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異世界喫茶『カフェ de ローズマリー』  作者: 杉崎 朱


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第30話 最終話*お弁当


 やばいやばいやばい、これはやばい、結局昨日残業して帰ってから出張の支度してたら寝坊だよ!!いや、ギリギリ間に合うんだけどできればこういう日はギリギリは避けたい!!

 あと出張とかイベントの日ってすごく神経遣うから、ぐっすり寝ても結局疲弊するのに寝不足とかマジでキツい!!


 いつもより早い時間に家を出た俺は、いつもよりも多い荷物を持って一度会社に向かう。


 今の時間は7時7分だ。お、7が揃った、なんかラッキー。

 いつも通っているカフェの前を通る。もちろんカフェは営業時間外である。いつももう少し遅い時間に通るが、店は明かりはついておらずもちろん人なんていない。


 今日もまだみんな出勤してないんだろうなと思いながらも毎日店を見るのが日課である。今日も今日とて店をみた。



「・・・え?」



 明かりがついて・・・いる?



 俺は時間がギリギリなのにも関わらず店に吸い込まれるように向かって行ってしまった。




・・・———



 ———カランッ



 いつものドアの音だ。え、待って、てか鍵かかってない?どういうこと?これじゃぁ人入ってきちゃうじゃん?でも店の看板は出てない。知っている人じゃないと入ってはこないか。でも、知ってる人ならこの時間はいつもやってないってわかってるから・・・わかってるのに店に電気がついてたら不思議に思って入ってきちゃうよな?


 寝不足でなかなかに回転が悪い頭で堂々巡りが始まった。全部効率悪い。


 しかし、そんな事を考えながらも手は勝手に扉をもっと開けて、体は店の中に入っていく。


 いつもの光景、いつもと変わらないマスターがいた。


「え?マスター?」


「おうっ!にいちゃんこれから新幹線か?それとも飛行機だったか?」

「しっ・・んかん・・せんです。え?お店やってるんですか?」

「違ぇってよ!だから今日から改装工事だって言ってんだろ!最後に食材を調理場から出すんだよ!で、工事はもうちょっと後の時間だから、シェフが食材を使ったり、なんか他の店にあげたりするんだとよ!ほら、醤油は日持ちするけど中には開けちまったら二、三日で使い切らないといけないヤツとかもあるだろ?」


「あぁ。確かに!そうですね!」

「改装工事の予定をちゃんとわかった上でメニュー構成組んでたけど、まぁ完全にうまく使い切るのは難しいわけよ。で、残りを今からチャチャっと片付けるわけで・・・」



 ———カンッカン!!カカンッ!!



 シェフの合図が聞こえた。


「おん?ちょっとシェフに呼ばれた。行ってくるわ」


 そう言ってマスターがちょっとばかし調理場に行った。あれ、俺、これ待ってたほうが良い?!ヤバイ!!寝不足で回らない頭のせいで店に吸い込まれちゃったけど俺ちょっと遅刻ギリギリなんだよね?!


「にいちゃんよ!!あと1分だ!!待てるか?!」


 急にマスターの大きな声が聞こえてきました。


 あと1分。1分ならなんとか・・・!!


「大丈夫です!!」


「っしゃぁあ!!」


 ———カンッカン!!




・・・———



「待たせたな!!ほらよ!!」


 短い後ろ足の2本を使いながらマスターが戻ってきた。手には袋を持ってる。

 とりあえず差し出されたので掴んだ。


「シェフからだ!!新幹線で食えってよ!!余り物弁当だ!!」


「えっ!!いいんですかっ?!っちょ、今財布出しますから・・・!!」

 どの駅弁よりも嬉しい。


「あーあー、いらねぇって! さっきも言ったけど残り物、余り物で作ってんだ!!つって言っても、作ってんのはシェフだから美味いに決まってるけどよォ!」

「マジですか・・・」

「マジまじ。本気と書いてマジって読むらしいヤツ。ほら、にいちゃん行った!行った!時間ねぇんだろ!?」


 言われてハッとした。そうだ!!もう行かなくちゃ!!


「すみません!ありがとうございます・・・!シェフー!!ありがとうございます!!コレで憂鬱な出張乗り越えてみせます!!」


 ———カンッカン!!


「マスターも朝からすみません!ありがとうございます!出張終わったらすぐにきます!」

「おう!こっちもその間に新装開店の準備を適当に頑張ってっからな!」

「はい!!楽しみにしてます!!」


 そう言って、スーツケースとお弁当の袋を持ちガラガラと音を立てて会社へと向かった。





・・・———




 会社により、そしてまた新幹線に乗る駅へと向かい、やっとこさ座席に座った。


 マスターとシェフからもらったお弁当を目の前に広げた。お弁当って言ったら『お昼ご飯』のイメージだが、今は9時38分。遅い朝食だ。


 おにぎり

 焼き鮭

 卵焼き

 ほうれん草のバター炒め

 ツナサンド

 ポテトサラダ


 あ、この牛肉は昨日の残りだ!また牛肉食べられる!めっちゃラッキー!


 残り物入ってると、なんかお店のお弁当じゃなくて”家のお弁当感”がある。いや、ちゃんとお店のお弁当なんだけど。なんかこう、いい意味で『お客さん』にはしない事をされてなんか凄く喜んでいる俺がいる。


 和食と洋食を一緒の箱に綺麗に盛り付けて入っている。さすがシェフである。多分、残り物で自分達の朝ごはんとお昼ご飯の賄いでも作ってたんじゃないかな。それ以外で残った食材を他のお店に分けようとしていたんじゃないかな。あれ、俺みんなの賄い分けてもらって感じ?うわー!申し訳ない!でも感謝だ。


 

 卵焼きから食べた。


 だし巻き卵だ。


 おにぎりを食べた。塩握りだ。鮭を口に入れた。相性がいい。当たり前だ。


 サラダもサンドイッチも美味しい。初めて食べたが、シェフの味だとなんとなく口がわかっている気がする。何考えてんだ。やっぱり寝不足は良くない。食べたらすぐに一眠りしないとだ。・・・2時間弱でついちゃうけど。


 これから一週間、見知らぬ土地で見知らぬ人となんでかわからないが働かなくてはならない。謎の多い出張だ。


 このお弁当を貰えて良かった。応援して貰えた気がする。


 俺が今日朝に店を立ち寄るなんて、マスターもシェフも思ってなかったろうに。すぐにこのお弁当を準備してくれて・・・———


 すぐにお弁当を・・・———?



「え?これ1分で箱詰めしたのっ?!」



 どんな料理の鉄人でも1分で箱詰めできるかっ?!流石に厳しいだろう?!

 じゃぁ、もしかしてシェフっていうのは腕が2本以上あるとか・・・?!そうか!!シェフって言葉交わしたことないし!!そもそも人間じゃないのかもしれない?!じゃぁタコ?!イカっ?!えっ!?シェフってなに?!


 あっ!そうか!人間じゃないから弟子を取れないとか?!なんとも謎多き喫茶店だ。しかし詮索禁止故に東京に戻っても聞けない!!

 そういえば他にも気になる事あったなぁ。この間コーヨーさんが言いかけたことも気になるし、今日和服メイドさん居なかったけどおやすみだったのだろうか。



 ———結局京都駅に着くまで俺は寝れなかった。

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