話し合い
お待たせしました。
「順を追って話すね。
まず、レフィクルは神になったそうだ」
それだけ言うと俺は3人の顔色を覗いてみる。
セッターとレイチェルは驚いた表情に見える。それに対してセーラムはふ〜んって感じだった。危機感ないな。
「神になったって、神さまは創造神さまはほっといてるわけじゃないのよね?」
「もちろん。何しろ、【闘争の神エナブ】を殺しちゃったらしいからね」
「本当ですか!【闘争の神エナブ】は闘いを好み、常に争わせあう事を考える神ですから、あまり良い神とは言えませんが…
それでも、どちらかが勝って争いがなくなるような事はしないので、傭兵なんかには慕われています」
解説ありがとう。
ま、要するに常に戦争はしなくても、緊張感をもたせ続けるという意味では大切な役割をしているんだろうな。
「でだ、レイチェルの言うように創造神もただ黙って見てるわけじゃなく、【自然均衡の神スネイヴィルス】を筆頭に【魔法の神アルトシーム】【守護の神ディア】【勝利の神アロンミット】の3神で、レフィクルの力を抑えてはいるそうだ」
「凄い。3神が動いてるんですね。ならすぐにでも解決するんじゃないですか?」
「そう思うだろう?だけどね、レフィクルも黙っているわけじゃなくて、3神の神殿を取り壊されたりで力を失ってるそうなんだ。
ついでにレフィクルは創造神によって、【悪魔王レフィクル】と呼ばれるようになった」
ここで3人は首を傾げた。
まぁ次に出る言葉は当然…
「悪魔王…悪魔って何?」
だよねー。
「悪魔っていうのは、悪を象徴する超越的存在をあらわす言葉なんだ。それの王ってところ」
ここで勘の鋭いセーラムが鋭いツッコミをしてきやがった。
「なんかパパがつけたみたいな言い方なの?」
「いやいやいや!それは無いよセーラム。俺は創造神に言われた事を言ってるだけだよ」
こらこらレイチェル!はは〜んみたいな疑いの眼差しを向けない!
「マスター、つまりレフィクルに神は勝てないんですか?」
「いや、【死の神ルクリム】が管理する〈死獄〉っていうところに魂を封印するそうだ。
その為に今、【鍛冶の神スミス&トニー】に《魂抜きの籠手》と言うのを作らせてるそうだよ」
「それが出来上がれば、レフィクルを封印出来るわけですね!」
さて、ここからが悩みどころのところなんだよな。
とりあえずは対抗勢力まで話して、それから様子を見てだな。
「実は封印出来るのはレフィクルの魂だけなんだ。
肉体の方は俺たちで何とかしろと言われた。魂を封印しても別にレフィクル自体はなんともないんだ。ただ、それで肉体が滅びた時、死獄に閉じ込められるそうだ」
シーンとなる。
やっぱりそうなるよな。一応王なんだから、国を相手に戦うって事だもんな。俺たちが倒せって無理な話だ。
「嫌よ!何で私たちがやらなきゃいけないのよ!神さまが肉体の方も倒してくれればいいじゃない!」
「そうですよ。俺たちが国を相手に戦えって言うんですか?そんな馬鹿げた話にマスターは賛同したんですか?」
俺は2人が落ち着くのを待った。
そうすると、対抗勢力の話をしなきゃダメだよな。
「創造神は言わなかったけど、今の神にレフィクルを倒すだけの力がたぶんないんだと思うんだ。イヤ、ある事にはあるんだけどね。
そこで創造神は俺に、対抗できるだけの勢力を作れと言った」
「な…。作れと言われたって、そんな簡単に作れませんよ。それにもし途中でレフィクルにバレたらおしまいですよ?」
「一応《魂抜きの籠手》が完成するまで2〜3年かかるそうだ。期間はある。
後は対抗勢力の方もバレたところで、果たしてレフィクルが脅威ととるかどうか分からないだろ?ブライスの話じゃ、レジスタンスは現に放置されてるそうじゃないか」
「サハラ、もし、もし失敗したらどうなるの?それと神さまが倒す手段あるんでしょ?なんでそうしないのよ」
あ〜あ、やっぱり言うしかないのかな。
これ聞いたら、正直ショッキングだぞ?
「レイチェル、言ってもいいけど覚悟がいるよ?」
俺がそう言うと、レイチェルはゴクリと喉を鳴らすと意を決したように首を縦に降る。
セッターとセーラムの顔も見る。真剣な眼差しで俺を見て首を縦に振った。
「神の力の根源は信仰心だ。信仰心が無くなれば、レフィクルも神としての力も失う。
その手段が、【自然均衡の神スネイヴィルス】により大洪水を起こして、地上にいるもの全てを洗い流すそうだ」
3人が固まった。
そりゃそうだ。たった1人を倒す為に地上にいる命全てをまさか神が奪おうと言うのだからな。
「ん〜、それって神様がパパに機会くれただけで、もし無理なら結局大洪水するだけだと思うなの」
おおお?そうか。思えばそうだ。
そっか、だから創造神が【自然均衡の神スネイヴィルス】が俺に託したって言ったのか。
「じゃあ、最初からやるしかないんじゃん」
「ですね…」
「ルー姉さまがいたら、レフィクルなんか…
っ!ゴメンなさい!サハラ」
「…いや、いいよ」
「あれ?マスター旅立ったって言ってましたよね?」
別に死に別れたわけじゃないし。
それよりヤバい。どうしよう。考えろ、考えるんだマク◯イバー。古いか?
「ん〜?今は見つかんないなの?」
セーラム、気を利かしてくれたのか?
勘が鋭いから助かるよ。ほんと。
「そうなんだ」
「と、ところでマスター、対抗勢力はどうやって作る気ですか?」
自分のせいで妙な空気になった、場の空気を変えたかったんだろう。セッターが話を切り出してきた。
対抗勢力についてはもちろん宛がある。何しろ、わざわざブライスが別れ際に教えてくれたんだからな。
「対抗勢力になり得るか分からないけど、レジスタンスと接触を試みようと思ってる。戦力はどんなものか?人柄はどうか、そう言うのを見ておきたい」
「そうね。それいい考えだわ」
「でも、ブライスさんはレジスタンスには関わらないほうがいいような事言ってませんでしたか?」
そう言えば言ってた。
勝手に反社会組織みたいなの想像してたから理由まで聞くの忘れてたな。
「そうだった。ヤバい、どうしよう…あはははは」
「ま、まぁ、とりあえずは旧帝都で情報でも集めてみましょうか」
「そうね。そうしましょう」
俺思った以上に考えてなかった。
そうだよな…もし単純にテロみたいな連中だったらってこともあるわけだし、安易に飛び込んだら危険だよな。
「明日から情報を集めていこう。ただし、必ず4人で行動するか、最悪でも2人で行動するようにしよう」
「はい」
「うん」
あれ?セーラム…寝てる…
「とりあえず今日は寝ようか」
「そうね」
明日から情報収集か。こういう時、ズィーがいてくれると助かるんだろうなぁ。
ん!場所が分かっているなら、使い魔をヴォルフの町に直接飛ばしちゃえばいいんじゃないかな?
いや待て、それなら一度ヴォルフの町に戻るのもありなんじゃないかな?
ウェラにも会えるしな。
明日、皆んなに聞いてみよう。
そんな事を考えながら眠りについた。
いつも読んでくれている人。待っていてくれている人ありがとうございます。
後1話更新も出来たんですが、今別の短編を書いているので次回分に回させてもらいました。申し訳ありません。
次回更新は来週です。




