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教会との死闘3

【教会との死闘3】


 その中でもっとも荘厳な服を来ている男性に、


『聖導師様ですね?』


 伯爵が尋ねる。


『……』


 その男は茫然自失としている。

 しかし、召し物と胸に輝く聖導師を示す印で、

 彼が誰なのかは歴然としていた。


 驚くことに、彼はなんと黒目黒髪の持ち主であった。


 他の4人は聖導師につぐ教会の幹部であった。

 その彼らが、聖導師の黒目黒髪にギョッとする。



 何もしゃべらない男たちを横に、

 エルランドはさらに探査魔法を再開した。


『向こう側にさらに小部屋があるようです。入ってみましょう』


 そこにはすんなりと入れた。

 そして、小部屋を中央には

 しっかりと透明の結界に守られた本が。


『これが原著ですか?』


『痴れ者共!その本に触るでない!』


 ハンスがさっと取り押さえる。


『原著みたいだね』


『じゃあ、私が』


 マザーが魔法キャンセルを行うと、

 本を覆っていた透明の結界がすっと消えた。


『これさ、現代語じゃないよね?』


『ふむ。古代語なら、私が読もうか』


 伯爵が立候補した。

 伯爵は現代語に翻訳しながら、

 “原著”を読み進めていく。



 要点はこうだった。


 教会の奥深くに隠されていた、建国記念物。

 いわゆる“原著”と呼ばれる教会の最高機密である。


 人が書いたものではない。

 事実のみを記述するという自動書記魔法のかかった書物。


 それは、国父カルフールはじめとする7英傑の物語である。

 7英傑とは、人族二人、エルフ、ドワーフ、龍族、狼族、 羊族の代表。


 そして、原著の中には7英雄の肖像画が描かれていた。

 その中に黒目黒髪の女性がいた。


 そこに『祝福』をもたらしたのは賢者カルマールと

 黒目黒髪の彼女であることが記載されていた。


 しかし、彼らの子孫の間で争いがおきた。

 祝福を人族だけに限定するという派と、

 獣人族や亜人族にも拡大するという派にだ。


 この論争は彼らの間で秘匿されたが、長く続いた。

 そして、彼らの子孫の間で決定的な対立となった。


 つまり、賢者カルマールの子孫と

 黒目黒髪の女性の子孫が対立したのだ。


 黒目黒髪の女性の子孫は破れ、

 黒目黒髪の存在は禁忌となった。



 賢者カルマールの子孫、つまり現在の国王に連なる家系と 『祝福』システムを独占する教会は、

 黒目黒髪の存在をこの世から抹消するように動いた。


 7英傑の肖像画と彼らの半世紀を綴った原著。

 事実のみを記述するという魔法のかかった歴史書。

 これをも彼らは抹消または改変しようとした。


 しかし、原著には強力な魔法がかけられており、

 毀損も改変も全くできなかった。

 そこで、教会は大教会聖堂の奥深くに

 この遺物を隠したのだ。


 カルマールのスキルは魔石。

 これで黒目黒髪のスキルを投射し、祝福の杖とした。


 その事実は意図的に隠蔽された。

 なぜか、その過程で魔石というスキル名も失われた。



『そうなると、エルランドとエメリが現世に現れ、知り合ったのは必然ということか』


『世の中のねじれを正すため、ですか』


『だが、問題があるぞ。“原著”がこう言っている、では信用する人が少ないだろう』


『これだけ長期間にわたって、身分差別が根付いてきたんだ。一朝一夕では変化は起こるまい』


『とりあえず、教会改革を無理やり進めることかな?』


 呆然としている5人の老人たちを尋問する。

 彼らはやはり、聖導師とそれに次ぐ地位の教導師であった。


 もっとも、青目を失ったため、

 その地位に留まることはできないであろうが。


『聖導師様。あなた、黒目黒髪だったんですね』


『おお、私は幼き頃からずっと家族ぐるみで隠し通してきたんだ。今の今まで……』


 その後はショックで再び黙り込んだ。


『この教会本部に主だった教会関係者を集めて、こいつらの会見の変化と“原著”を見せましょうか』



 一ヶ月後、教会本部では全国から教導師が集められた。

 聖導師の現在の姿を見て、大きくどよめき、

 さらに“原著”を読み聞かせると、

 会場はシーンと静まり返った。


『見よ。黒目黒髪の女性はエルザ。彼女のスキルは魔力の流れ操作だ。エメリのスキルと同じだ』


 エメリは会場にいる教導師の魔力の流れを止めた。

 教導師はパニックを起こし、泣き叫ぶものもいた。


『静かにせよ。心配ない。これからエメリが諸君のスキルを回復する』


 再びエメリが集中すると、途端に目が青くなり、

 スキルが回復した。


『理解できるか?王室も城の兵士たちも彼女の正義が実行された。聖導師もだ。君たちはどうすればいいかわかるな?』


 ウンウンと首を縦に振る教導師たち。


『そして、カルマール。彼のスキルは“魔石”だ。それはここにいるエルランドのスキルと同じだ』


 またもや、会場が大きくどよめく。


『カルマールのスキルを受け継ぐもの。そして、エルザのスキルを受け継ぐもの。二人がこうして会している意味を君たちは理解できるよな?』


 会場の全員が床にひれ伏した。


『正義はなされた。あとは、君たちがこの正義を受け継ぎ、教会を導かなければならない。しばらく猶予を与える。見事に教会を再建してみよ』



ここで物語は終了とさせていただきます。

お付き合い頂きありがとうございました。

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