死闘!飲み比べ大会!
飲み比べやそれ以外のことについては後で使いを出すということで俺たちは宿屋レッドエンペラードラゴンインの自分たちの部屋に戻った。
やはりと言うか当然ノーマ侯爵との試合のことを3人に問い詰められる。
「ーーーだから、突進を避けて、こうクイッとパンチしただけだ」
「そんなのであれが倒せるはずないじゃない」
「突進を受けたと思ったらサハラじゃなくてノーマが倒れてた!」
「そうですよ。それで本当に倒せたのなら苦労しないじゃないですか!」
「いえ、本当ですよ。確かに僕も見ましたから」
オルに視線が移る。オルはオルであれ?といった顔をする。
幼いがやはりドラゴンといったところか。
「…ちょっとサハラ、ついてきて」
レイチェルに腕を引っ張られ部屋を出てしばらく進む値きた事もない場所に入り込み、女の子っぽい部屋に連れてこられる。
キョロキョロ見回しているとレイチェルに私の部屋と教えられ、あんまりいろいろ見ないでよねと怒られてしまう。
「そういえばレイチェルはここが家だもんな。部屋ぐらいあって当然か」
「ええ、…そうじゃなくて、一体何を習得したのよ。まるで化け物じゃない」
人を化け物呼ばわりか。いやでも、一撃でノーマ侯爵がああなればそう言われても仕方がないのか?
「うん、この世界には存在しない修道士と言うのを習得した」
「修道士?何それ?ん?」
久しぶりに聞いた気がするな。ん?
「うーん、一言で言えば自身の肉体を戦いの武器へと高めていくクラスかなぁ」
「ふ〜ん?」
「分かってくれたのか?」
「うん、全然」
だよねー。
しかし目ざとく腕輪がなくなっているうことに気がつき、最後の習得をしたら壊れたと素直に言っておく。
「じゃあ、もう腕輪の奪い合いとかは無くなったみたいで良かったわね」
「そうだな。もう腕は切り落とされたくないさ」
「そうね…」
嫌な事を思い出させたか。
軽くその後なんでとか聞かれたりはしたが、腕輪の力を残してても勿体ないことと、強くなりたいと思った事、皆んなを守れるだけの力が欲しかった事を話した。
レイチェルはそれをただ聞いているだけで、珍しく批判とかはしてこなかった。
「こう言ったらあれだけど…
サハラ、1人でなんでも抱え込みすぎないでもっと私たちを頼っていいのよ?頼りないのはわかるけれど、それでも相談して欲しいの。
それにサハラの夢だってあるでしょ?ルーねえ様に会う。私には…無理だけど、サハラにはぜーったいに叶えて欲しいの。
だから、ね?」
「ああ、ごめん」
「よろしい!じゃあ戻ろ」
俺がまだこの世界に来た頃に元の世界に戻る方法を探すか、それとも諦めるかという時もそうだけど…やっぱりこの子にはかなわないなぁ。
「ヤッホー、サハラ。使い魔が来たからすっ飛んできたんだよ」
何故か俺たちの宿泊する部屋にはキャスと女将さん、そしてボルゾイと見知らぬ顔が数名いて手狭になっている。
「これは一体どういう事だ?」
「うん、まずはおめでとう。話はだいたい聞いたよ〜。それで後は飲み比べなんだよね?
一応自信があるっていう人連れてきたから、今からこの中で代表決めればいいでしょ」
飲み比べの勝負は早くてもおそらく明日か明後日になるだろう。その前にあのノーマ侯爵との飲み比べで勝てそうな人材選びが必要だった。
ちなみに強面の旦那さんは飲めそうな顔をして実は下戸なんだそうだ。
「あれ?サハラ様夕飯にはまだまだ早いと思いますよ?」
カイが仕込みの手を休めて食堂に姿を見せた俺たちの元に嬉しそうに駆け寄る。
理由を話し、金貨100枚ほど渡して貸切をお願いしてみるが、判断はレイチェルの両親という事で読んできてもらう事になった。
レイチェルパパは仕込んだぶんもあるから食堂はこのまま開くが好きにやってもらって構わないと言われる。
「おじ様、それではお酒が足りなくなってしまいますわぁ」
シャリーが姿を見せる。
どうやら飲み比べするとなると在庫が足らなくなるらしい。そこでお願いして今から仕入れてもらえないか頼むと、しっかり売値で買ってもらいますよと返事が返ってきた。
「さて、じゃあ挑戦する人は座って欲しい」
女将さん、ボルゾイ、それから顔は知らないがレジスタンスのメンバーで酒に自信があると言う3名が席に着き、シャリーも何故か座っている。
「あの、シャリーさん?」
「はぁい?」
「サハラ、この人誰ぇ?」
おお、ちょうどいいじゃん。
俺はキャスの腕を引っ張って食堂の隅に行って今までの事をさらっと伝える。
「よく観察しておいて欲しいんだ」
「りょうか〜い」
「失礼しました。それでシャリーさんは何故座っているんですか?」
「あらぁ、お酒が飲み放題なんですわよね?是非参加させていただきますわぁ」
パァっと明るい顔をして当たり前のように返してくる。
まぁ直ぐにつぶれるだろうからいいか。
というわけで早速それぞれのグラスにそれぞれボーイのように立ち、注ぐ係と飲む人で分かれる。
数時間後ーーー
「もう飲めねぇ…」
「限界だぁぁぁぁ」
バタバタと倒れていく名も知らぬレジスタンスメンバー達。
そんな中まだ平然としているのが女将さんとボルゾイとシャリーだ。
既に夕飯時になっていて食堂は客でにぎわい出してくるが、会話はほとんど無く此方を見ながら食べている者がほとんどだ。
それもそのはず、既に3人は酒樽1樽開けている。
「ド、ドワーフが、ドワーフが人間なぞに…女なぞに…負け……」
ボルゾイが突っ伏して堕ちてしまった。
残ったのはついに女将さんとシャリーだけになる。
「あんたなかなかいい飲みっぷりさねぇ」
「ええ、とても美味しく頂いてますわ」
2人共全然普通に喋ってるぞ!
蟒蛇か!
見てるだけでこっちが酔ってくる…
いろいろ客からも声が聞こえてくる。
俺も酒はあまり好きではないが酔った事はない。飲めば飲めるが美味しいと感じない。
注いでるだけだった、キャスとオル、セーラム、セッターは早々にフラつきながら部屋に戻っていて、今2人のお酌をしているのは俺とレイチェルでやっている。
さすが幼い頃よりいるだけある。
このままでは終わりが見えないと思った俺は、ここで2人に提案を出す。
「ここで一度休憩に入りましょう。ずっと座って飲んでいたから体も動かしたいでしょうから、2人にはこの…」
2人に俺は俺の使っている杖を1本ずつ手渡す。
「杖を使って、こうやっておデコを棒に付けて10回回ってもらえますか?」
棒回しって言うんだったっけ?おデコを棒にくっ付けその場でグルグルと回って貰う事にした。
2人共ごく普通に立ち上がり俺の真似をする。
「これは!」
「あらあらあら〜」
「なかなかエグい動きをさせるさねぇ。普通のやつなら即逝っちまうよ」
「目が回りますわぁ」
おお!どうやら女将さんの勝ちで決まるか?
「それで?次はどうするんさ」
「いや、これで決まりそうです」
そう言ってシャリーを見る。
はい?何か?とでも言いそうなニッコリ笑顔で俺を見返してくる。
「お…お前ら、バケモンかぁぁぁぁぁ!!」
「いきなり大きい声出さないで欲しいさね」
「耳が痛いですわ」
飲んでない俺が負けそうだ。どうしたものかとレイチェルを見ると疲れ切った顔で首を振って答えた。
「えええい!こうなったら根比べだ!席に座れ!じゃんじゃん飲みやがれええええぇぇぇ!」
夜も完全に老け食堂もラストオーダーを終え、残った客は勝負の行く末を見ながら盛り上がっている。
時間にして飲み始めてから8時間、樽は既に3樽は消えている。
流石にこのままではラチがあかないと俺は2人を止める。
「もういいです、ここまでにしましょう」
「まだ勝負はついてないさね?」
「そうですわぁ」
「いや、ノーマ侯爵との飲み比べは無関係のシャリーさんではなく、女将さんにお願いしますので」
なるほどねぇと納得がいったようだ。やっと解放される。なんかノーマ侯爵の惨めな光景が目に浮かんできそうだ。
それじゃあお開きにとお酒を片そうとした時だった。
「待ちな、後は自分でゆっくり楽しませてもらうさね」
まだ飲むのぉぉ⁉︎
シャリーは流石に仕事をほったらかして飲み続けた為、後片付けをテキパキと始めた。
その3日後、ノーマ侯爵の館で飲み比べの勝負をしたが、言うまでもなく女将さんの圧勝で、ノーマ侯爵が大樽5樽目で噴水のような豪快な逆噴射をしてしまい、飲み比べの勝負は終わった。
「さすが侯爵のお酒さねぇ。良い味だよ」
そう言って飲み続ける女将さんを俺たちはもちろん、ギャレットや一緒にいたノーマ侯爵の給仕さん達は、ただただ何も言えずに見ているだけだった。
読んでくれてありがとう。
まだ書き上げてないのではっきり言えませんが、残り数話で第6章終わりになると思います。
構想は終わりまで出来ていますが、文字に落とすのに手間取っているだけなので、早い時は早いし手間取ると更新が遅くなるとは思いますが、週1更新だけは絶対にし続けていきます。
今週は結構さらさらっと文字になりましたので、更新が多かったと思います。
ですが、来週分が結構話が小難しくなって苦しんでますf^_^;
そんなわけで、頑張っていきます。




