演技をしていた。

すごいなぁ。私も裏方を精一杯頑張ろう。


 ――その後、夏の大会。

 私達は惜しくも最優秀賞を逃してしまった……。悔しいなぁ。


●演劇部ランニング途中で「クマ先輩、優しいよ?」と言ったら、

 私がそう言うと、サルシス君はちょっと気まずそうに視線を反らした。やっぱり、サルシス君も熊先輩にはきつい態度とってるって自覚はあるんだ。


本田サルシス

「まぁ、そうだね。あの先輩も、悪い人ではないんだろう。無いんだろうが、やっぱり嫌だな」

ボブ子

「嫌いなの?」

本田サルシス

「あの人が嫌いなわけではないよ。……まぁ、気にしないでくれたまえ! 心配をかけてしまってすまないね!」


 無理やりサルシス君は話を変えてしまう。うーん。どうにか二人を仲良くさせられないかな。

【わかっていても、やめられないとまらない】


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