キャス
1週間ぶりです。来週が強いですが、今週は5話更新させていきます。
皆んなの元に1人先に戻ると各自思い思いの人と会話をしている姿があった。
いない人たちもいる。
そして俺を見つけたキャスが駆け寄ると話がしたいからと手を引っ張られて連れて行かれる。
俺今疲れてんだけどな。
連れて行かれた場所は人が立ち寄らない小部屋で、まるで取調室か何かのようだ。
「サハラはさ、何で自然均衡の代行者になったの?」
「なりたくてなったわけじゃないって言ったろ?創造神の神殿に行ったらそうなっただけだよ」
「それだけでなれるもんじゃないでしょ。
他に理由あるんじゃない?」
「例えば?」
「ん〜、そうだなぁ。
異世界から来たとか、異世界から来たとか、異世界から来たとか?」
「1択じゃないか!」
一瞬焦るが冷静を何とか装い言い返す。
「だってさ、黒目黒髪なんてこの世界にいないよ?
日本にならいたけどさ」
「お前…」
『やっぱりそうだったんだ』
日本語でキャスは返してきた。
コイツも異世界人なのか?でも黒目黒髪じゃないぞ。
『僕は転生してここに来た』
衝撃の告白だった。
キャスは元々日本で暮らしていた中学生だったそうだ。それがある日の帰宅途中で交通事故でトラックに跳ねられ死んだはずだったが、目が覚めたらこの世界に赤ん坊として生まれ変わっていたそうだ。
『まるでラノベだな』
『サハラだって似たようなものでしょ』
『俺はちょっと違う。交通事故は同じだけど、跳ね飛ばされたらこの世界まで吹っ飛んできた』
『何それ…あ、でもそれでその姿なんだね』
キャスはその後成長していく上で、元々記憶力が良かったのと魔法のある世界なら魔法使いでしょという簡単な理由でウィザードになったそうだ。
そしてある程度大きくなった頃【魔法の神アルトシーム】の神殿に行ったら、神が現れて話をしていくうちに気に入られ代行者にされたそうだ。
『最初は気にしなかったんだけどね。うううん、むしろ喜んだかな』
しかしそれから100年近くの月日が経ち、知り合った仲間たちが老衰で死んでいったりする姿を見て、自分だけ変わらぬ姿のまま生き続けるのが辛くなってきたそうだ。
『キャスも不老なのか?』
『代行者だからね』
あれ、俺の場合違ったぞ?創造神によって不老にされたはず。
それを尋ねると転生と転移のおそらく違いじゃないかと言われた。つまり俺はこの世界の人間じゃないからか。
死のうとしたこともあったそうだが、その度に知り合いが出来て機会を逃したらしい。
そしてまた別れが繰り返される。
そして今度は俺と知り合うことになり、キャスは今度こそ死に別れることのない知り合いが出来ると喜んだそうだ。
『俺はまだそういう経験がないから分からないけど、元の世界の知り合いが出来たのは嬉しいな』
『うん!』
こりゃ良い教師が出来たとキャスに魔法を教わろうと聞いてみたが、初歩を学んだら後は経験していくしかないと残念な答えが返ってきた。
そして話題はレフィクルの方へ変わり、作戦がもしレフィクルにバレて敵意を向けられた場合の不安要素をキャスに話してみた。
「ん〜、間違いなく全滅かな?
だって僕らには砦のような場所がないから逃げ場がないよ」
「ここは?」
「ここは元々ただのドワーフの町で城や砦じゃないでしょ。
ただね、バレようがバレなかろうが、戦争になったら明らかな兵力差で負けると思うんだ」
「じゃあ勝てないじゃないか」
「セッターが言ったじゃない。少数精鋭で入り込んで倒すしかないよ」
じゃあなんで蛮族やゴールドドラゴン、冒険者にと思い聞いてみると、レフィクルの兵を引きつける役目は必要だと言う。
「それって捨て駒扱いじゃないか」
「僕とサハラが加わるから大丈夫」
「え?じゃあレフィクルはどうするんだ?」
ここでキャスが大きくため息をつく。
う…なんかマズいこと言ったか?
「サハラ、僕たちは代行者だよ?」
代行者。つまり準神でその力は既に人の領域を超えているんだそうだ。当然ながら俺らが加われば、その圧倒的な力でねじ伏せることは可能らしい。
「神は人を支配や統治しないよね?人の事はは人に任せて、僕らはそのサポートするだけでいいんだ。
サハラはね、ちょっと英雄的過ぎるよ」
つまり手助け程度ならいいけど、導くような立場になるなということか?
でも失敗したら世界は終わるんだからそんな事言ってられないと思うんだけどな。
「ここの人達は、僕らを当てにしすぎている事に気がつかなかったかな?
最終的にこの戦いが終わったら人達が支配するんだけど、このままいくとサハラは間違いなく神になるまででも良いからって王になる事を望まれるよ?」
うげ、それは嫌だ。
そういう事か。つまり俺とキャス以外でケリをつけさせて、人の中から統治を任せられるだけの信用を得た人物に任せるべきと。
「わかってもらえたみたいだね」
「さすが【魔法の神アルトシーム】の代行者だね。キャスは頭いいな。
ちなみに【魔法の神アルトシーム】の代行者ってどういった力を得るんだ?」
「はっきり言ってチートだよ」
ウィザードは使う魔法を記憶して詠唱する事で行使する。ソーサラーは記憶も詠唱も要らないが、魔法を見て理解しないと扱えない為、ウィザードほど魔法の種類がなく、どちらかといえば攻撃的なものが大半を占める。
「サハラにわかりやすく言えば、ソーサラーはラーニングみたいなもんね」
攻撃を受けて覚えるみたいなものと思えばいいらしい。
そしてキャスの場合、ウィザード同様記憶と詠唱は変わりない。
「2種同時詠唱と2種混合魔法が使えるんだ」
「つまり同時に2つの魔法を発動⁉︎」
「そそ」
「じゃあ2種混合魔法っていうのは?」
「魔法矢と火球を組み合わせて、魔法矢の数だけ火球を出して狙った標的に個別に飛ばせたりできるよ」
「それはチートだな」
満面の笑顔で答える。それって俺よりすごいんじゃない?
その疑問にキャスは魔法はそもそも戦い用だからと言う。俺のは戦いというよりも壊滅用だそうだ。
「その気になれば震災クラスの大地震とかハリケーン、津波が使えるでしょ?
そっちの方がインチキじゃん」
いや、そうだけど、戦いには使いにくいぞ?
何しろ規模の小さな攻撃的なものってあまりないだろ。
それをキャスに言うと始原の魔術は想像力でしょと言われた。
「例えばゲリラ豪雨の小型に酸性雨にして硫酸にだって出来るんじゃない?」
「お、おう…」
「後は落雷の雨とか」
「お、おう…」
け、結構いろいろできるもんだな。
その後キャスにいろいろこう言うのは?という感じで教えてもらった。
ってかなんで俺が使えるはずの始原の魔術をキャスに教わるんだか…
そう言えばと俺は思い出したようにもう1人…人ではないがバルロッサの事を話した。
「へ〜、バルロッサ王はリッチになって生き続けてるんだ。
あの人、本当なら【魔法の神アルトシーム】の代行者になれたのに、赤帝竜討伐に目がくらんじゃって取りやめになったらしいんだ」
「そうだったのか」
「でも、いいなぁ。バルロッサって魔法研究して新しい個人魔法まであるからね。
国1つ破壊した隕石は始原の魔術に匹敵するほどなんだよ」
「だよなぁ。
バルロッサに助力を求めてみるのはどう思う?」
「悪魔を倒すのに死者の王の助力はないでしょ。ここは辛いだろうけど人の力だけで頑張ってもらうしかないと思うよ。
ただ、個人的に知り合いにはなりたいけどね」
「ははは、機会があったら紹介するよ。きっと今もマジックアイテムの研究してるだろうし、貰ったマジックアイテムの効果を知りたがっているだろうしね」
バルロッサの事は内緒にする事にし、この戦いが終わったら行く約束をして取調室のような小部屋を後にした。
さぁ、明日には霊峰竜角山に出発か




