少女が倒れていた
【少女が倒れていた】16歳春
そんなこんなで1年ほどの月日がたった。
いつものように、狩り・採取をしているときの話だ。
『ワフッ』
ガルムが一声鳴いたと思うと、いきなり走り出した。
エルランドとハンスはガルムを追いかけた。
すると、ガルムとともに行き倒れの子供がいた。
5歳ぐらいだろうか。少女のようだ。
『おい、しっかりしろ』
こんな危険な場所にどうして?
少し揺さぶってみたが、少女は気絶しているようだ。
体も冷たい。このままでは死んでしまう。
エルランドたちは急いで少女を家に運びんだ。
こういうのはアンヌにまかせるとよい。
ああ、ガルムもそばについてくれるようだ。
ガルムの体温で少女も温められるだろう。
しばらくすると、少女が目を覚ました。
『ここはどこですか?』
少女は黒髪・黒い瞳の持ち主だった。
『ここは僕たちの家だよ。君は森で倒れていたんだ。心配しないで』
暖かい水を与え、回復してきたら粥を与えた。
段々と少女は快復に向かい、起き上がれるようになった。
『お家はどこ?ご両親は?』
『……親はいません。家もありません……』
そうボソリと呟くと下を向いてしまった。
顔が蒼白だ。
なにやら訳ありなのか?まだ幼いのに。
何にせよ、森の中で一人きりというのは尋常ではない。
『坊ちゃま、ちょっとお話が』
珍しくアンヌが深刻な顔で僕に告げた。ハンスも一緒だ。
『黒髪・黒い瞳の持ち主がこの国でどう見られているか、ご存知ですか』
『うん。あまり良く思われていないようだね』
『ええ。忌み子と言われています。不幸を持ち込む存在だと。おそらく、あの子の村から追い出されたか、森に捨てられたか、そんなところじゃないでしょうか』
むごい。
彼女は容姿がかなり良く、まるでお人形さんのようだ。
それだけに、落差が痛ましい。
この国では黒髪・黒い瞳の持ち主は良く見られていない。
特に女性は酷い差別の対象となる。
『坊っちゃん、アッシのカンですが、おそらく両親が亡くなって庇護者がいなくなったんじゃないですかね。ま、毒親という線もありますが』
もっとも、3人には少女をどうこうする気はなかった。
特にエルランドはその子に自分の境遇を重ねた。
同じあぶれ者。
そう考えると、まずます彼女を庇護する気持ちが強まった。
少女の気持ちはゆっくりと落ち着きはじめた。
それに連れ、アンヌがいろいろ聞き出してくれた。
『名前は?』
『エメリと言っていました』
『いくつなんだって?』
『8歳だそうです』
『それにしては小柄だな』
『庶民の底辺だと栄養が足りてませんから、ああいう子多いですよ』
とりあえず、それ以上の詮索はせずにいた。
少女エメリも当初はぎこちなかったが、
しばらくして、ほんの少しだけ笑顔もでるようになった。
それには、アンヌとガルムの存在が大きい。
夜などアンヌやガルムと一緒に寝ている。
当初は毎夜うなされて、
ガルムやアンヌにしがみついたりしていたが、
うなされることもなくなった。
そのかわりにいつもガルムにくっつくようになったが。
2mを越す巨体のガルムにエメリが寄り添っている。
それは実にホッと和む情景だ。
ガルムも全く嫌がらずにエメリの面倒を見ている。
エメリもガルムの毛なみブラッシングの仲間に加わった。
ガルムはエメリのブラッシングを一番好きなようだ。
顔の脱力加減、目の細め具合、垂れ具合が半端ない。
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