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異世界喫茶『カフェ de ローズマリー』  作者: 杉崎 朱


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8/30

第8話 10:10*イカ飯


 週明け月曜日。また無理難題を絶賛押し付けられ中です。


「無理です」

「ちょっと前もこんなやりとりしなかった?だから今回は流石にダメだって。すぐってわけじゃないんだからどっかで都合つけてよ?日付はこっちで決めて良いって言われてるんだからさぁ〜。あって言っても、流石に今4月だから6月迄には京都支社に行ってきてよ?」

「無理です。というか、俺が行く意味がありません」

「君じゃなきゃダメだって京都の方が言うのだから仕方ないでしょ?とりあえず、6月末迄で良いんだからスケジュールどうにかしてね!頼んだよ!一週間の出張!!特別にホテルと交通費は会社負担でいいって言ってるんだからね?!」

「出張なんだからそれは当然じゃないっすか?!?!」



・・・ーーー


「一週間か、確かにちょっと長ぇな?」

「無理っす。マジ無理っす。一週間もここに来れないとか」

「割と遠くの土地だろ?地の食材使った小料理屋とか無いのか?」

「・・・京都だから沢山ありますけど、知らない料理屋さんに入る勇気俺ないっす。なんか、そういうグルメドラマありましたけど、俺は知ってるところで安心して絶対に美味しいってわかってるものが食べたいです!!」

「シェフ!!なんか褒められてるぞ!!」

 ーーーカンッ!!カンカンッ!!



「そうですよ!!ここのご飯が美味しいからっ!!美味しくて安いし楽しいからっ!他のお店なんて行く気にならないんです!!」

「そんな怒って褒めんなよなー、気分良いだけじゃねぇか!」



 ーーカラン



今日はみんな時間がズレたのか、今喫茶店の客は俺しか居なかった。

 ご新規様が来店だ。誰だろう…あれ?俺見た事ない時間だ。10:10分だ。



「おういらっしゃい!!ボウくん!」

「こんにちはー」

 俺は度肝を抜かれた。

 だってお店に入ってきたのが




 棒人間だったからだ。




「ランチ一つお願いします」

「あいよっ!シェフ!ランチ都合2つだ!」

 ーーカンッ!


 棒人間?!平面っぽく見えるけど俺の隣に座るとちゃんと頭は球体だ!(?)でもやっぱり胴体は棒であって、これ、ご飯どこに入るの?!さっき挨拶してた時は口が現れてたけど、喋らないと口無い・・・。えっ?!棒人間実写化?!やばい!小学校の時の俺をここに呼びたい!!マスターの言ってた『ボウくん』は暴君じゃなくて棒人間の棒のボウくんって意味か!


「・・・やっぱり不思議?僕のこと」

 棒人間の丸い顔から口が現れて動いて喋った。やばい、面白すぎる。

「不思議っていうか!面白いなって!」

「みんなそう言うんだよね、まぁみんなみたいなビジュアルじゃ無いからそう思うのが普通だよ。ここはほら、動物や美男美女が割と多いからさ!僕はシンプルすぎるからね!」

 なんか、同世代の人と喋っている感覚だ。てっきり子供みたいな感じかと思ってたけど、なんて言ったって棒人間以外の情報がまるで無いからな!!

 背丈は中学生くらいか・・・でも話はちゃんとできるし、言葉遣いからして歳近そうな・・・いや、異世界だからそもそも何歳生きてるかわからない!歳が近いなんて勝手な想像をしちゃ相手に


「お待たせいたしました!今日のランチは”イカ飯”プレートです!」

「イカ飯!!」

 ランチが届いた!イカ飯だって!小学生の時に給食で食べたなぁ!懐かしいー!あれ大好きだったんだよなぁ!

「懐かしい、小学校の時に給食で食べたきりかな」

「え?!そちらも?!」

 あれ?結構似た世界線なのか?


「うん、イカ飯ってさ、ほら調理するの大変そうじゃん?だから、毎年5年生が社会科見学で居ない日がイカ飯の日だったんだよね」

「なるほど・・・!確かにイカにお米を詰めるところから作ってたら信じられないくらい大変だし、味付けだけするにしても全校生徒分あるわけだし?!」

「僕は中学校はもうお弁当だったからさ、小学校までの思い出なんだよね」

「俺も!俺もです!中学校も給食の地域もあったらしいんですけど、俺の地域は中学校はお弁当で・・・!あっ!でもスクールランチって言って・・・」

「あ!チケット前もって買っておいて、朝に先生に頼んでお昼にお弁当取りに行くやつでしょ?!」

「それです!超懐かしいー!!なかなかこの話わかってくれる人いなくて!給食の人ばっかりなんですよー!」

「そっかぁ、お兄さんも中学校はお弁当かスクールランチ勢だったんだね。あー懐かしい、僕はこういう話をできる同僚がいないからわかるも何もないからなぁ・・・みんなお堅い人ばっかりでねぇ。さぁ!話も楽しいけど頂こうか!」

 なんだこれ!超楽しい!棒人間だから表情全然わからなくて口元と喋ってるトーンとかで判断するしか無いけどめっちゃ楽しんで喋ってくれてる気がする!ってか俺が楽しい!!でもランチは温かい内に食べないとだな!よしっ!


「「頂きます!!」」




「うわぁ〜!美味いー!!」

 俺は今日も正直に感想を述べる!美味いものは美味いと言った方がもっと美味しい!気がする!!

「イカ飯食べたのなんて15年ぶりだから正直、味まではもう覚えてないけど、これはこれですごく美味しいし何故か懐かしい感じがする」

「わかります、わかります、多分視覚からの情報ですよね!」

 イカの弾力の後に、もちっとしたお米が美味いんだよ!イカのエキスを吸ったお米が最高!お味噌汁も美味しいし、副菜はひじきの煮物と卯の花だ。いやー、昨日の山菜ご飯に続いて和の極みを楽しんでるよ俺・・・。あれ?今棒人間さん、イカ飯食べたの15年ぶりって言ったな・・・小学校六年生が12歳だから、15年足すと・・・?27歳?やっぱり歳近い!!ってか一つ年上!!


「いやさぁ、小さい頃はひじきとか卯の花が出てきても全然嬉しくなくて、おかずならフライドポテトとかソーセージにしてくれよ!って思ってたけど、この年になるとこの和食の優しい味付けが体に沁みたりしない?俺もう焼肉は一回食べたら暫くは要らないやって思うようになっちゃったんですよね」

 棒人間だから見た目では全然年がわからない。むしろ最初は子供かとも思ってしまった程・・・喋って見ると、話は面白いし、すっごく人間味がある。


「俺も、学生の時はカルビが大好きでした!カルビ一枚で茶碗のご飯半分近く食べれるんですよ!」

「わかる!カルビ本当に美味いよね!でもさ、なんだろう。胃が脂を受け付けなくなってくるんだよね・・・」

「何枚でも食べれたカルビが、2〜3枚で良いかなぁ〜って思うようになってきて、最近では・・・」

「選ばなくなるよね。チョイスから外れるの。赤身肉が中心になっちゃってさ、焼き野菜も増えちゃったりして」

「まず最初にサラダ食べておかなくちゃって思うんですよ!」

「お兄さんもかー!僕はなんなら会食で焼肉の時には直前に牛乳とか飲んでおく。実際はどうだか知らないけど、なんか胃に優しそうじゃん?」

 楽しい!なんか楽しい!年齢が近く、多分生きてる世界線が似てる!でもやっぱり別の世界の人間・・・棒人間で!!

 いつもはうさぴょんやアヒル副隊長の動物を見て癒されたり、和服メイドさんに目を保養してもらったりしてたけど、こうやって懐かしトークとか、あるあるトークで盛り上がるのも楽しいな!それも、会社の人とか昔の仲間もいいけど、初めて会った人ともこれだけ話せて楽しむのもまた良いもんだなぁ・・・。


「ヨォ、お二人さん。随分と気が合うねぇ?初めてだろ?」

 マスターが話かけてくれた。


「そうなんです!」

「このお兄さんとこと世界設計が多分似てるんだと思うよ」

「世界線・・・世界設計ねぇ・・・見た目こんだけ違うのになっ!面白れぇぜっ!」



・・・ーーー



 お互い勤め人という事は、休憩時間の終わりがある訳で・・・

「あぁ、残念だけど、そろそろ昼休みが終わっちゃう。戻らないとだな。この後はつまらない会議で憂鬱だったんだけど、お兄さんとの話が楽しかったから耐えられそうだよ。ありがとう!またここで会ったら話そうね」

「こちらこそ!ありがとうございました!俺、昼は大体ここにいるんで!」

「でも6月までに出張で一週間来れなくなるけどな」

「そうだったぁあー!!!」

 

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