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前世が人気声優だった私は、完璧に悪女を演じてみせますわ!  作者: 桜咲ちはる


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10.学園寮


 魔法学園の女子寮に着いて、私は馬車を降りる。


「1人で平気か?」

「平気よ。子供じゃないんだから」


 メイクは軽く直したけど、腫れて真っ赤になってしまった目が恥ずかしい。セイヴァンとなるべく目を合わせないように、私は寮を振り返った。大きくて綺麗な、ファンタジーな寮。レインの家もセイヴァンの家も豪華だったけど、また違うわくわくがある。


「じゃあまた、学校で」

「ええ」


 セイヴァンに見送られて私は寮に入る。私の姿に生徒たちがびくびくして目を逸らしていく。それだけでレインが好き放題やってたのが伝わる。カツカツカツとヒールを鳴らして、3人の女子生徒がやってくる。レインの取り巻きたちね。


「レイン様、お久しぶりですわ。お元気でしたか?」

「ええ。充実した毎日だったわ」


 おかげさまでその間に別人になったわけだけど。探るような目つきで見られて落ち着かない。


「私はレイン様に会えなくて寂しかったですわ。お茶会も開けないほど忙しかったのですね」

「セイヴァン様が私を離してくれなかったんですの」


 にっこりと微笑んで答えれば、悔しそうに顔を顰める取り巻きたち。そういえば、とリリーの病についての話になり私は適当に聞き流していた。この世界で生きてくには友達も大事だと思ったけど、この3人と友達になったら疲れそう。腹の探り合いは苦手なの、私。


 部屋を探しながら歩く。レインは侯爵令嬢だから、確か1人部屋だった気がする。


「あら?レイン様。部屋はこっちですわ」


 ケイトン伯爵令嬢に指摘され、慌てて方向転換する。「レイン様でも間違えることあるんですね」と言われ、笑って誤魔化した。記憶がないって言ってしまいたい。そんなことしたら処刑されるから、絶対言えないけど。


 部屋はそう広くはないけど、寮の1人部屋って考えると十分すぎる大きさだった。好きなように模様替えできるのか、カーテンも小物もレインの好きそうな物で溢れていた。


「ベッドも自前かな」


 レインの家と同じようなふかふかのベッドで嬉しい。私は明日に備え、早めにお風呂に入って寝ることにした。多少教科書を読んで勉強したとはいえ、家庭教師を雇ってほしいとあの両親に言えるわけもなく特に魔法学に関しては不安だった。レインは魔法学以外の成績は良かったはずだし、さすがに誤魔化しきれないかもしれない。早く頭の良い子とお知り合いになって、勉強を教えてもらうしか。


「ミレーナと友達になりたいけど、嫌われてるかな……」


 頭も良く優等生で、おまけに優しいミレーナはアミューゼの友達だ。でも正義感の強いミレーナは、すでにレインのことを嫌いかもしれない。ダメ元で話しかけてみようとは思うけど。改めてレインの人の恵まれなさを実感する。本当の友達でもいたら更生する機会もあったかもしれない。私がいつか元に戻った時困らないよう、友達作りも頑張ろう。


「あとは男友達だよね……」


 中等部の、というかセイヴァンの友達以外の男子を誰一人知らない。安心って意味で言うとセイヴァンの友達とお近づきになりたいところだけど、セイヴァンの婚約者である以上浮気相手にはなってくれないだろう。レインが幸せになるためにも、あの3人の誰かだと良いんだけどなぁ。


 色々考えてたら眠れなくて、部屋の中を歩く。棚の上にオルゴールがあって、私は鳴らしてみた。落ち着いた、綺麗な音色。レインにも好きな音楽あったんだな……。レインはやり方を間違えただけで、本当は優しい子なんだと思う。愛を知らなくて、愛されたくて仕方なかった。私の愛がレインに伝わってくれたらいいのに……。


 オルゴールを閉じ、眠りにつく。アニメの映像が私に忠告するかのように、夢の中に出て来る。レインは悪女だと、処刑されるべきなのを忘れるなと。私は魘されながら目を覚ました。冷や汗が止まらなくて、両腕で体を抱きしめる。


「死にたくない……」


 たとえそれが元の世界に戻る方法だとしても、私は死ぬのが怖い。寝るのを諦めて、早い時間に学園に向かう。まだ門は空いてなくて、花壇の淵に座って小説を読んだ。面白いと思っていた小説も、悪役令嬢が登場する度に手が震える。体調が悪くなって、本を閉じた。そうだ、私は悪役令嬢。誰にも望まれていない。


「レイン嬢?」


 名前を呼ばれて顔を上げる。そこには驚いてるセイヴァンと3人の友達がいた。


「早い時間にどうしたんだ?まだ門開いてなかっただろ」


 セイヴァンが門に手をかざすと門が開く。確か生徒会長だから、門を開ける当番なのだろうか。


「セイヴァンの婚約者?」

「ああ、レイン嬢だ」


 おいで、とセイヴァンが私の体を持って抱き上げる。それから頬に触れた。


「冷えてる。温かい紅茶淹れようか」

「甘いねぇ」


 セイヴァンの言葉にミンハルが冷やかす。私は首を横に振った。


「大丈夫」

「拒否は聞かない。ほら、行くぞ」


 セイヴァンが私の腰を抱いて、校舎に入ってく。助けを求め後ろを見ると、3人は驚いていた。そりゃそうだろう。多分婚約者に興味がないことを話していたと思うのに、いきなりこの扱いだから。私だって驚く。セイヴァンが普通に入っていくのを考えるとこっちは高等部なんだろう。階段を上がって、セイヴァンはある部屋に入ると私を椅子に座らせた。

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