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才能

作者: 藤 赤碧

 君は天才だ。

 君には才能がある。

 こんな言葉を何度も言われてきたが、私は自分が天才だなんて思ったことはないし、才能があるとも思ったことはない。ただ、やってる人が少ないだけで、自分はたまたまそれをやる機会があって、たまたま才能を見出されたに過ぎない。そう思っている。

 自分の才能に一番初めに気がついてくれたのは父だった。当時、1年近く行方不明になっていた80代の男性を私は見つけたのだった。それは既に死体となっていたが、見つけた経緯について父に話したところ「お前には才能がある」と父は私に教えてくれた。父はそんな私の能力を活かすべく、とある人に会わせてくれた。今となっては父がかなり苦労してこの人に会わせてくれたのだなと実感するのだけど、当時はその凄さには気が付かなかった。


 次の日から、その人からテクニックのノウハウを教え込まれ、私は傍目から見ても上達の速度は早く、みるみるうちにあらゆるスキルを取得していった。40代男性、20代女性、海外のちょっとした有名人。それこそ汎ゆる人が対象であり、それらを上手くこなすことができた。当時身体も小さく、目立たない風貌も相まってか、周りの誰もが想像以上と褒め、その都度「お前は天才だ」と言われてきた。私にとっては、当たり前のことで、できることしかしていないわけだから、天才と言われることに違和感を感じていたのだが、成長し大人になった今、そもそもこの職業?の人口が少ないことの方が大きいのでは?と感じるようになった。それでも数少ない同業の人からこうして能力を認められると、嫌な気分にならないのも事実ではあるけど。


 ブーブーブー


 おっ。仕事の依頼かな。はい。もしもし。はい。はい。分かりました〜。あとでデータ送ってください。1週間もらえますか?大丈夫ですかね。はい。はい了解しました。はーい。失礼しまーす。


 ブツ。ツーツーツー


 んーと。次の依頼は、、、37歳のサラリーマン。ごくごく平凡だな。何かしたわけでもないし、稼ぎも普通。ここんとこ、こういった所謂普通の人が多いなぁ。仕事は好きだから依頼が多いのはいいことだけど、ライバルが増えなきゃいいなあ。ま。いっか。天才だしね。


 じゃ。いっちょ殺りますか。

 



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