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前世が人気声優だった私は、完璧に悪女を演じてみせますわ!  作者: 桜咲ちはる


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16.Amiの手掛かり


 休日、私は王都で聞き込みをしていた。【運命の人】を出版しているラムエル出版社を探す。知らない人も多かったけど、10人目でようやく場所を聞けた。さすが大きな出版社、そんなに時間は掛からなかった。


「すみません、お聞きしたいことがあるのですが」


 階段を上がり、ドアを開ける。部屋は社員さんが忙しなく働いていた。私は手前に座ってる人に声をかける。


「あの、作家のAmi先生についてお尋ねしたいことが……」

「あー、困るんだよねそういうの。個人情報は教えれないよ」


 顔を上げずに言われる。それもそうかと思っても簡単には引き下がれなかった。Ami先生も転生者かもしれないし、そうでなくても元の世界に戻る方法を知ってるかもしれない。転生者だったら、3人も転生してくるんだから何か共通点があるとも思った。


「私、アルバドール侯爵の娘ですわ。だから教えてくださらない?」


 被っていたフードを脱いで、もう一度話しかける。一瞬私のことを見たけど、しっしとてで追い払う素振りをされた。


「いるんだよね、そうやって貴族を語る人。いくらファンでも教えられないよ。仕事の邪魔だ、帰ってくれ」


 この世界に来てから頭が鈍っていたかも。手紙で事前にアポを取るべきだったと反省する。社交デビューもまだしてない私のことを知ってる人は少ないみたい。諦めて出直すことにして廊下に出る。


「レイン嬢?」


 聞き慣れた声に驚いた。まさか、ここで知り合いに……それもセイヴァンに会うとは。私は顔を上げる。


「セイヴァン様、どうしてここに?」

「少し調べ物をね。レイン嬢こそ、出版社とは何も縁ないんじゃないか?」


 セイヴァンは何を調べてるんだろう。公爵家に必要なことだろうな。私は無理でも、セイヴァンなら社交界に出てるし公爵だし顔が効くかもしれない。私は顔の前で両手を合わせた。


「セイヴァン様、お願いがあるんです。Ami先生のことが知りたくて、でも門前払いされてしまって……。セイヴァン様に聞いていただくことはできますか?」


 セイヴァンは私の頭を撫で、「わかった」と二つ返事で了承する。すんなり聞いてくれると思わなくて、それも驚いた。セイヴァンはレインに甘いかもしれない。


「ただ、そのアミ先生って誰だ?」

「【運命の人】の作者です。ほら、今話題の」


 本を見せて言うと、覚えていたのかセイヴァンが納得する。


「君も好きなのか?その、転生とかいうやつ」

「え、ええ。まぁ……」


 そういえばセイヴァンは気持ち悪いって言ってたっけ。言わない方が良かったかと口を押さえると、セイヴァンが私の手を掴んで指を絡める。触れられたところが熱くて、私は口に力を入れて恥ずかしさに耐えた。


「君はここにいてくれ。転生なんてしないで」

「……」


 何も答えられなくて、セイヴァンから目を逸らす。ここにいるも何も、私はすでに転生した身なの。行こう、とセイヴァンは私の肩を抱いて階段を上る。そのまま出版社に入ると、仲良しカップルに見えそうでそれも恥ずかしかった。


「シンザーはいるか?」

「あ、セイヴァン様こんにちは。今呼んできます」


 みんなの態度がさっきと全然違う。公爵って本当にすごいんだ……。やがてやってきたシンザーって人は、茶髪に焦茶色の瞳をしたどこか安心する雰囲気を持つイケおじだった。


「セイヴァン様、よく来てくださいました。が、すみません。生憎今日も新しい情報と言うのは……、何せ幻の」

「ごほん、大丈夫だ。今日は婚約者の頼みを聞いてほしくて」


 セイヴァンがわざとらしく咳払いをする。それから私の背中を押して前に出した。


「はい、セイヴァン様の婚約者様なら何なりと」


 いざそう言われると緊張して、セイヴァンを見上げる。セイヴァンは微笑んで、頷いてくれた。


「【運命の人】を書いてるAmi先生と連絡が取りたいんです」


 正直に言うと、シンザーさんは頭を掻く。


「作家の個人情報はちょっと」

「シンザー、頼む」


 セイヴァンが年を押すと、シンザーさんはため息を吐く。ドキドキしながら次の言葉を待ってると、シンザーさんは口を開いてくれた。


「我々も知らないんです。どこかの貴族ということしか」


 作家と編集なら密なやりとりをしてると思ってたから想像してない答えで驚く。誤魔化してるのかじっと見つめると、シンザーさんは肩を竦めた。


「毎週使用人が原稿を届けてくれるんです。私が訂正しなくても完璧な原稿、まさに天才なんですよ」


 謎の天才作家ということか。どういう人か知りたかったから、思ってた答えじゃなくてがっかりする。けど確実にセイヴァンがいなかったら聞けなかっただろうし、使用人がいるなら何とかなるかもしれない。


「手紙をすぐ書くので、その使用人に渡してほしいです」

「……そのくらいなら、はい」


 私は出版社を出て、近くの店で便箋を買う。カフェはないかと探すと、セイヴァンが案内してくれた。


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