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救出と手当て


 ちょっと重いお話が続きます~~<(_ _)>

 毎日17時更新にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします^^


 ~・~・~・~・~

 

 

 「ザンダ!!状況は?!」



 ようやく爆発事故が起きた炭鉱に着いたと思ったら、レジェク殿下が駆け付けながら、意外な人物の名前を呼んだ。

 

 ここはカンウェイ炭鉱ではないのにザンダがいる事に驚いてしまう。

 


 「殿下!!!申し訳ございません!発破作業をしていた時にガスが出ていた事に気付かず……中で大きな爆発が……!!」

 


 鉱夫長だから色々な炭鉱現場を取り仕切っているのかしら。


 炭鉱から逃げのびた人々がそこかしこに座り込んでいて、中には怪我人もいる様子だった。



 「見た感じではそれほど被害は大きくなさそうに見えるけれど……」



 私が見たままの感想を口に出すと、ザンダが言いにくそうに状況を告げてくる。

 


 「はい……それほど奥で爆発が起こったわけではないので、皆急いで避難出来たのですが、奥の方で作業していた者は…………」

 


 言いながらザンダも殿下も俯いてしまう。


 そうよね、あれほど大きな爆発が起こったのだもの……まだ中は鎮火していないでしょうし、厳しい状況よね。



 「この現場はもう廃坑にするしかないだろう。近くの河から水を引けそうか?」


 「はい。すぐ近くにアズーニ川がありますので、そこから引こうかと」



 殿下とザンダが色々と話し合っているので怪我人の手当をしようと思った時、マリアが2人にストップをかけた。



 「まだダメよ。中に……生命反応があるの。まだ生きてる人がいるわ!」


 「本当なの?!」



 マリアの能力って凄い……そりゃ聖女がやってきたら傾きかけていた国もなんとかなるはずよね。


 小説のまま進んでいたら、マリアがハミルトン王国を救い、国が栄るというのも頷けてしまう。


 自然を操り、人を治癒し、世界に祝福されているかのような存在である聖女――――本人は全くそんな自覚はないでしょうけど、こういった場面に彼女がいると、その存在の大きさに感動してしまう。



 「マリア、少し坑道の中のガスを抑える事は出来る?」


 「やってみる!」



 自分の聖力を高めていき、彼女の体が神々しく光り出した……その様子を見ていた鉱夫たちから感嘆の声が上がる。


 ハミルトン王国でも爆発騒ぎが起きた時やボゾン子爵の邸を鎮火させる時など、力を使う時に体が光っていたの見ていた為、本当に神がいるなら彼女がそうなのではと思えるほどに、力を使っている時のマリアは殊更に美しい。


 聖ジェノヴァ教会の元信者もそんな彼女の姿を見て、協会がなくなった今は心の拠り所にしているに違いない。



 「……うん、なんとか抑えられたかも!多分もうガスは出ていないと思う」


 「凄いわ、マリア!!」



 私たちが喜んでいると、後ろの方からザンダが驚きの声を発していた。

 


 「そんなバカな……っ、あなたは一体……!」


 「神様仏様マリア様よ!」



 まるでアニメの決め台詞のようにザンダに言うマリアは、間違いなく高校生……いや、もうちょっと幼く見えてしまうのだった。

 

 さっきまであれほどカッコ良かったような気がしていたのだけど。


 ヴィルやレジェク殿下たちも苦笑している。


 でも、こんなところも純粋で可愛いわね。



 「ガスが止まったなら、早く中から救出してあげないと……!マスクか何か、ある?」

 


 ザンダに聞くと、すぐにヴィルとイザベルからストップが入ってしまう。



 「オリビア、君を中へ行かせる事は出来ない」


 「オリビア様、私が行きますのでここで待機していてください」


 「え、でも……」


 「「ダメです」」

 

 

 2人がもの凄い真剣な表情で止めてきたので、さすがに行くとは言えなくなってしまう。


 でも確かに私が行っても足手まといかもしれない……かえって迷惑をかけてしまうかもと思った私は大人しく待機する事にしたのだった。


 結局ヴィルも王族という事で行くのは止められてしまい、イザベルがマスクをしっかり装着し、先頭に立って炭鉱夫の方々と一緒に入っていった。


 その背中を見守りながら、ここに来てからずっと大人しかったラスが口を開く。



 「他国の民の為に王族、貴族がここまで動くなんて信じられませんね」



 いつもの軽口のように聞こえるけれど、少し表情は曇って見える。


 どうしたのかしら……私はひとまず自分が思っている事を口にする。



 「他国とかそんな事は関係ないの。目の前で困ってる人がいたら助けるのは当たり前のことよ」

 

 「それが信じられないんです。僕の国では……いえ、何でもありません。勉強になりました」


 「? じゃあラスも手当を手伝って!中に入らなくても出来る事は沢山あるわ!」


 「え?いや、僕は……」



 まだ戸惑っている様子のラスの腕を引っ張り、有無を言わさずに怪我人のところへ連れて行く事にした。


 この子にも色々と思うところがあるのでしょうけど、とにかく人手が必要だし、迷ってるくらいなら動いた方がいいもの。


 私に導かれるまま連れて行かれたラスは、イザベルが坑道から戻ってくるまでずっと怪我人に寄り添い、最初こそ顔が引きつってはいたものの、最後の方は真剣に取り組んでいた。


 それに様子を見ている限り、手慣れている感じがする……僕の国ではって言っていたし、この国の者ではない事だけは確かよね。


 今は詳しく聞く事は出来ないけれど、自分から話してくれる機会が訪れるといいな。



 「ふうっ……!ひとまずここにいる人は手当て完了かしら」


 「ご苦労様、オリビア。よく頑張ったね」


 「ヴィルもね。それにラスも、とても助かったわ!ありがとう」



 私がお礼を言うと、ラスは頬を赤く染めてプイッと背中を向けてしまう。



 「べ、べつに……言われた通りにやっただけです」


 「ふふっ、そうよね。ありがとう」


 「だからっ……!」



 あんまりツンデレみたいな態度をするので、思わず笑ってしまう。


 美少年でツンデレ……イザベルとはまた違った良さがあるわね。



 「私からも礼を言わせてください。民の為にここまでしていただき、感謝します」


 「いいのよ!それにマリアも頑張ってるし」



 私たちが怪我人の手当てに勤しんでいる間、マリアはずっと力を使って何かをしている様子だった。


 体がほんのり光っているから聖力を使っているのよね……中から出てくる煙が抑えられているので、イザベルたちが無事に戻って来られるようにしてくれているに違いない。


 真剣な姿に声をかけるのも憚られて、見守る事しか出来ないけれど。


 そんな事を思っていると、突然彼女の体の光りが消えたと同時に、坑道の中から人命救助に向かったイザベル達が戻ってきた姿が目に入ってきたのだった。



こちらWeb版になります!


もし続きが気になったり、気に入って下されば、ブクマ、★応援、いいねなど頂けましたら励みになります(*´ω`*)

皆さまのお目に留まる機会が増えれば嬉しいです^^


オリビアとヴィルヘルムや登場キャラクターが成長していく姿をじっくり書いていきたいと思っております。

彼らが歩む道を見守っていただければ幸いです。

何卒宜しくお願い致します<(_ _)>

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