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前世が人気声優だった私は、完璧に悪女を演じてみせますわ!  作者: 桜咲ちはる


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3.闇魔法


 そういえば……。ふと私は自分の手のひらを見る。レインは闇魔法が使えたけど、私も使えるのだろうか。試しにペンに手を翳してみる。アニメでアミューゼが最初に魔力を使った方法だ。ゆっくりとペンは浮かび上がり、天井にくっつく。私にも魔法はあるらしい。


 ステラと庭に出て、本を広げる。学校に復帰する前に、自分の魔力量を知っておきたかった。本を置き手を広げ、目を閉じる。集中すると自分の体の奥から力が湧き上がってくるような感覚がした。目を開けると黒い風が体を覆うように吹き荒れる。手を上に上げ、竜巻を飛ばした。


「お、お嬢様すごいです」


 ステラが驚いて、拍手する。大きな竜巻は高く上がり、自然に消える。魔法は簡単に出せるものの、魔力量を測るには今の方法じゃわからない。


 そうだ、使い魔。確かレインは黒い小型の狐を作り出せたはず。使い魔の出し方は、両手を包み込むように胸の前に出し心の中でイメージする。アニメでも描かれた方法だ。


「ギャオーン」


 大きな鳴き声に目を開けると、腰の高さまである大きな黒い狐が私を見つめていた。「あ……あ……」とステラは狼狽え、石に引っかかり尻もちをつく。私も驚いていた。使い魔の大きさは主の魔力に比例する。つまり私は本物のレインよりも魔力があることになる。


【氷姫】の設定ではヒロインがチート魔力を手に入れるけど、転生者ならみんなそうなるのだろうか。少し期待してしまうけど、魔王を倒すには聖女の光魔法と愛の力が必要だった。私のは闇魔法だから、これじゃ魔王は倒せない。


 ひとまずこの魔力が知られると不要に怖がらせるだけだろう。怯えてるステラの手を引っ張って立ち上がらせる。それから指を鳴らし使い魔を消した。


「このことを誰にも言ってはダメよ」

「は、はい!」


 震えた声でステラは返事する。いちいち怖がらせて申し訳なさでいっぱいだ。


「ステラ、あなたが嫌なら暇を出してもいいのよ」

「お嬢様!申し訳ございません、何でもするのでそれだけは……」


 必死に懇願するステラに「わかったわ」とだけ頷き、部屋に戻る。悪女のフリしながら優しくするのって難しい。


 レインは魔法学園に通っているけど、今はちょうど長期休みで侯爵領にいる。休み中たった1日、セイヴァンが来る日を作ってたみたいで、その日に私は転生した。あれ?ってことは転生条件にセイヴァンも入ってるのだろうか。……セイヴァンに協力してもらうなら、友達くらいにはなっておかないと。


 私は早速先日のお詫びとお礼を書いた手紙をセイヴァンに送る。次はいつ会えるのかとも。部屋で勉強と魔法のコントロールの練習をしながら返事を待つが、一向にセイヴァンからの連絡はない。まぁ当然か。だからって学園に行っても高等部のセイヴァンに気軽に会えるわけじゃないし、何もアクションを起こせないことがもどかしかった。


 コンコンとドアをノックされる。セイヴァンが来たのだろうかと僅かな期待をこめて返事する。ステラじゃなくて、他の使用人がドアを開け私に告げた。


「リリー様が倒れられたそうです」

「リリー?」


 聞き返すとセイヴァンの妹だと教えてくれる。「何か贈り物しますか?」と尋ねる使用人に違和感を抱く。公爵家の、特にあの氷のセイヴァンが隙を与えるような情報が外部に漏れるような口の軽い人を雇ってはいないと思う。


 使用人を買収してる?いや、可愛がってもないレインのために両親が村んな危険を犯すわけがない。考えてもわからないから、素直に聞くことにした。


「何で知ったの?」

「5日間目が覚めず、医者も原因不明とのことで情報を集めてるようです」


 5日間目が覚めない……。氷の公爵様も妹のこととなると冷静でいられないのね。


「……待って」


 5日間……。1週間……。私はハッとした。そういえばセイヴァンの妹とアミューゼは同じ病にかかったことがある。まだアニメ化されてない、レインが処刑された後の話だけど面白くて原作も読んだから覚えてる。あれは確か、幻の花がないと……。


「ステラ、私付きの護衛っている?」

「はっはい、そこにポーマとエリックが」


 ああ、たまに見かけてたこの2人、私の護衛だったのか。転生してからいっぱいいっぱいで名前も聞けてなかったことに気づいた。


「1人はセイヴァンに伝言をお願い。もう1人は私と一緒に来て」


 乗馬なんて経験がない。私は構えてイメージをする。狐が私の前に現れた。


「伝言というのは?」

「ラプァールド山の頂上に生えてる幻の花があれば妹さんは助かるって。それとその病はもって1週間だから時間がないってことも」


 ラプァールド山!?とこの場にいる全員が驚く。


「お嬢様いけません、あの山は危険」

「誰に指図してるのかしら」


 ドスの効いた声で言えば、みんな口を閉ざす。わかってる、原作でもセイヴァンが数人で行っても苦戦した、凶悪な魔物がたくさんいる山だって。もちろん怖い。でも妹さんが5日も眠ってるってことは、あと2日で花を持って来なきゃ死んでしまう。


 私は善人なんかじゃない。死にたくないし怖いし。転生ヒロインみたいにキャラクターを自分と同じ生きてる人間とは見られない。だから帰りたい一心で、セイヴァンに恩を売りたくて狐に跨って出発する。私だって【氷の公爵のお姫様】の転生者なんだ。チート級の魔力があったっておかしくないだろう。

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