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遺跡の捜索

明かりに照らし出された相手は5体のゾンビだった。

恐らくここで死んだ冒険者の成れの果てだろう。


「たかがゾンビ5匹だ!行くぞセッター」

「はい!」

「あたしもなの!

マナよ紡いで私の槍となれ!」


走り込んで杖を頭に叩き込み、素早く手をずらして振りかぶることなく2匹目のゾンビの頭に叩き込む。

あっという間に2匹のゾンビが倒れ、次の相手と見ればセッターが同様に2匹斬り伏せ、セーラムが1匹のゾンビの頭を貫いていた。


「呆気ないな」

「ゾンビですからね」


ゾンビの死体と言うのも変な表現だが、死体を漁るのは気持ちのいいものではないのだけど、冒険者証だけはひったくって鞄にしまっておいた。


「この辺りでやられる奴が居るのかの?」

「気をつける、他の、冒険者」

「そうね、金目の物は取られてるみたい」

「この辺りから人気も少なくなってるし、他の冒険者は特に注意した方がいいな」



更に奥地に進んでいくと、先の方にちょっとした広間が見える。

広間からは明かりは見えず、こちらの位置は明かりでバレバレの為、もし冒険者が居るのなら敵意がある可能性は高い。また魔物がいる可能性も考えられる。


「セッター、予測(プレディクション)を使っておけ」

「もちろんです」

「セーラムは魔法盾(マジックシールド)だ」

「分かったの。

魔法盾(マジックシールド)

「一気に広間に出るぞ!」



広間に躍り出ると、案の定矢が飛んできて杖でそれを叩き落とす。セッターも剣で叩き落とし、セーラムは魔法盾で防がれた。


「チッ!明かりをつけろ!」


そんな声が聞こえると広間に明かりが灯され、中に10人程の冒険者がいた。いや、もはやならず者か。


「セーラムは下がって魔法だ!代わりにウォーレン頼む!キリシュとセレンも前に出てくれ!」

「おう!」


「はあぁぁぁぁ!魔法矢(マジックアロー)

「神よ!我らに勝利の祝福を与えたまえぃ!祝福(ブレス)!」


祝福の魔法の支援を受けながら俺とセッターは相手の前衛に攻撃を仕掛けに走り出し、遅れてウォーレンが後ろから来ている。

背後から光の矢が飛び抜けていき、それぞれ違う標的に飛んでいった。


「眠りに誘う不可視の爆発!睡眠(スリープ)!」


エラウェラリエルは睡眠の魔法か。これで眠りについた人数で相手の力量も計れるな。


10人いたうちの2人が崩れるように倒れた。


残り8人か、結構強いと見たほうが良さそうだ。

俺は中でもボス格そうな奴に狙いを定め、セッターに目配せをした。


「「跳躍(ジャンプ)!」」

「「「「「な⁉︎」」」」」


俺とセッターは前から来る5人を飛び越え後ろに控えていた残る3人の前まで来ると、ボス格に杖を上段逆手で攻撃態勢を取り、セッターは残る2人のうち1人を着地と同時に斬り伏せた。


後ろの5人はウォーレンとキリシュ達に任せ、俺とセッターはボス格の男ともう1人を相手と対峙する形となった。


「騎士魔法使う奴がまだ生き残ってるとはな」

「どういう意味だ?」

「知らねぇのかよ。ガウシアン王国が大陸を制圧した際に騎士は皆殺しにされてんだよ。

お前らを突き出せば報酬がたんまりと貰えるぜ」


ご解説ありがとうよ。

チラと後ろを見れば、キリシュ達が5人を相手に臨戦態勢に入っている。


「それは俺たちを倒せたらの話だな」

「お前らみたいなのに出くわした時のために高い金払ってコッチは先生を雇ってんだ!

先生!お願いします!」


ボス格の横にいた男が一歩前に出る。

ここで『ど〜れ〜』とか言えばど定番ってとこだけど、そういう事は無さそうだな。


手持ちの剣をブラブラとさせながら無表情に見つめてくる。


「マスター、こいつは私がやります」


それが合図となったのか、セッターに突きかかってきたが、セッターも予測(プレディクション)を使っていたためもあって素早く反応して躱す。

両者ともに引けを取らない攻防をしているように見えたが、セッターが予測(プレディクション)しているにも関わらず、徐々に押され始める。


予測(プレディクション)を使っていたとしても、まだ剣術がマスター級になれてないセッターの体がついていかないといった状況か。


俺はセッターには無理と判断すると、杖で胴を引っ掛けるように押し戻し、俺が割って入りこみ上段逆手の構えを取る。


「下がって見てろ」


俺はそう言うと上段逆手の構えから突きを放つ。相手はそれを受け流そうと剣を払うが、その前に突いた杖を戻し手を後ろにスライドさせて持ち替え、上段から振り下ろした。

急な上段攻撃をギリギリで躱してくるが、更にスライドさせ振りかぶり無しの叩き込みをすると相手の男は直撃を受けて怯み、素早く防御の姿勢を取ろうとしたがそれより早く俺の突きが男の喉元を捉える。


「グエェェェ!」


喉に直撃を受け声にならない叫び声をあげながら男は後ろに吹っ飛ぶが、予測(プレディクション)を使っている俺は相手がこの後俺の足を狙って切り払ってくるのが分かり、剣を持つ手首に杖を突きこみ捻るようにして剣を手放させ、持ち替えて首を叩きつけて意識を刈り取った。


「ば、ばばば、馬鹿な!先生がやられた…

クソッ!テメェらコイツをやっちまえ!」


一斉に俺に向かって6人が襲いかかるが…当然セッターはもちろんの事、後ろにいたキリシュ達により呆気なく始末された。


「阿呆共が儂等もいる事忘れおって」

「それにしても騎士魔法って凄いんですね。あの跳躍は驚きましたよ」

「それもそうだけど、サハラさんやっぱり凄いわね」

「サハラ、強い」


そんなに褒めるな。照れる。エラウェラリエルが見惚れた顔して可愛いじゃないか。


「それよりもサハラ、そいつどうするの?まだ生きてるんでしょ?

無抵抗な人を殺すのは私ちょっと嫌よ」

「そうだなぁ。かと言ってこのままってわけにはいかないだろ」


考えた末、起こして話を聞きそれからどうするかということで話は纏まり、先生と言われた男を起こした。


「おい!お前は一体何者だ。それだけの腕前を持って、なんでこんな奴らと組んでいる?」


男は黙って回りを見て状況を確認した後、俺を一度見上げジッと見据えてくる。


「見事な腕前だ。それと珍しい武器の戦い方を見せて貰った」

「そんな事はどうでもいい。質問に答えて貰おうか」


そう聞いた瞬間、男は舌を噛み切り死のうとする。

レイチェルとボルゾイが慌てて治癒の魔法をかけようとしたが、本人の意思で受け入れられずそのまま事切れた。


「コイツは一体…」


男の体を漁り冒険者証を引っ張り出すと、名前はヒュージャックと言い、マスター級の戦士だった。


「聞き憶えは無いですね」

「何らかの理由があったのじゃろうか」


ここで暫くの休憩を入れ、ボルゾイが8人の死体に神の祈りを捧げた。

眠っていた2人は起きるが早いか隙を見て逃げ出したが、追って殺す必要も無いだろうと放っておくことにし、俺たちは先へと進みそろそろ休める場所を探すことにする。




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