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始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第3章 レジスタンス
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セッター

一先ず落ち着くと今後の話に変わり、キャスがワイプオールに何かを話した後俺の方を見る。

全員が静まると話し始めた。


「今後の話もしたいと思うのですが、サハラ殿だけが知っていることがあるとキャス殿が言うのですが、そうなのでしたら是非教えていただきたい」


サハラ殿と言った瞬間にレイチェルが反応を見せる。


「ん?サハラ殿〜?」


俺が大洪水の話なんかをどう説明しようかと考えようとしたらレイチェルが割って入ってきた。


「おや、姫はご存知でなかったのですか?サハラ殿は自然均衡の代行者、次期自然均衡の神になられるお方ですぞ」

「な・ん・で・すってーー!

サハラ!まだ隠し事してたの?しかも私とカイ姉さまにまで内緒にしてたなんて!」

「いやーその、なんだ…」

「サハラ、後でちょっといいかしら?」

「…分かった」


こうして俺はマルスとレイチェルから呼び出しを食らう形になってしまった。



そして俺は静まり返った会議室で中木を浴びつつ一通り考えたが、そもそも頭が良いわけでもない為とりあえず聞きたいことから確認する事にした。


「俺が話す前に聞きたいことがあります。

それはここに集まる人たちの目的を知りたい」

「それは勿論レドナクセラ帝国の再建ですな。姫が存命ならなおのこと」


他の連中も同じような返事を返してきたが、キャスだけは違うようだ。


「僕は国仕えじゃないからそういうのには興味はないね。ここにいればサハラと出会うだろうと思ったからだよ」


一通り目的を聞いたが、やはりと言うかなんというか…

国取り戻してどうだと言うんだ。

倒産寸前で頑張るなら分かるが、一度倒産した会社をまた作ったところで意味はあるんだろうか?

いや、この場合ガウシアンと言う企業に吸収合併されたようなものか。

どちらにせよ、そんな事をしたところで、今度はさらに大きくなったガウシアンに叩き潰されるのが落ちだ。

少し突っ込んで聞いてみよう。


「それで?その後はどうするつもりですか?

まさかガウシアン王国を倒すとでも?」

「それのどこが悪いのですかな?サハラ殿」


うんうんと頷く連中を見て俺は大きくため息をついた。

ついでにキリシュやズィーを見たが、やはり俺同様やれやれといった感じに見える。


「その構想に、どれだけの年月をかけるつもりですか?」

「いくらかかろうとも我らは成し得てみせる!」

「………それじゃあ…間に合わないんですよ」


敵意に似た表情で見つめていた8人は、俺の言葉で首をかしげる。

キャスは気にしている感じはなく、マルスはどこ吹く風といった感じで気にしているようには見えない。


「間に合わないとは一体どういうことですかな?」


ここで俺は初めて創造神から聞いたレフィクルの事、大洪水の事を順を追って説明していった。

それを聞いて、場は大いに騒がしくなりまとまるどころの話ではなくなってきた。



「つまりだ。国の再建なんかしてないでレフィクルをなんとか倒せって事だろ?

その為にレジスタンスがあんたの仲間になり得るかズィーを送り込んできたってところか?」


今までどこ吹く風だったマルスが、俺の言いたかった事思っていた事ををさらっと言ってのけた。

このマルスという男やはり唯の馬鹿じゃない。先を見る力を持っていて、今どうすべきかの判断力も兼ね備えている。

とまぁ、凡人の俺が偉そうに言える立場じゃないけどさ。


「期限が後1年半ちょいってところか。

ワイプオールの爺さん、うちの兵力って今どんなもんだっけ?」

「うむ、戦えるものだけ揃えても2000と言ったところだが、我らにはキャス殿とサハラ殿がいる」

「というわけらしいぜサハラ」


こりゃ無理だわ。

俺が思ってた以上にしょぼすぎる。これじゃ確かにレフィクルが放っておくわけだな。



「マスター、ここは少数精鋭で乗り込むしかないのではないでしょうか」


俺が考え込んでいると、今まで黙っていたセッターが俺が考えていた最終手段を口にする。それを聞いたワイプオールがセッターを睨みつけ立ち上がると怒鳴り散らし始めた。


「貴様!従者の分際で意見するか!しかも少数精鋭だと?従者のお前に何ができるというのだ!」

「いや、セッターは従者じゃなく、もう立派な騎士ですよ。それも神に選ばれた。

セッター、見せてやれ」


はいと返事をすると腰から剣を抜き、全員に見えるように掲げた。

《7つ星の剣》は自身をアピールするかのように刀身の7つの輝きを煌めかせる。


「ま、まさか!それは!初代レドナクセラ皇帝が平和に導いたと言われる《7つ星の剣》か⁉︎」

「はい」

「そうか、ならばレドナクセラの為にその剣を振るうのだ」

「申し訳有りませんがお断りします」

「何だと?」

「私は誰にも仕えるつもりはありません。もし仕えるとすれば…それはマスターだけです」


おおう、嬉しい事言ってくれる。だけどそれだけじゃワイプオールは納得しないぞ。


「国に仕えず何が騎士か?」

「私は世界平和の為だけに戦う騎士になります。今回はこの世界の崩壊を防ぐ為に、そしてその後は7つの美徳に従い、平和を乱すものから守る為に」

「新たに貴様が国でも作るというのか?」

「いえ、国を作る気はありません。騎士団を結成し、平和の為に各地に点在するつもりです」


そこまで言われるとワイプオールは黙り込み、隣に座っていた2人はヒソヒソと相談し始め、頷くとセッターに2人のうちの1人が話しかけてきた。


「では聞きたい。騎士団を結成するという事は誰かしらが指揮を取る事になると思うが、その辺はどうなのか?」

「指揮官のようなものは必要ありません。

7つの美徳に最も当てはまる数名を代表として、評議会のようなものを開きそこで相談をして決定をすればいいと思います」


うーん、ますますジェダ◯ナイトみたいだな。でも、それなら確かに誰か1人による強硬手段とかもなくなるから良さそう…というか民主的だな。

それを黙って聞いていた2人は顔を見合わせ何か話し合っていた。


「分かりました。ワイプオール様申し訳有りませんが私達2人も彼と共に行かせてください」

「な…なんと…」

「ワイプオールの爺さん、いいじゃないか。

この戦いが終わったら元通り、そんな都合のいい話はないもんだよ。

それに今話してるのはレフィクルをなんとか出来た後の話で、失敗すれば皆んな死んじまうんだ」


マルスが上手くまとめたか。

思っていた以上にリーダーんだな。


「セッター…いや、セッター卿、我ら2人、クリティカルとファンブルも君と共に戦おう。

私達は元レドナクセラの騎士だ」

「卿などとやめてください。私は貴方達より格下なのですから」

「おいおい、ついさっきあんたが指揮官とかないって言ったばかりだろう?

しかも7つ星の剣まで持ってるとなれば、嫌でもあんたは代表の1人だぞ」


困った顔で俺を見るなセッター。自分で言い出したことだろう。


「お前の考えだ。俺を頼るなよセッター卿?」

「………分かりました。

クリティカル卿、ファンブル卿、宜しくお願いします。もちろんマスターも」

「残念だが、俺は騎士魔法は使えるが騎士じゃない。お前と其方の2人で騎士団を作り上げていくんだ」


そういう面倒なことはしたくないんだよ。俺は。




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