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あとがき


 拙作をここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 この作品は、私の趣味と妄想が炸裂・暴走して生まれた大作です。


◇ 執筆の経緯


 振り返ると、最初にこの作品をカクヨムに投稿したのは2025年3月14日でした。2月末、急に脳内妄想が暴走し、小説を書きたくなった私は、3日で7万字の処女作を書き上げました。


 小説を書くのが楽しくなってきた私は、そのまま勢いで中国の英雄・趙匡胤を題材とした当作品を書き始めました。1作目を何かに乗り移られたように書いてしまったので、2作目は楽しみながらゆっくり書きたい、そんな気持ちでした。


 しかし、何の指針も持たず書き始めた私は、すぐに路頭に迷うことになります。「あれ……このお話はどこに向かっていくんだろう? 小説って、どう書いたらいいの!?」と猛烈に分からなくなりました。この迷走ぶりは、閑話のところに残像があります。



◇ 小説修行の日々


 もともと本業の邪魔にならない程度に趣味として書くと決めていましたが、「たとえアマチュアだとしても、世に出す(WEB掲載する)なら、質を上げなきゃ読み手に失礼でしょ」と思うようになりました。10代の頃、吹奏楽をやっていた私には、練習もせずに定期演奏会を開くような罪悪感があり、小説の勉強を始めました。


 小説の書き方の本やWEB記事を読み漁り、シナリオを学ぶスクールにも入学、ココナラの添削サービスなども受けました。初めて小説のプロットなるものを作り、ストーリーを追うこと以上にシーンを魅せることを意識するようになりました。


 そんな試行錯誤の結果、初期に書いた部分と後から書いた部分で小説の質感が違う作品になってしまいました。漫画で1巻と10巻で絵柄が違うことがよくありますが、あんな感じです。とても読みづらかったと思います。ここまで読み進めてくださったあなたを、私は勇者に感じますし、もしかしたらこのニッチな趣味趣向にはまってくださった同志かもしれません。



◇ 執筆の動機と主人公への愛


 2作(合計26万字)書いてみて分かったことがあります。私の執筆の動機は、「激しく愛し、愛される体験をしたい」ということです。最近の"溺愛もの"のような夫だけの愛情ではなく、もっと広範囲の愛情が欲しい!笑


 振り返ると、1作目の主人公・蕭玲(しょうれい)も、今作の主人公・趙燁華(ちょうようか)も、全方向から愛されています。全方向から愛されつつも、内面の苦悩と戦い乗り越えていく女性を描きたかったようです。


 私の作品は舞台設定・世界観と主人公をどうするかが起点となります。中国の歴史・時代小説・漫画にハマっていた私は、全方向から愛される必要から、ある程度人気のある歴史上の人物を探しました。


 そんな時に見つけたのが趙匡胤でした。日本ではほとんど知られていませんが、中国では人気の英雄で、彼や周りの人物を題材にした戯曲やお話がたくさんあります。


 調べれば調べるほど趙匡胤の魅力にはまり、そこに「美人」や「メンタル弱め」という自分の好みの属性を追加、最後に女性化したところ、自分好みにドストライクな人物像が出来上がりました。メンタル弱いのに頑張り屋で、ボロボロになりながら周りに助けられながら必死で這い上がり天下統一する、そんな女性版・趙匡胤を描こうと思いました。


 主人公を溺愛しすぎて途中大きく暴走してしまったところもあります。姉妹愛を全面に出したかったのに、趙普と燁華の絡みを書きすぎたかなという反省もありますが、好きすぎて止まらなかったので、割り切ってそのままにしました。



◇ 歴史研究と執筆の苦労


 迷走しながらも19万字という長編を書き上げられて、今はとてもホッとしています。特に後半、燁華が皇帝になってからは、正史がかなり残っていたので、どこまで歴史を踏まえるか、どうエンタメ性を出すかにとても苦心しました。


 この作品を書くために、五代十国時代の文献やWEBサイト(中国語のサイトをかなり調べました)、『資治通鑑(しじつがん)』『宋史紀事本末(そうしきじほんまつ)』『五朝名臣言行録こちょうめいしんげんこうろく』といった文献の一部にも目を通しました。日本語訳がすぐ手に入らないものは、原文を現代語訳しながら読んだものもあります。この足跡の一部はNOTE(https://note.com/light_serval7043)に残っています。


 特に帝王学の必読書ともいわれる『資治通鑑』などに当たり、登場人物の人格やその時の状況を想像しながら、どうしてその判断・行動に至ったのか考えることができたのは、とても有意義でした。普段会社経営をしている私にとって、古典研究と作品創作を兼ねたこのような機会・時間を得られたことに大いに感謝しています。


◇ マニアックな楽しみ方


 本作に出てくる男性陣、および郭威の妻は、全て歴史に実在した人物です。ネットで名前を検索すると、日本語・中国語の解説がたくさん出てきますので、ぜひ楽しんでみてください。


 ヒーロー役の趙普は、「論語の半分で国を治められる」と言い、儒学で国を治めるという中国政治の源流を作った人です。中国には銅像や大きな墓も残っていて、彼もまた英雄の一人です。こんな中国の英雄をひっ捕まえて主人公といちゃいちゃさせて良かったのか、中国の方、本当にすみません。本作では実務的な勘が鋭く、非常に寛容で器が広いけれど、エロエロで主人公にメロメロな人物として描いています。


 郭威もまた、貧しい出自から上げマンな妻に恵まれ皇帝にまでなった面白い人物です。郭威と妻・柴氏のロマンスも戯曲になったりして、とてもロマンチックな話があります。郭威の後を継いだ柴栄もまたキレ者で勇敢な、かっこいい人物です。


◇ 歴史上の有名な出来事


本作に登場した歴史上有名な出来事:

- 高平こうへいの戦い

- 黄袍加身こうほうかしん

- 杯酒釈兵権はいしゅしゃくへいけん

- 千載不決のせんざいふけつのぎ


気になる方はぜひ調べてみてくださいね。



◇ おすすめ関連作品


この時代にはまった方への関連作品:

- 中国ドラマ『大宋傳奇之趙匡胤』:趙匡胤の生涯を描いた48話の作品。少し前にはYouTubeで視聴可能でした。

- 中国ドラマ『燕雲台』:遼の景宗皇后・睿智蕭皇后の生涯。冒頭シーンが特に美しい作品。

- 『楊家将演義』:京劇の演目としても人気。主に趙匡胤の死後のお話。


他にもおすすめがあったら教えてください♪



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