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異世界喫茶『カフェ de ローズマリー』  作者: 杉崎 朱


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12/30

第12話 12:47*照り焼きチキン


「有真さん・・・!本当にご迷惑お掛けしました!!有難うございます!!今日からもうボロ雑巾のように・・・ッうぐぅ!!・・働き・・・ますから・・・!!」


 井内さんが復帰した。


「え・・・井内さん大丈夫ですか?今一回なんか吐きそうになってませんでした?本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫・・・これ以上会社に迷惑は・・・!!」

「まぁ、彼女がこう言ってることだから有真くん新人の面倒見お疲れ様。もう通常に戻っていいよ」

 井内さんが出勤をしてきたことで、俺の指導係が上司の軽い一言で終了した。


 つまり、もう面倒を見なくて良いということだ・・・?



・・・ーーー



「こんにちは昨日はテイクアウトありがとうございました!ベーグルもケーキもめちゃくちゃ美味しかったですしおばあちゃん今日来てますかお礼を言いたいんですけどーーー!!」

「おう兄ちゃん、今日も元気だな。シェフッ!ランチ1つ!」

 ーーカンッ!カンッ!


「お兄さんこんにちは。昨日魔法使いのおばあちゃんに会ったんだって?今日はあのおばあちゃん来てないですよ」

「グワーッ!」


 今日は美男子とアヒル副隊長がいた。あぁ、おばあちゃんは来てないのか。まぁ、毎日来る方が少ないだろうから仕方ないか。

 

「それより、おばあちゃんにお礼ってどうしたんです?なんか魔法でもかけてもらったんです?」

「あぁ、違うんです。そうですね。何かしてもらった訳じゃないから”お礼”じゃないんですけど、昨日おばちゃんに帰り際言われたんです。『明日には楽になると思うから、今日までよ。気楽にね』って!そしたら、新しい子の面倒を押し付けられてたんですけど、今日から見なくて良くなったんです!タイミングがバッチリすぎてその事だと思ってビックリして嬉しくなって!だからなんかお礼を言いたいなぁって思ったんです!」

「グワーグワー!!」

「アヒル副隊長も言ってる。『あのおばあさんそういうところあるよね』だって」

「魔法使いだからこそなのだろうか・・・!でもこれって予言?!じゃあ未来が見えるって事なのかっ?!」

「ばーさんの目の前で兄ちゃんの憑き物でも取れたんじゃね?」

 マスターの一言が妙に納得出来た。



・・・ーーー


「お待たせしました!今日のランチは”照り焼きチキン”です!」

「ありがとうございます!!あっ!着物の柄変わったんですね!」

「そうなんです!気づいてくださってありがとうございます!」

 今日初めて見た和服メイドさんは、新しい着物とエプロンだった!!可愛いっ!!あぁ!癒し!!


「さっ!冷めない内に食べなっ!」


 デカデカとした一枚肉だ。照り焼きの名に恥じない照り具合だ・・・!これ、写真でも涎出そうなくらいうまそう・・・!!ごはんも何か混ざってる!雑穀かな?健康に良さそうなメニューだ、シェフはそういうところ気が効くから嬉しい。


 フォークとナイフがついているが、俺は一枚肉をそのまま箸で掴んで噛み付いた!


「んんっ?!!んんーーーーー!!」

「今日も美味しいよね」

「グワッグワッ!!」

 なんでこんなに美味いんだっ!!!味付け最高!肉やわらかっ?!米進むっ!!

 かーーーっ!!日本に生まれてよかったーー!!あっ?!でもここ多分異世界なんだよなっ?!もうよくわかんない、この店に出会えて良かったーってことにしよう!!



 ーーカランッ



 俺は咀嚼しながら扉を見た。来客だ。時計の時間は12:47分。マスターを見たらメモを取っていた。と言うことは・・・


「こんにちは。小生(しょうせい)もこのお店に入って大丈夫?」

「いらっしゃい!おう!店の前の看板を読んでもらえて問題ないならな!」

「じゃぁ、お世話になります」



 猫と近いサイズの生き物が入ってきた。毛が生えてはいるがツルツルだ。つぶらな瞳と長い胴体。そして長い尻尾。そう、ご新規のお客様の・・・


 【カワウソ】だ!!

 

「ウチはランチは一種類だ、今日は照り焼きチキンだ。大丈夫か?」

「頂きます!!」

「よっしゃ、シェフ!!ランチ1つ!!」

 ーーカンッカンッ!!



 ニッチャッチャ・・・と少々爪が床にあたる音と共に歩き、カウンターで俺の隣に座った。

「ども、初めまして。見ての通りのカワウソです」

「どうも!!初めまして!!見ての通り?人間です!!」

「お兄さん常連さんっぽいですね。小生は先ほどの通り初めてです。気になってたんですがなかなか入れなくて」

 礼儀正しいカワウソだ。


「あ!俺も割と最近っていえば最近なんです!ただ、割と毎日通ってますけど!常連さんっていえばこちらのお二人です!」

 俺は美男子とアヒル副隊長を紹介した。


「初めまして、カワウソです」

「こんにちは、ご丁寧にありがとうございます。とても礼儀正しいね」

「グワッグワー!!」

「これは生まれの関係もあります。ウチは武家ですので」

 カワウソが武家っ?!将軍もカワウソっ?!カワウソだけの世界ってことか?!


「つまり、武士・・・?騎士に近いってことかな?だったらアヒル副隊長と同じ感じだね」

「ほほぅ!副隊長というのはやはりそういう副隊長でしたか!!」

「グワッ!!」


 あ、似たような世界構造のようで話が盛り上がってる。俺の世界だとなんだろう・・・SP職?とか自衛隊の方がそれにあたるのだろうか・・・とりあえず、俺とは似ても似つかぬ職業という事だな・・・。




「お待たせしました!今日のランチの”照り焼きチキン”です!」

「ほほぅっ!これは立派な焼き物だ!頂きます・・・」


 カワウソ小さい手で器用にナイフとフォークを使った。え?動画で見たカワウソと全然違う。やっぱり武士だから鍛えてるのか?!刀を使うのだろうか?!ナイフの使い方上手いんだけどっ?!


「これは美味しい。こんな美味しい肉は初めて食べたっ!」

 小さなつぶらな瞳がキラキラと輝きとても嬉しそうにしている。


「シェフ!上手いってよ!!」

 ーーカンッカンッ!!

「おぉ、料理長をシェフと言うのですね。お返事ありがとうございます」




 俺は食後のコーヒーを飲みながら、カワウソと美男子の会話を聞いていた。大丈夫、今日料理出てくるの早かったしまだ時間ある。大丈夫、走ればいいし。ギリギリまで話聞きたいし。


「小生、末っ子なんですけど・・・結構世の中的には”末っ子ポジション”は自由且つ甘やかされる事が多いんです

。しかし、我が家の家訓があり、上から下まで変わりなく躾ける。と言うのがありましてね・・・”変わりなく”と言っている割には『お前が一番若いんだから』と言われてこき使われるわけです。隊長になって、周囲から一目置かれていると部下からは言われますが、家庭ではそんなものは無関係。家での姿を部下・・隊員には見せられないですね、全く」

「グワッ!!グワーーー!!!」

「なんか後半はとてもわかると言ってますよ。仕事とプライベートの顔は別で、やはり仕事の同族にはあまり見せたくないと」

「おお!お分かりいただけますか!」

 言ってる事、思ってること人間と一緒じゃん。わかる、わかるよわかる!!俺もこの店でうさぴょんを愛でている姿は会社の人間にもできれば友達にも見せたくないもんなぁ。友達にも見せられないほどの顔を俺はこの場所でしてるって事だよな・・・。居心地いいわけだよ・・・。だって誰も不審に思わないでちゃんと受け止めてくれるんだからさー。




・・・ーーー




「グワッ!!グワワッ!!グーワワーワッワッワ!!」

「アヒル副隊長は、最近の若い子は我慢が足りなくて困ってると。でも、自分達も大変な思いを耐えてきたから同じ苦労や辛さはさせたくない気持ちもあるけど、でもそこを乗り越えないと結局続かないし、苦労するのは本人になるからって思うと中々どう指導しようか、どう説明しようかって悩むと言ってますね。私たちの仕事は戦場ですからと」

「あぁ、それあるあるですよね。本当、無理強いはしたくないですし、でもやっておいた方が経験としていいかなとも思うやつですよね」

 戦場じゃないけど俺にとってもあるあるだよ!!むしろオフィスはある意味戦場だよ!!なんだこの会話朝楽しいんだけど!動物たちが自分達と同じ悩みを抱えて頑張ってるって可哀想と思う反面、共有が出来てなんか嬉しんだけど!!



「おい、兄ちゃんそろそろ時間ヤバくねぇか・・・?」

 マスターが気にかけてくれていたっ!!あぁ!!この面白い話を持って聞きたいのにぃぃィイイ!!!


 なんで俺のお昼休みって1時間なんだろうっ!!!


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