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始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第1章 旧帝都を目指して
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一時の休息

宿屋に戻り、部屋に行くとセッターとレイチェルが起きていて、セーラムはすでに夢の世界へと旅立っていた。



「それで?エラウェラリエルさんに呼び出されて何の話したのかしら?」

「マスター、なんの話だったんですか?」


お前らぁ…

レイチェルは何かトゲがある言い方で、セッターはニヤニヤ聞いてきやがった。

隠す必要もないだろう。


「ウェラと付き合うことにした」


隠すことなくはっきりと言った俺に、2人が固まった。


「そ、そそそ、そうなんですね。おめでとうございます。マスター」

「何でええぇぇ!」


は?セッターは驚きこそしたが、喜んでくれたようだが、レイチェルは違ったようだ。


「レイチェルどうした「知らない!知らない知らない!サハラの馬鹿!鈍感サハラ!」


えーっとですね。これはさすがの俺でも分かります。はい。どうやらレイチェルも俺を好いていたようです。

セッターは魂が抜けたような顔しちゃってるし。


「レイチェル、なんかゴメン…」

「…いいもん…」

「え?」

「いいもん!こうなったらサハラ以上に素敵な人見つけてやるんだからぁ!」


お、セッターがなんか蘇ったぞ!


「あ、でも別に1人じゃなくてもいいのよね…」


なんか邪なこと考えてませんか?レイチェルさん…

よっこいしょっと。


「うん!私もサハラの恋人になる!

って!何で寝てるわけよーー!」


なんか面倒そうなことになりそうだと俺はさっさとベッドに入り、寝たフリをした。

モテたことなかったから、正直嬉しかったが、複数からモテるって結構いろいろ面倒だな。





翌日、朝食を済ませセーラムの服を買いに行くわけだが、右にセーラムが左にレイチェルが張り付き非常に歩きにくい。

セーラムはいつものことだから、気にもならないし、俺のペースを分かっているから問題はないのだが…


「レイチェル、歩きにくい」

「えへへ〜、いいじゃない」

「マスターが羨ましすぎる」



昨日セッターと適当に当たりをつけておいた裁縫屋に入り、セーラムに見させる。

服選びになるとレイチェルも俺から離れて、妹の世話でもする姉のように一緒に選んでいた。


「パパー、何色が好きなの?」

「俺?俺は服いらないよ?」

「うううん、パパの好きな色にするの」


そう言うのは自分に合う合わないがあるだろうに。


「セーラムはエルフだから、緑が良いんじゃないかな?」

「分かったなの!」

「ねぇ、サハラ、なんでエルフは緑なの?」


俺は耳元でソッと他の人に聞かれないように囁くように理由を教える。


「…俺の前の世界でのイメージカラーなんだよ」

「へ、へ〜、ちなみに私のイメージカラーって何色なの?ん?」


レイチェルを見る。今着ているのは白いローブで、十分似合っていると思うが、俺は5年前に着ていた紫が一番似合っていたように思った。


「紫かな。初めてレイチェルと会った時に着ていた服の色」

「あぁ〜、それって今セーラムが着てるやつじゃない」


ハハハ…



セーラムは結局、緑でも濃淡の違う3種類を選んだ。靴もサンダルからブーツに変え、いよいよ冒険者らしく見えるようになった。




「お、もう直ぐ昼か。俺、これからチョット用事があるから、あとは各自自由に過ごしていてよ。夕飯も戻らないようなら先に食べてて」

「……わかった…わ。セーラム行こう」

「え?うんなの」

「セッター、頼む」

「任せてくださいマスター!」




さて邪魔者は消えた。じゃない。

俺はまだ流石に早いとは思ったが、昨晩の広場に向かった。


「「あ…」」


エラウェラリエルが既に待っていた。


「ゴメン、待たせちゃったかな」

「あ、う、いえ、私も今来たばかり」


どこの世界でも変わらないなこう言うのは。


俺は仲間にはエラウェラリエルの事を話してあるしと、手をとって歩き出した。が、やっぱりドキドキするもんだな。


「どこに行こうか?」

「昨日行ったスイーツのお店はいかがですか?それとも甘いものは苦手でした?」

「いや、俺甘党だよ」


顔を真っ赤にしながらもエラウェラリエルは嬉しそうに見える。



[スイーツパラダイス]安直な名前の店だ。

店内はカップルか女性同士ぐらいしかいない。まぁ男同士でこういった店は入りにくいもんだ。


席に着き注文を取り、さぁどうしたものか?一応俺だって彼女ぐらい…2人はいたさ。

こう言う時はどうすりゃ良いかぐらい分かるさ!


明日には別れることになるから、今日は明日以降の話や旅の話、他の女の話をしなけりゃ間違いないだろ?



[スイーツパラダイス]を出ると今度はアクセサリーなんかの雑貨店などを見て回った。


そうだ!と俺は指輪を探す。小さな宝石のついたあまり派手でなく、邪魔にもなりにくい指輪を2つ見つけた。


「ウェラ、手を出して」

「え?はい?」


小指につける。ピッタリだ。

そしてもう1つを俺の小指につけた。そうピンキーリングだ。だがたぶんそう言うのはこの世界にはないだろう。創造とは違うがハンバングーでもイエローカードだったから、これも危険率があるかもしれない。


「これは…?」

「俺とウェラのお揃いの指輪だよ」

「小指に?」

「ああ、小指にはチャンスや秘密を象徴しているらしいよ」

「まぁ、そんなの初めて聞きました」

「あぁ、俺が今作った」


エラウェラリエルはお揃いが相当嬉しいのか、何度も自分の指輪と俺の指輪を見ていた。


店主に支払いを済ませようとしたら、コソッと良いこと聞かせてもらいましたよと値引きしてくれたが…

あれ…2個で割り引かれて金貨8枚も取られた?


ボッタクリかと思って、俺は商人ギルド証をチラつかせて聞いてみると、店主は慌てることなく指輪の宝石はエメラルドですよとニッコリと教えてくれた。

…なるほど。



店を出るとエラウェラリエルが俺の腕を取ってくっついてきた。プレゼント作戦成功か?


「これ結構したでしょう?」

「うん、まぁ…ね」

「もし貴方が望むなら、いつでもこの身も心も捧げます…」


ボソッと顔を真っ赤にしながらエラウェラリエルが俺の理性を全て奪い去りそうな事を言う。


「俺だって聖人君子じゃないんだぞ」


俺はエラウェラリエルの手を取って、歓楽街の方へ足を運んだ。抵抗など一切見せずついてきてくれる…


………………………。



その日の夜遅く俺とエラウェラリエルは宿に戻った。





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