7月1週目
今回は短めです。
すっかり7月の厳しい日射し。
その日射しに負けないくらい厳しいきびしい期末テストが今日から始まる。始まって、しまうのだ。
セミ子
「お姉ちゃん。今日はとうとうテストだね。補習になると、夏祭り行けなくなっちゃうんでしょ?」
選択1「お祭りのためにがんばる」
選択2「テスト中止になって……」
●選択1「お祭りのためにがんばる」
私が決意を固めて両拳を握る姿を、セミ子は不思議そうに首をかしげていた。まぁ、小学生じゃあ実感無いもんね。
……今だけなんだからね、テストという単語にそんなとぼけた顔でいられるのは。
セミ子
「まぁ、がんばって。それじゃあいってきます」
ボブ子
「私もいってきます」
[・・・ロードします・・・]
教室につくと、教室の皆が単語帳やノートを見て勉強していた。さて、私も最後のひとがんばりだ。
さっそく私も席について、この一週間なんども見返した参考書を開く。すっかり集中していると、チャイムがそれを妨げるように鳴ってしまう。
チャイムを合図に、いつもと同じにこにこ笑顔の伊藤先生が教室に入ってきた。ううん、今だけはこの笑顔が憎らしいかも……。
伊藤忠良
「今日はテストですね。応援しているから、がんばろう。携帯の電源の切り忘れや名前の書き忘れには注意してね」
テスト用紙が配られて、先生の開始の合図とともにシャーペンを滑らせた。
あ、これは勉強したところ。えっと、これは……うーん、思い出せない。これはどうやって解くんだっけ?
選択1「とばして次の問題」
選択2「神のお告げよ……」
●選択1「飛ばして次の問題」
わからないところで止まっていたら、時間が足りなくなっちゃうよね。とりあえず次の問題にいって、最後にもう一回わからないところを考えようっと。
えっと次の問題文は「さちこが時速80キロで海を渡っているときの――」って、さちこって何者? 人間? あ、さちこってツバメの名前なのね……。
[・・・ロードします・・・]
解答用紙が回収されて、テストは終了した。
ううん……。書けるものは書いたけど、どうだろう。補習になりませんように……。
伊藤忠良
「みんな、おつかれさまでした。よくがんばりました。今日はゆっくりと休んでね」
今日はテストで疲れたし、まっすぐに帰ろう。
テスト疲れでふらふらの頭を抱えながら家に帰ると、リビングでセミ子がアイスを食べていた。
セミ子
「お姉ちゃん、おかえり」
ボブ子
「ただいま。私もアイス食べようっと」
セミ子
「お姉ちゃん、テストが終わったってことはもう夏休みだよ!」
ボブ子
「そうね。テスト返しが終わったら、もう夏休み」
セミ子
「誰かと遊びに行く予定とかあるの?」
ボブ子
「みんなでカラオケに行こうっていう話はしてるよ」
セミ子
「ふうん。男の子も一緒に?」
ボブ子
「えっと、どうだったかな……」
セミ子
「ふうん……」
セミ子がニヤリと笑った。な、なんか、最近、妹の目が怖い気がする。一体何に影響されたのか……。
他選択だったら……。
●テスト中に「神のお告げ」に頼ったら、
わからないときこそ、神頼みよね。神よ、真理を知るもの、渦巻く世界のエネルギーよ……。私にどうか知恵を与えたまえ。この問題の答えを授けてくれたまえ……。くっ、何も答えて下さらない。神が遠いわ。もっと思考を沈めて、脳の限界の先の闇の向こうに、あそこに神々しい光が見える……!
あそこに、あそこにいるのが――あ、あれは……私? 私が神だったの? いえ、これはただの幻?
【ボブ子は神の選択を受けた……がそれは幻だった、のか?】