泣く 笑う
小学校を卒業する息子のタカキにとって
地域の少年野球チームでの練習は、今日が最後だった
わたしは、実家の用事で行くことができなかった
パパに付きそいをお願いしていたのだけれど
急きょ、仕事になってしまってダメだった
タカキにとって、親が来ない練習や試合は
いつものこと、とはいえ
やはり、さびしさがあったらしく
帰ってから、あんまり元気がない
ぽつぽつ話してくれる内容からさぐっていくと
どうやら今日は、練習は、早々に切り上げて
送別会らしきものがあったようなのだけれど
そこで、卒業する子たちから、ひと言、となり
そのときタカキは、話してる途中
泣いてしまったらしいのだ
泣いたのは、タカキだけで
他の子は、ぜんぜん泣いてなかったと
どうやら、そのことを気にしているようだ
ボク、泣いちゃいけなかったのかなあ
そのとき、タカキは、悲しかったの?
うーん、えっと…… たぶん、悲しかった
どうして、悲しかったのかなあ?
あのチームが好きだから、もう、みんなと練習できないから
それで悲しかったのね
うん
悲しかったら、泣いていいんだよ
わたしが言うと
タカキは、うん、と頷いたあと
ニカッと笑った