表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世が人気声優だった私は、完璧に悪女を演じてみせますわ!  作者: 桜咲ちはる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/36

5.幻の花


 ボンッと大きな音を出し、黒い球が魔物に飛んでく。こんな技じゃなかったけど、って大きくない!?木よりも大きい魔物の半分くらいの大きさの球が魔物に当たり、魔物が呻き声を上げ倒れた。バッと3人が振り向く。


「すごいです!お嬢様」

「一体どんな魔法を……」


 感激するポーマと驚くレビウス。私だってわからない。この世界には魔法の呪文は存在しないのに……。セイヴァンが寄ってきて、私の手を掴む。


「手が間違ってるんだ。真似してみろ」


 パッと手を離し、セイヴァンが手を動かす。私も動かしてみるけど難しい。するとセイヴァンは私の後ろに周り、抱きしめる形で手を掴む。二次元のイケメンが至近距離にいて、平気なわけがない!体温が直に伝わる。正面からじゃなくてよかったかもしれない。私の顔は今、真っ赤だろうから。


「……こうするんだ。聞いてるか?」

「ひゃ、ひゃい!」


 ダメだ、何も聞いてなかった。それを察してか、セイヴァンがもう一度教えてくれる。手を動かし終えた時、ビームが手から放たれ魔物を焼き尽くした。


「やはり、膨大な魔力だな……」

「お嬢様は天才ですね」


 笑顔のポーマとは反対に、セイヴァンは眉を顰める。


「レイン嬢、それだけの魔力を持っていて、何故魔法を使うのを渋っていたんだ?」


 何でセイヴァンが知ってるの?確かにレインは魔力が少ないことを気にして、授業ですらあまり使わず見学していた。やばい、別人だってことがバレてしまう。


「わっ、私は自由気ままに暮らしたいのです。王国魔導士なんてごめんだわ」


 どう?レインっぽい?セイヴァンは目を丸くしていたが、少ししてぽんと私の頭に手を置いた。


「確かにな。なら今だけ力を貸してくれ、レイン嬢」


 大きくて、氷の公爵の名に恥じないひんやりとした冷たい手。肌のなめらかさとは違い、骨ばったゴツゴツとした手に心臓が跳ねた。


 セイヴァンに手を引かれ、頂上を目指す。次第に木の枝が覆い被さるように交互に重なり、空が見えなくなる。カラスの鳴き声が耳を突き破り、おどろおどろしい石碑が見えた。間違いない、頂上だ。


「レイン嬢、今からやる動きを覚えてひたすら撃ち続けてくれ」

「わかったわ」


 セイヴァンは先ほどより少しゆっくりめに手を動かしてくれる。1度目を終え、繰り返そうとした時に「ぐおぉぉぉぉぉ」と呻き声を上げ、それは現れた。


「ドラゴンか」


 セイヴァンが氷魔法で攻撃し、ポーマとレビウスが剣で斬る。私は深呼吸をして、教わった通りに手を動かした。ビームが手から放たれる。異世界転生して魔力がなかったらと思うと、恐ろしい。この設定を作ってくれた姫奈先生に感謝だ。


 どれくらい魔力を使っただろう。がくっと足に力が入らなくなり、膝をつく。セイヴァンたちももう限界みたい。魔物の攻撃を受け、怪我をしている。どうにかしなきゃ……。私は思いっきり叫んだ。


「おりゃあああああああ!」


 ぐっと手を前に出す。するとドラゴンは唸り声を上げ、爆散した。


「やった……」


 私はその場に座り込む。私の手で倒せた……。視界が開け、岩の上に一輪だけ白い花が生えていた。原作じゃ、何輪あるか描写されてないから知らなかった。セイヴァンが近づいて、花を摘もうとする。


「待って」


 止める私を怪訝な顔して振り返るセイヴァン。わかってる、早く持って帰らなきゃいけない。けど今摘んでしまったら?アミューゼが同じ病にかかった時助けられなくなる。


「この先、セイヴァンの……セイヴァン様の大切な人が同じ病にかかったとして、後悔しませんか?」


 未来のために残すってことは、妹さんを見殺しにすることだ。そんな道は選ばないってわかってる。でも未来を知ってる者としては、忠告するべきだと思った。


「しない。リリーより大切な人なんていない」


 予想通りの答え。アミューゼとまだ出会ってないから、そう答えるしかないだろう。


「ならよかったです」


 と私は返事する。私だってそうしていただろうから。私は今日、未来を変えてしまった。そのことでどんな不都合が起きるのか、想像すると怖い。でもきっと、セイヴァンなら……ヒーローならどんな困難でも乗り越えられるんだろう。


「早くお花、持っていってあげてください」


 どうぞ、と手を前に出した瞬間体がぐらつく。セイヴァンが私の肩を支えた。


「悪い、魔力切れ起きてるかもな」


 セイヴァンがレインに謝るなんて……。謎に感激してしまう。けど何か言いたいのに、口が動かなくて私は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ