薬方の手がかり
林覚は手袋をはめ、慎重に持ち物を調べ始めた。死者の衣服はボロボロで、綿入れの上には泥と暗赤色の血痕がこびりつき、元の色はもう分からないほどだった。布の切れ端の中から、彼は色褪せた紙切れを見つけた。水に浸かり、乾いて脆くなったその紙には、かすれた字がいくつか書かれていた。目を凝らすと、「当帰、黄芪、川芎」といった中薬の名前と、用量の指示が読み取れた。そして最も目を引いたのは、紙の右下にぼやけた印章があること。よく見ると、それは「輪廻寺」の印だった。
「輪廻寺の薬方か……」林覚は眉をひそめ、疑念がさらに膨らんだ。この薬方は適当に書かれたものではない。輪廻寺の印が押されている以上、その出所が寺と無関係とは考えにくい。彼は紙を写真に収め、王警察に渡した。「これ、线索になるかもしれねぇ。寺で何か知ってる奴がいるかも。」
王警察は写真を受け取り、頷いた。「分かった、後で寺に聞きに行くよ。ただ、この町の連中は仏様を信じてて、まともな話は引き出せねぇかもしれねぇけどな。」林覚はそれ以上何も言わず、心の中で決意を固めた。もう一度輪廻寺へ行き、慧空に直接確かめるつもりだった。