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異世界喫茶『カフェ de ローズマリー』  作者: 杉崎 朱


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11/30

第11話 19:00*ランチボックス


「私も行きます!!時間もったいないじゃないですか?!というか一緒にお店で食べましょうよ?!」

「いや、予約しないと無理だから。だからテイクアウトを昨日のうちにお願いしてきたんだ。会社の休憩スペースで食べよう」

「せっかく一緒に外でランチできるって楽しみにしてたのにぃ〜!!」


 なるべく休憩時時間を共にしたくないため、カフェが予約制などと意味不明な嘘までついてお弁当を取りに行った。


・・・ーーー



 ーーカラン


「おうっ!いらっしゃい!丁度包み終わったぞ!」

 出迎えてくれたマスター。しかし、今日はシェフにランチをオーダーしない。そう、今日はテイクアウトなのだ。特別に。

 ランチボックスを大きなビニール袋に入れてくれたマスター。指短いのに器用に入れている。いや、そんな事どうでも良い。俺はこれから新入社員の女の子と会社でご飯を一緒に食べなければならない。

 つまり、今来たこの店を、お金を払ったらすぐに出ていかなければならないのだっ!!!何故っ!!


「兄ちゃん急げよ、昼休み短いんだろ?」

「昼休みなんて終わってしまえばいい。そして仕事しながらシェフのご飯を一人で味わいたい・・・」

「ダメだこりゃ、おい!うさ吉、兄ちゃんにカツ入れてやれ!」

「お兄さん頑張るのーーー!!うさぴょん応援してるーーー!きっと花魁さんも応援してくれるよっ!!」

 今日は花魁さんが来ている!


(アニ)ィ、女子(おなご)と一緒にランチを食べるんじゃって?迫り来る女子は脅威じゃろうが、まぁ・・・大丈夫じゃ、のらりくらりとはっきりしない態度を続けておれば、女子も痺れを切らして他の男へ行くなんし。決して嫌がったりしてはならぬぞ!女子によっては嫌がると逆に燃える者もおるからなっ!」

「何っ?!本当ですか?!嫌がっているのに燃える?!」

「そうじゃ!じゃから、のらりくらりと交わすのじゃ!」

 そうなのか!!良いことを聞いた!!


「花魁からご教授たぁ、高くつくんじゃねぇか?!」

「アチキはそんなにケチではない、これしきタダじゃ」

「ありがとうございますぅぅうううううううう!!!」

「ほいよ!特別ランチ二つで800円な!!」

 相変わらずおかしいくらいに安い。




 俺は1,000円札を一枚マスターに手渡した。

 ーーッシュ


 ーーヴヴヴヴヴヴ・・・


 ーーウィーン


 ーーチャリンチャリン・・・


「はいよっ!200円の釣りだ!」

 そう言って器用に指の間に100円玉を二枚挟んで手渡してきた。


「あー!お兄さんに人参ケーキ二つ入れて欲しいの!うさぴょんからのプレゼント!!」

「ってなわけだ!シェフー!!」

 ーーカンッカン!!


「え?!良いのかい?!」

 突然のプレゼントに俺は驚いた。てかあの人参のケーキまだ作ってるのか!食べてみたかったからめっちゃ嬉しい!

「うん!今日はここで一緒にご飯食べられない代わりに人参ケーキで頑張って欲しいのー!」

 やばい、俺、感動して泣く。

「すぐ包むからもうちょいだけ待ってくれなッ!」

「ずっと待ちます。なんなら昼やすみ終わるまで待てます!!」

「そんな遅くねぇよ」



 ーーカランッ



 喫茶店の扉が開いた。時間は19:00。俺は知らない時間だ。


「いやいや、だいぶ久しぶりだねぇ!」

「おぉ!!ばーさんじゃねぇか!本当久々だなぁ?また世界でも救ってたか?!」

「あらネコちゃん!そうなのよ!!あの後から2回も世界救っちゃって!あ〜忙しかったわ!」


 ご年配のどこにでもいそうなおばあさんだ。小柄でどこにでもいそうな可愛いご婦人。えっちょっと待って、2回世界救ったって何?!

「まぁ良くもあれだけしょっちゅう事件が起こる世界だわさ、忙しくて参っちゃうわぁ〜ワタシくらいもっと骨のある若者が育ってくれないと全然引退できないのよ〜」

「ばーさんが規格外で強すぎんだよ。ちなみに俺、ネコじゃなくてハクビシンな」


 恵比寿様の様な人相をして”強すぎる”とは?!俺は気になりすぎてうさぴょんを見た。気が利くうさぴょんは俺の目線に気づいてジャンプしてきた!

「あのおばあちゃんはね!すっごくすっごく強い魔法使いなんだよ!おばあちゃんの世界で一番強いんじゃないかな?!なかなか強い魔法使いが生まれないとか育たないって前に言ってたの!!だからね!何か問題が起きるとみんなおばあちゃんに『助けて〜!!』ってやってくるんだって!186歳なのに大変だよね!」


 1 8 6 歳 ! !


 あれか?!魔法使いは長命ってやつなのか?!どう見たって70代にしか見えないぞ?!

 異世界の人や生き物にはここでたくさん出会ってきたが、確か魔法を使う様な人はいなかった・・・あぁ、魔王は使えそうだな・・・。でも、ろくに喋れなかったし・・・!すごい!魔法使いのおばあちゃんかぁ!魔女っぽくて確かに箒が似合いそうだ!!なんか世界を救った話とか聞きたい!!


「あら!綺麗なお嬢さんだこと!」

 おばあちゃんはカウンターに座っていた花魁さんを見つけて言った。目がキラキラとしている。

「アチキは最近ココに通い始めた新参者でありんす、どうぞよしなに」

「本当お人形さんみたいねぇ〜!うさちゃんもお久しぶりね!」

「おばあちゃん元気そうでうさぴょん嬉しいのー!」

 おっ!この流れ!俺も話できるかもっ?!

「お待たせ致しました!本日のランチは”ベーグルサンドプレート”です!」

 和服メイドさんが今日も可愛い!!そして持ってきたランチをうさぴょんと花魁さんの前に置いた。


「あら〜!相変わらず美味しそうねっ!」

「ベーグルサンド大好きなのー!」

「アチキはお初にお目にかかる」


 ベーグルサンドっ!!二つ乗っていて、挟んであるのはベーコンと生野菜。もう一つはサーモンだ!多分一緒に挟んである白いのはクリームチーズっぽい!唐揚げもある!めっちゃ美味そう!!良いなぁっ?!

 てかナチュラルにおばあちゃんと話せそうなタイミングを失った!!みんなもうランチに夢中だよ!?それにしてもベーグルサンド良いなぁ・・・俺のテイクアウトの中身はなんだろ・・・まぁ、何が入っててもシェフが作るランチだから絶対美味しいんだけど・・・いや!むしろみんなと違うメニューだとしたら俺だけ超特別ってことじゃん?!だってシェフは一種類しか作らないって言ってたんだから?!



「おう!兄ちゃん待たせたな!うさ吉からの差し入れだ!」

 マスターが裏から取っ手付きの箱を持ってきた。

「人参ケーキ、随分と丁寧に箱に入れてくださったんですね。ありがとうございます!」

「・・・?ケーキっつったら箱だろ?」

「あぁまぁ、でも、パウンドケーキとかカップケーキは袋詰めの方が多いかなって思って」

「あぁ!”今日の人参ケーキ”は本当にケーキだぜ。生クリーム使用だから謂わばショートケーキっつった方がわかりやすいか?」

「人参のショートケーキ?!」

 訳わかんないけどシェフが作るから絶対に美味しいに決まってる!!これはうさぴょんにお礼を・・・!


「うさぴょん!本当にありがとう!これでなんとか頑張るよ!」

「良かったのー!応援してるねー!」

「兄ィ、のらりくらりじゃぞ」

「みんなありがとう!!」


 あぁ〜・・・あとはおばあちゃんと喋りたかったけど、これ以上は待たせてる新入社員に悪い・・・。仕方なく俺は諦めてランチボックスとケーキの箱を手に取って会社へ戻ろうとした。



「おや、お兄さん。始めましてだね?」



 おばあちゃんが話かけてくれた!!

「はいっ!!初めまして!俺も少し前からココに通い始めた者です!!」

「そうかい、そうかい。ここのご飯は美味しいもんね」

「そうなんです!みんな良い人・・?人?たちですし、本当に癒されるんです!!おばあちゃん、魔法使いなんですよね?!もしよければ今度お話し聞かせてください!!」

「あぁ、いくらでも良いよ。って言っても、ワタシの世界は一度荒れると治めるのが大変でね?今一旦落ち着いてるから、近い内にまたくるよ!そうしたらたくさん話をしようね。聞きたいこと、なんでも答えるよ」

「本当ですか?!ありがとうございます!じゃぁ、皆さんもまた明日!!」


「あ!お兄さんや?」

 扉を開ける前におばあちゃんに呼び止められた。

「明日には楽になると思うから、今日までよ。気楽にね」

「はい、ありがとうございます・・・?」



 


 会社に戻って遅いと怒られたけど、美味しいベーグルサンドに彼女も機嫌を直してくれた。ってか、人参のスポンジケーキと生クリームが相性良い。シェフはシェフで魔法使いだと思った。



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