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エメリと魔力

【エメリと魔力】


 エメリが家にやってきてからしばらくしてからだ。

 エルランド達に若干の変化があらわれ始めた。


『アンヌ、ハンス。エメリがそばにいると心地良いんだけど、君たちはどう?』


『坊っちゃんのおっしゃっていること、わかります。なんだか、暖かさを感じるんですよね』


『その通りなんだよ。確かに、ガルムとエメリが一緒に寝ていると、それはそれでふんわりと温かい気持ちになれるんだが、もっと何か本当の風が体内を流れているような気になる』


『ワフワフ』


 すると、ガルムも会話に参加したがった。

 どうも、自分も同じ考えといいたいようだ。

 ガルムは賢く、エルランド達の会話を

 ある程度理解しているフシがある。



 そんな会話をしてから数日経った頃。

 なんと、ガルムのオッドアイが消え、

 両目とも青い瞳になっている。


『ガルム、瞳が両方とも青いぞ!』


『ワフワフ』


 ガルムはエルランドの瞳もどうとか言っているようだ。

 エルランドは、アンヌの働く台所に向かった。


『アンヌ、僕の目どうなってる?』


『あれま、坊ちゃま。瞳が青に!』


 僕は急いで、台所の銅鏡を覗き込んでみた。

 両目が青い。オッドアイが消えている。



『ワフワフ』


 ガルムが何やらエルランドにいいたそうだ。

 エルランドはガルムに向かい合う。


『これはエメリのお陰だって?』


『ワフ!』


 エルランドがガルムにそういうと、勢いよく反応する。



『エメリ、僕たちの瞳が青くなったんだけど、何か知ってる?』


 エルランドはエメリの隣に腰掛け、

 なるべく優しくエメリに問いかけた。


 エメリは逡巡している。

 何やら、怖がっているようだ。


『君が何か知っているとしたら、僕たちは君にとってもありがとうするよ』


『ここをでてけ、とかいわない?』


『言うはずがないよ。ここは君のお家だよ』


『ガルムともずっといっしょ?』


『もちろんだとも』



 エメリは安心したのか、驚くことを言い始めた。


『ふたりとも、まりょくのながれがわるいから、よくしたの』


『えっ、君は魔力の流れが見えるってこと?』


『うん。エルランドさんは、こことここに黒いかたまりができてて、そこでながれがとまっちゃう。ガルムはそこらじゅうに黒いかたまりがあった』


 エメリはエルランドの肩と膝を指さしながらそういう。


『凄いじゃないか。昔から見えてたんだ』


『むかしから。でも、ママが人にいっちゃだめだって』


 ああ、なるほど。

 黒い髪に黒い瞳の持ち主。

 その彼女が他人の魔力の流れが見え、操作できる。

 どういうふうに話が転ぶかわかったもんじゃない。


『ママは正しいよ。それでも僕たちには使ってくれたんだね』


『まりょくが止まってるとからだに悪いから』


『いい子だね。それは僕たちの秘密にしておこうか』


『うん!よかった』


 エルランドはエメリの優しさに感動していた。

 エメリは自分の力に恐れがあるだろう。

 にもかかわらず、エルランドとガルムに力を使ってくれた。



 その後、僕たちとエメリは更に距離感を近づけていった。

 メイドのアンヌがいろいろ聞き出してくれて、

 メアリの母親は巫女で、父親は村の外からきたらしい。

 その後、事故で両親が死んでしまったということだ。


 ただ、両親ともに黒目黒髪ではないという。


『くろいいろはダメなの?』


 と泣き始めたときはなだめるのが大変だった。

 やはり、黒目黒髪が理由で村を追い出されたどころか、

 あの森に置いてけぼりにされたらしい。



 今後どうしたらいいのか。


『でも、悲しみを見せたのはいい兆候かもしれません』


 アンヌが言う。


『今まで、エメリは鬱状態でした。非常に辛い経験が続いたのでしょう。過去に向き合えなかったのかもしれません。でも、その過去に少しでも向き合えるようになり、気持ちを外に吐き出せるようになったのかもしれません』


『でもな、そういうときは注意が必要だぞ。幼いし。心を守る壁がとっぱらわれるってことだからな。壊れ物だと思わないと』


 ハンスが顔に似ず繊細な見立てを述べる。



 それにしても、エメリは魔力を操作できるのに、

 瞳が青くない。黒いままである。

 何か特別なものがあるのだろうか。


 ただ、エメリの瞳は非常に濃い青といえなくもなかった。

 純粋な黒ではない。




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