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お父様の手腕



 微熱が下がってソフィアと図書館で過ごしたりしていると、体はすっかり元気を取り戻した。少し落ちていた食欲も戻ってきたので運動がてら散歩をしたり、前世でやっていた筋トレなんかもこっそりやっている。主にスクワットね。やっぱり足腰の筋力は大事だから。

 

 ソフィアは読み書きがとっても上達したので、図書館から持ってきた本を読む事が大好きになっていった。

 

 自分の知らない世界が広がっていく事が楽しいのね!趣味が出来たからか、以前ほど私にべったりではなくなり、ゼフに意味を聞きにいったりする姿もちらほら見られて、成長が早いわね…………とちょっぴり寂しくなっちゃう……


 

 今までは与えられなかっただけで、ソフィアはとても真面目で知識欲の大きい子だったのね。私は微笑ましく思い、今日は一人でロバートにお話を聞きに行くとしましょう。


 

 「じゃあロバートのところに行ってくるから、ソフィアをお願いね!」


 

 ゼフとマリーにお願いし、二人は大きく頷き「お任せください、いってらっしゃいませ!」とマリーが送り出してくれた。ソフィアも二人の間から顔を出し、手を振ってくれる。まぁロバートは同じ屋敷の中にいるから、そんなに意気込む事ではないんだけど……上手く話がまとまるといいわね。


 ドキドキしながらロバートがいる執務室に向かった。



 ∞∞∞∞



 ――――コンコンコン――――


 

 「お入りください」


 

 ノックをするとロバートの声が聞こえたので、執務室に入る。


 

 「失礼するわね。お仕事中にお邪魔しちゃったかしら……」


 「いえいえ、お嬢様のお頼みとあらば、いつでもご協力させていただきます」


 

 ロバートはそう言って笑顔で歓迎してくれた。すでに机には帳簿がどっさり山のように積まれていて、用意してくれていた事が分かる。さすがロバート。

 

 

 「さっそく見させてもらってもいい?」


 「もちろんです。こちらは旦那様がマナーハウスから王都に移り住んでからの分にございます。その前の物から凄い量ですので、何をお探しか仰ってくだされば、わたくしもお手伝い致します」


 ロバートは私の為にそう言ってくれたのだけど、まずは収支が見たいだけなのよね。


 

 「ありがとう。ひとまず収支が見たいから一通り目を通していい?何かあれば聞くからロバートは自分の仕事をしていて大丈夫よ」


 ロバートは「承知いたしました」と穏やかに言って、机に座って自分の仕事に取り掛かる。

 


 まずは直近の収支をチェックね…………あの女性店員は教会に納める税の事を言っていたけど、我が公爵家から教会へは………………うん、やっぱりかなりの金額が教会に納められている。何年前からこの体制なのかしら。帳簿をさかのぼるとお父様がマナーハウスに移り住んだ年あたりから、すでに納められているわ。ずっとこの体制?


 これはロバートに聞いた方が良さそうね……


 

 「この教会への支援金なんだけど、この金額はお祖父様の代からずっと納めているものなの?」


 「そうですね。正しくは先代の時に旦那様が領地の改革を断行したのです。旦那様はまだ公爵を継ぐ前に経験のため、先代から領地を任されました。そこで領地をより活気のある街に変えようと様々な事を考え、実行に移していきました」


 「たとえば?」


 「まずは教会改革で、教会への支援金を増やす代わりに領民から教会へは税を納めなくてよくしたのです。領地の民は大層喜びましたよ。旦那様は領民が払える額以上に徴収するべきではないと考えていましたし、公爵領は資源が豊富なのもあって様々な商人がやってくるのです。旦那様はそこに目を付け、大きな市場を開き、商人たちの商売を活性化させようと考え、それはとても効果的でした。」


 

 ロバートの話を聞いて驚くばかりだわ…………お父様ってば本当に凄いやり手だったのね!


 確かに公爵領は資源が豊富なのよね。周りの森林では木炭や灰を作る職人も住んでいるようだし、ソフィアに贈ったガラス細工も作られているから、商品として並べる事が出来る。周りは海や川で魚介類を獲る事が出来るし、温泉まで湧き出ているのだ。

 これだけ資源が豊富だと商人も商売に来たくなるでしょうね……


 

 「お父様って凄いのね……」


 思わず声に出てしまったわ。ロバートは嬉しそうに話を続けた。


 

 「旦那様が開いた大きな市場はどんどん賑わっていき、税収も同時に増えていきました。そこで商人たちの負担を減らす為に税を少し減税すると、さらに商人がやってきて、我が公爵領では年中市場が開けるほど集まるようになったのです。沢山の人々が集まるようになったので宿泊施設なども必要となり、旅の疲れを癒す為の湯も整備しました。ここまでになるには何年もかかりましたが、我が公爵領はそのおかげで税収を領民に還元出来るほど豊かになったのです」


 聞けば聞くほどお父様の政策は素晴らしくて、私はとても誇らしい気持ちになった。


 お父様が領地を管理している間にここまでの事が行われていたなんて……


 ロバートの話を聞いていると、本当にやるべき事は全て成されているし、最高の環境とも言える。でも市場で聞いた女性店員の話は、お父様の政策とは辻褄が合わない。その事をロバートに話してみる事にした。


 「前に市場を皆で歩いた時にパン屋の女性と話したんだけど、教会に納めなければならない税が年々重くてって話をしていたのよ…………教会には十分な支援金を払っているわよね?ロバートと領民からの話が合わないなって思うのだけど…………ロバートは何か知ってる?」




こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^


まだまだ続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

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