二次元少女達と一夜限りの夢語
「はっ? ハロウィンパーティ? 」
十月三十一日、部活内にて。
ラノベノートに先ほど舞い降りてきたカッコイイアイディアを書き綴っている俺に、舞がトコトコとやってきて提案してきた。
「そ。せっかくだしさ、私たちもやってみない? 」
「ハロウィンパーティって、お前ら知っているのかよ? 」
「うん! ググったからね! 仮装とか美味しいものを食べるんでしょ!? そんな美味しいイベント逃せるわけないよ! 」
目をキラキラさせて拳を力強く握って熱く語る舞。
こいつ、こういうの人一倍好きだもんな……。にしても、ハロウィンパーティか……。
「まぁ、やってもいいんじゃないか? 年に一度のイベントなんだし、やってみるのもこれまた滑稽かもしれん……」
「真智、あんた滑稽の使い方違ってるわよ。意味知らない単語をカッコイイだけの理由で使うのまじでやめなさい? でないと、将来悶え死にすることになるわよ」
「うるせーし。間違ってなんかないし。これは……えっと、ほら……あれだ。俺の個性あふれる使い方なんだよ……」
「どんな使い方よ。意味わからん」
慌ててごまかす俺を、ぴしゃりと言い丸めてくるユナ。
「と、ところで舞よ。ハロウィンパーティって具体的にはどんなのを予定なのだ? 」
ここは俺の威厳を保つために、この話を中断させる必要がある。そう思った俺は舞に詳しいハロウィンパーティの予定を訪ねた。
その際に、千穂とユナから「話そらした」「ええ。話そらしたわね」と冷たい視線を向けられてたのだが気にしない気にしない。
「うーんとねー、やっぱり仮装とかかなー? 」
「仮装か……。あ、でも、俺たちって仮装の準備してないしマネーもないんだよな。仮装グッズって結構高値なんだろ? 」
「はっ、ちょーうける☆」
「ここで何故○ピソードの口癖を使ったのかは知らないが、何がちょーうけるなんだよ。そしてちゃっかり星マークをつけるな」
俺が指摘すると、舞は「いやぁー」とはにかんだ後、説明してきた。
「よく考えようか。私の種族はなーんだ? 」
「魔女だろ? 」
「その通りでぇす! ここでマーくん、何かに気づかないかい? 」
「気づくって何に……って、お前の変身魔法を使えば仮装グッズなんて必要ないじゃん! 」
「そっ。そういうことー」
なるほど。そういうことか。
舞の変身魔法があれば、みんな自由に仮装できちゃうもんな……。
「じゃあ、あとは買い物をすればオッケーだね。みんなは何が食べたい? 私はね特大のステーキ!」
「えと、私は何でもいいです……」
「じゃあ、私は生姜焼き」
「あたしは……クリームシチュー」
「みんなハロウィンに関係のない料理ばかり!? いやいやせっかくのハロウィンなんだし、カボチャをメインにしようぜ!?」
俺が提案すると「私はそれでもいいです」「えー、だって生姜焼き食べたいんだもん」「ステーキ! ステーキ! 」「別にいいじゃない。ハロウィンだからってカボチャという常識にとらわれ過ぎよあんたは……」とブーイングの嵐だった。いや、令はなんでもいいと言っているからブーイングには入らないんだけどさ……。しかもさらっとユナがかっこいいことを言っていた気がする。
「あー、わかったよ。わかりました! せっかくのハロウィンパーティだもんな。お前らの希望通りに作ってやんよ! そうと決まれば早速買い物に行くぞ。各員、帰宅準備に入れ! 」
司令官ぽく俺が命令すると、みんなハロウィンパーティが楽しみなのだろう、セッセと自分の持ち物の片付けを開始し始めた。
よし。じゃあ、スーパーに寄っていろいろ買ってくるか。
◆ ◆ ◆
「よーし! じゃあ、仮装パーティしちゃうよぉ〜! みんなぁ、準備はいいかいー? 」
俺特製『ハロウィンパーティだから全員の希望通りの夕ご飯』を食べ終わった直後、舞が高らかに叫んできた。ちなみに舞の服装はいつもの私服ではなく、魔装といった自分の魔力を鎧として纏う……言うなれば防御服を着ていた。なぜ、戦いでもないのにそんな服を着ているかというとそれが舞の仮装だからだ。舞の魔装は魔女そのものを表すにはぴったりだったのである。(キャラ紹介に舞が着ていたあれだよ(^^))
「仮装ね。ちなみに、みんなはどんな仮装をしてみたい? 」
興味があったのでみんなに聞いてみる。
「私は天使になってみたいです」
「私は吸血鬼かな? 」
「私は今のままでいいよー」
「あたしは黒猫になってみたいわ」
するとそれぞれ自分のなりたいものを教えてきてくれた。ほほう。みんなそれぞれなりたいものが違うんだな。
まぁ、自分の種族とは違う格好になりたいのかもしれない。
「だそうだぜ? 舞さん」
「くふふふ、いいよ! じゃあ、変身魔法をかけるからねー! 」
舞がそう宣言した瞬間、ここにいる舞以外の全員が紫の淡い光に包まれた。って、全員? なして俺までもが……?
そう思っているうちに、変身魔法は完了したらしく光は消えてみんなの姿が見えるようになってきた。
「わっ! こ、これ……すごいです! 」
「マントまでついてる! 変身魔法って便利だね! 」
「へぇ、なかなかいいじゃない。ニャー」
みんなを見ると、希望通り変身できていた。
令はいつもの白いドレスに、純白の羽が生えており、どこからどう見ても天使にしか見えなかった。
千穂は高貴な吸血鬼なのか、映画とかで見る吸血鬼が羽織っているローブを纏っており、何故かワイングラスまで手に持っていた。
ユナは黒猫の耳と尻尾が生えており、服装は少し肩が露出した嬉しい……いやらしくて破廉恥な格好になっていた。いや、今のは決して本音が漏れたわけではないぞ? 俺はエロには興味ないからな。ほんとだぞ?
「へぇ……みんなすごいな……ん? 」
と、俺はここで違和感を覚えた。
なんか自分の声がいつとより高い気がしたのだ。それに、後ろがやけにくすぐったい。
「お、お兄……なの? 」
「マスター……なのですか? 」
千穂と令のふたりが、信じられないといった様子で俺の方を指差してきた。
どうしたというのだろうか。
「真智、あんた自分の格好を見てみなさいよ……」
キョトンとする俺を見てユナが呆れた顔で手鏡を渡してきた。その中に映る自分を見て俺は驚愕した。
「な、なんだこりゃあああああああ!? 」
そう。そこにいたのは女の子だったのだ。この女の子には見覚えがあった。
これってもしかして……
「いやぁ、マーくんとのデートの時にさ、マーくんって女装似合うんだなぁって思ってねー。それでせっかくなので今度はきちんと女の子に変身させてみました♪」
「やっぱりかああああああああ!!」
予感的中。
この女の子は、俺が舞とのデート時に女装した時の姿そのまんまだった。
にしても、趣味悪いだろ舞のやつ!?
「あ、そだ。せっかくだし、記念写真撮ろうよ」
「はぁ!? 無理だ嫌だ! 俺は丁重に断らさせてもらう! 」
「千穂、ユナ。頼むね」
舞が二人にそう声をかけると、二人は俺の方を向いてきて近づいてきた。
「え……ちょっと? お二人さん、冗談ですよね? ねぇ、本当にこの姿で取らないよね……ぎゃああああああああ!!! 」
あっけなく二人に捕まってしまい、写真を撮る羽目になってしまった……。
その後、仮装したみんなで写真を撮り、マイの変身魔法を解いてハロウィンパーティを終わることにした。
「なぁ、舞。俺の変身だけ解けてないぞ? 」
みんなは変身を解いていたのに、俺だけ変身が解けていなかったので、舞に尋ねてみる。
すると舞はキョトンとした様子で俺を見てきた。
「あれー? なんで解けてないのー? ちゃんと私魔法解いたよー? 」
「嘘つくな」
「嘘じゃないよ? 本当に解いたんだから。……なんでマーくんのだけ解けてないのー? 」
あれ。
あれあれあれあれあれ?
なんかいやぁな感じがするんだけど、これ。
「……仕方ないね。じゃあ、これからは野中真弓ちゃんで生きていこう! 」
「ふざけるなああああああああああああ! 」
「はっ!!」
バッと体を起こす。
辺りをキョロキョロと見回し、自分の体を触ってみる。
「夢……だったのか。にしても嫌な夢だったな……」
何がともあれ夢でよかった。
今日はハロウィン。何かいいことがあればいいな。
そんな期待を胸に、俺は部屋を出て行った。




