後編
電車に揺られること半時間、若菜たちはホテルへとたどり着く。しかし、そのホテルの雰囲気から若菜たちはたじろぐ。
「お待ちしておりました。お嬢様方」
ホテルの入り口から若菜たちに声をかける一人の中年ホテルボーイ。いきなり声をかけられて戸惑う若菜たちであったが、ホテルボーイによって受け付けを済ました若菜たちは、そのままボーイに案内されてホールへと入っていった。
「わぁ……」
ホールには色とりどりの衣装に身を包み、楽しんでる人々がいた。自分たちが場違いなのではないかというほど雰囲気に馴染んでいる参加者たち、その中の数人が若菜たちに気がつき、半ば強引に輪のなかへと4人は放り込まれた。
「こういう場所ははじめてかな」
「はい」
吸血鬼のコスプレをしている一人の男性が若菜に話しかける。若菜はそれに返答するだけだったが、男性が若菜にアドバイスする。
「せっかくこういう場に来たんだから、思いっきり楽しまないと、じゃないと君の血を吸っちゃうぞ~」
差し歯を光らせて、にこりと微笑む男性。その言葉で荷が下りた若菜は様々な人に会話しながら、パーティーの雰囲気を楽しもうとする。
やがて、机に夕食が運ばれてダイニング形式での立食パーティーへと移行する。そこでようやく、真弓と合流した。
「最初はあれだったけど、慣れるとこういう雰囲気って楽しいね」
「そうだね、それにこのディナーすごく美味しいよ」
真弓もすっかり雰囲気に馴染んでおり、先程とは声のトーンが違っていた。恐らく、舞や敬子も今頃、そうなっているのだろう。野球で感じていたムードの重要さはこういう場面でも役立つとは、若菜たちは物事の意外な繋がりを感じていた。
パーティーも中盤に差し掛かる頃、壇上に一人の女性が上がる。
「え~、それでは今回のメインイベントに入りたいと思います。それでは会長、説明をお願いします」
女性に促されるように、年配の男性は荘厳とした様子でマイクを受けとり、話し始める。
「え~仮装祭に来ていただいて、どうもありがとう」
挨拶から校長先生のごとく長い話が始まる。男性はハロウィンの成り立ちや仮装の意味を語る。その上で、今日のメインイベントの内容が明かされた。
「今日はハロウィン、魔物が復活するとされている日、飴を供えて魔物の復活を食い止めてもらいたい」
その後、若菜たちに飴が5個入ったかごが配られる。ゲーム内容は近くの人とじゃんけんをして勝つと相手から飴をゲット、0個になるか、一定時間で宣言された個数以下の人はゲームオーバー。最後まで残った人に景品がゲットできるというものだった。
「それでは、スタート」
人々が一斉にじゃんけんを開始し始めた……。
「いや、楽しかったね」
「そうですね、思ったよりは」
帰り道、駅を出た4人は感想を話し始める。敬子や舞も楽しめたようで、話が盛り上がっていく。
「来年もまた招待されたりするのかな?」
「さあ、でも招待されたら多分いくよ」
ハロウィンの非日常気分を体験した若菜たち、明日からは再び日常へと戻っていく……。しかし、彼女たちは忘れないだろう、今日という一日を……。
ハロウィンパーティーに出た経験がないなりに頑張って書きました。来年は出てみようかな……。
というのはどうでしょう?




