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始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第1章 旧帝都を目指して
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旧帝都

翌朝、仲間には何も言われることなく旅の準備をすると、宿を出てエンセキ達が来るのを待っていると、キリシュ達が来た。


「おはようございます、サハラさん」

「おはようキリシュ。わざわざ全員で見送りを?」

「そりゃあそうですよ。仲間ですから!」



しばらくするとエンセキ達も馬車を引いてやって来た。


「いやぁ、良い天気ですね。サハラさんのおかげですな」

「「「「「レイチェルちゃんおはよう!」」」」」


お前ら本当にレイチェルだけだな。

セーラムにも最初こそ興味を示したようだが、セーラムがあまりに避ける為か、近寄る事をしなくなっていた。意外にも道理はわきまえているようだな。

そのレイチェルだが、今朝はエラウェラリエルがいるからなのか妙に静かだ。


町の出口へ向かう時、何か喋るわけでもなく俺の横にエラウェラリエルが付いて歩いていた。


「それじゃあ、ウェラしばらくのお別れだ。皆んなも頑張って!」

「サハラ、何かあったら必ず駆けつける。俺はシーフだが、仲間との約束は必ず守るからな」



結局エラウェラリエルは何も言わないままだった。ただ、俺とお揃いの指輪を撫でていた。



「それじゃあ、またな!」



こうして俺たちはキリシュ達と別れ、旅の続きを再開した。




ヴォルフの町から旧帝都までは3日の道のりだが、非常に往来も多く、野営地点でもかなりの数がいるためか、魔物が現れることもなく、問題なく旧帝都にたどり着いた。




「なーんか呆気なくたどり着けちゃったわね」


帝都に入りエンセキの勧めの宿屋へ行き、部屋に入るとレイチェルがそんな事を言い出した。

ヴォルフの町を出てからレイチェルは、また前のように元気に振舞ってはいるが、なんとなく俺を避けているようにも見えた。


「確かに拍子抜けしましたね。そう言えばエンセキさん達は?」

「明日にはもうガウシアン王都の方へ出るそうで、その準備に追われてるみたいだよ」

「いきなりまた4人に戻っちゃうわね」


ホッとしているセーラムの姿がみえた。そんなに嫌だったのか?



その日はもう夕方だったため、広いこの町をうろつくには遅すぎだろうと出かけるのはやめて、明日からどうするかを話して過ごした。


「明日はエンセキさん達を見送って、その後は創造神の神殿に行ってみる。これはだいぶ前から決めていた事なんだ」

「始原の魔術のことですか?」

「うん、間違いなくレフィクルが絡むと思うけどね」

「関わりたく無いなぁ」


レイチェルの言うのもわかるが、情報は欲しい。特にあの夜の…考えて身震いした。


「あの時の事思い出してるなの?」

「ん?ああ、ちょっとね」


創造神の神殿を出たら、あの日の激白を無視しちゃったし、少しレイチェルを気晴らしさせておくか。


「神殿が済んだら、レイチェルの行きたいところにでも行こうか!」

「うわ!うわうわ!本当に?やった!……でもこれってこの間の埋め合わせのつもりよね…最悪だわ」

「じゃあやめとく?」

「やめるわけないでしょ!」


ちなみにレイチェル、セッターとセーラムも一緒だよ。何て事は今は言わないほうが良いだろうな。それに…な。



その日の夕飯は酷かった。

ブライス達がレイチェルと最後の晩餐だとか言って…しみじみとするはずもなく、馬鹿みたいに盛り上がって、宿屋の主人には迷惑をかけたほどだった。




翌朝、エンセキ達が北方のガウシアン王都へと旅立つため、俺たちが顔を出しに行くと、ブライス達がレイチェルとの別れの言葉を一人一人していた。


「レイチェルちゃん、離れ離れになってもこれからはずっと仲間なんだな」

「うんだな!」

「ワシもレイチェルちゃんと旅がしたいわい!」

「ダメだよ〜。仲間を大事にしよう?ん?」

「む!分かったぞい!」

「レイチェルさん、貴女はいつまでも私の女神です」

「ありがとう!」

「バイバイ、レイチェルさん。はい握手!」

「うん、リプトは連絡係頑張ってね」ギュ

「へへへ〜」

「「「「あ!ずりぃ!」」」」

「ふっ、この次こそレイチェルさんのハートを盗んでみせますよ」

「キャ〜!私のハート盗んだら死んじゃう!」

「はい!諦めます!」


何なんだこれは…なんなんだコイツらは…

今のやり取りを見て、俺は悪寒が走ったよ。



「サハラ、レイチェルちゃんは任せたな。それと西に向かうなら、レジスタンスに関わる仕事は引き受けないほうがいいな」

「レジスタンス?」

「あぁ、ガウシアンの国王のやり方に反対する集団らしいな」



詳しい事は分からないらしいが、どうやらレフィクルのやり方に反対する集団がいて、地道ながらいろいろな妨害活動をしているらしい。

当のレフィクルは気にすることなくほったらかしているみたいだが。


「分かった。情報ありがとう」

「仲間だからな」


それだけを言うとエンセキとブライス達は北に向けて出発した。


「フラグだけしっかり立てて行ったな。ブライス達」

「でもフラグってサハラの思い込みでしょ?」

「まぁそうなんだけどね。

さぁってとぉ、まずは創造神の神殿が残ってればそこからだ」



俺たちはまた元の4人組に戻った。とは言え今は離れていても、多分、心強い仲間がいる。多分ね。





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