勝負
隠れ家でも人気の無い場所まで俺はマルスとレイチェルに連れてこられた。
気分はまるで死刑執行される気分だ。
とは言えレイチェルは分かるがマルスにこんな所に呼び出される覚えはない。
「一体こんな所まで連れてきてどんな用事があるんだ?」
ん?待てよ。何処かでこんなことあったような気がするぞ。
……ズィーの時だ。
「レイチェルからで良いぞ?」
「ありがとうマルス。
サハラ、貴方ってなんでそう秘密主義なのよ!私だってカイ姉さまだって心配してるのに、い〜っつも1人で悩み抱え込んでそれでどうするの?」
要するに俺が内緒というか、言えないことを隠しているのがレイチェルは嫌らしい。
だが、ルースミアのことやバルロッサのこと、神の代行者だなんて言えるわけがないだろ。
それに…俺、別に悩んでないし。
「秘密が多いのはあやまる。だけど別に悩んでなんかいないぞ?
俺に悩みがあるとすれば、目立たないように生きたいのに目立つことだぞ?」
へ?といった顔をレイチェルがして俺を見る。
「悩んでいるように見えるならそれはレイチェルの勘違いだよ」
「だって…いつも考え事してるみたいに見えたけど…私に勘違いだった…の?」
頷いて答えるとレイチェルがあれ?とか、え?と言って悩みだしてしまった。
俺ってそんなに悩んでるように見えるのかなぁ…
「あー、っとじゃあレイチェルの用事はもう良いのか?」
「…うわ、私ってば最低…最低の人間だわ…」
「…。
良さそうだな。よし!サハラ、俺と勝負だ」
「はい?」
マルスは木剣を構え、数回振ると納得したように頷く。
「あんたに勝てないとダメなんだろ?」
「何がだ?」
「その、なんだ?レイチェルと結婚申し込むのがだ!」
「知るか!そんなの勝手にレイチェルが言ってるだけだ。こっちはえらい迷惑なんだぞ?」
「とりあえずあんたの言い分はどうでも良いや。俺はレイチェルの言い分を取るから構えてくれ」
そう言うとマルスは木剣を向けて、今にも攻撃してきそうだ。
仕方ないか…
俺が杖を構えるとそれが合図のようにマルスが仕掛けてきた。
早く鋭い一撃が薙ぎ払うように振るわれ、咄嗟にバックステップで躱しギリギリ間に合った。
「これで少しはやる気になって貰えたかな?」
マルスはその一撃のみで追撃してこなかった。
今まで打ち合った中でも次元の違う速さだった。まさかグランドマスター級か?だとしたら初めて相手にすることになるな。
「追撃してれば勝てたのにな」
「それじゃあ勝ったことにならないだろ?」
これは本気出さないとマズいな。とは言え俺が勝ったらマルスかレイチェルが結婚しないとか言い出したら恨まれそうだしなぁ。
「1ついいか?レイチェルと結婚したらレドナクセラの皇帝だぞ?」
「しゃあないんじゃないか?
惚れた女がたまたまお姫様だったってなら、受け入れるほかないだろ」
案外意外だな。マルスの事だからそういうの嫌がると思ったんだけどな。いわゆる男爵の子息ってところなのか、それとも単に俺がこの世界での考えとズレてるだけなのか…
「そろそろ行くぜ」
杖を逆手上段に構える。
恋仲を邪魔するわけじゃないけど、手加減しても文句言われそうだ。
それに…勝てるとも限らないしね。
「変わった構えだ。それが杖術という奴か」
頷いて返し、添え手をスライドさせ振りかぶり無しの振り下ろしをする。
その動作に慣れていないマルスは驚いたような顔をしながら躱すが、更なる追撃で振り下ろした。
バランスを崩し剣で受け止めるには厳しい姿勢だったマルスは転がるように避けて素早く立ち上がり剣を構え直そうとするが、そこへ剣よりリーチのある杖を薙ぎ払うように一振り加えたが、既にマルスの姿は無く、気がついたときには俺の懐まで入り、込み切り上げてきた。
大きく振り払った俺の姿勢は体が大の字のようになっていて、格好の的になってしまう。
後ろに倒れるように転がってなんとか躱すが、今度はマルスの追撃が始まり、体を起こす余裕が全くないまま、みっともなく地べたを転がりまわって避け続けた。
何とか距離を十分に取れるだけ飛び離れ体を起こすが、その時間で十分マルスは間合いに入り込み、杖の構えがままならない俺に薙ぎ払ってきた。
ギリギリのところで杖で剣筋をそらしたところで、お互いに仕切り直しのように距離を取り始める。
「騎士魔法は使わなくていいのか?」
「それじゃあズルだろ」
「律儀だねぇ」
そういうとマルスの姿がブレたように見えた直後、一気に剣の間合いまで近づいて切り掛かる。
姿勢も構えも整っていた俺は、杖で剣の腹を受け止め手首を打ち付けようとするも、それすら即座に躱される。
こんなに長いこと打ち合った経験はないな。
なかなか決まらない。
当然ながら必殺技のようなものがない為、地味に見える打ち合いが続けられるわけだが、それも次の一撃で勝負がつくことになった。
マルスが振り下ろしの攻撃をしてきたところを躱そうとした俺はまんまと囮に引っかかり、横薙ぎの一撃が俺を襲う。
「貰ったぜ!」
慌てて俺はその一撃を…杖で受け止めてしまった。そして直後マルスに突きを入れた。
ドスッと鳩尾に突きが綺麗に入ると、マルスは崩れるように倒れた。
いつの間にか立ち直って見ていたレイチェルがマルスに駆けつけ抱き起こし、しばらくするとマルスが目をさます。
「負けたのか…」
「サハラが異常なだけよ」
「けど、これじゃあ結婚を申し込めねぇよな」
「…いや、今の勝負俺の負けだよ」
「「⁉︎」」
「最後の一撃、杖で俺は受けた。本物の剣なら折れて反撃なんて出来てなかった。だから俺の負けだ」
嘘でも何でもない。あの一撃を躱すのはどう足掻いても無理だった。
まさか杖術が剣術に負けるとはなぁ…
グランドマスター級以上は呼び方は存在はしないけど、きっとレジェンダリー級みたいなもんもあるんだろうな。
それよりもレイチェルが甲斐甲斐しくマルスと接してる手前居づらい…
「用事は済んだみたいだから俺は行くよ」
そう手を振ってその場を離れた。
「上には上がいるんだな」
今週はここまでにします。
後1話いけるのですが、ゴールデンウィークで進められるか分からないので^_^;
このストーリーも中盤辺りまで来たと思います。ある程度の重要人物も素性が明らかになってきたと思います。
このストーリーでは強さはレベルよりスキル制に趣を置いています。
サハラ
種族 人間
年齢 27 代行者として年齢ストップ
信仰神 無し 強制的に自然均衡の神
ストレングス 11
インテリジェンス 10
ウィズダム 13
コンスティテューション 9
デクスタリティ 12
カリスマ 15
スキル(1〜120)
杖術 マスタークラス100
(腕輪の力によりグランドマスタークラス110)
ウィザード スキル30
騎士魔法 スキル100
始原の魔術 スキル120
所持品
魔法の鞄
オーク材の杖3本
所持金 不明
エルフの外套
エルブンチェイン
守りの指輪
恋人の指輪
比較として
セッター
人間
年齢 23
信仰神 守護の神
ストレングス 16
インテリジェンス 10
ウィズダム 8
コンスティテューション 15
デクスタリティ 11
カリスマ 12
スキル(1〜120)
剣術 87
騎士魔法 90(7つ星の剣の力で120)
所持品
7つ星の剣
レザーアーマー
こんな感じになります。
ちなみにマルスですが…
マルス
年齢 26
信仰神 無し
ストレングス 16
インテリジェンス 13
ウィズダム 12
コンスティテューション 15
デクスタリティ 14
カリスマ 17
スキル(1ー120)
剣術 118
双剣術 100
槍術 80
弓術 60
キリシュ
年齢 24
信仰神 無し
ストレングス 13
インテリジェンス 9
ウィズダム 9
コンスティテューション 13
デクスタリティ 11
カリスマ 12
スキル(1〜120)
剣術 83
HPとMPは省かせてもらいました。
次回更新は来週の日曜を予定しています。




