教会との死闘2
【教会との死闘2】
『父上、どうしてここへ?』
『エルランドか、怪我はないか?教会の動向を追っていてね。きな臭い動きをしていたから、領軍を動かしたんだよ』
『いや、そんな危ない真似を。完全に世界中の教会を敵に回すではないですか』
『教会か実の息子か。そういうことさ。私も自分の振る舞いをずっと後悔していたんだ。ようやく少し返済できたというものだ』
『父上。それに、○と○も』
『兄上、私はずっと信じていました』
『お兄様は金色の祝福を授かったのですもの。悪者はずがありませんわ』
『エルランド。いいか、これからだ。私は何も勝算なしで動いているわけではない』
そうして、伯爵は話し始めた。
教会の黒い動きについて。
そして、教会の虎の子である魔導師軍が壊滅した今、
早急に教会本部を急襲し、聖導師を抑えるべきだと。
聖導師は、教会のトップである。
『一気に教会の秘密を暴くぞ』
エルランドは伯爵に村長やマザーアニエス、
そしてエメリを紹介した。
『皆さん、はじめまして。私がエルランドの父です』
『エルランドの話だと、我々の危機を救ってくださったようで。誠にありがとうございました』
『彼女がエメリか。黒目黒髪の女性。そして、魔力の流れを操ることのできるスキルを有する。そうだな?』
『はい、そのとおりです。これで私とガルムの魔力が完全に開花しました』
『エルランドよ。私はお前を追い出してから、黒目黒髪の情報を集め始めたんだ』
伯爵は言う。
領館の地下には伯爵しか知らない秘密の部屋がある。
そこには王国の始祖である7英雄の肖像画がある。
それは伯爵家当主しか見ることができない極秘機密。
そして、その7英雄にはカルマールと黒目黒髪の女性、
そして、5人の人族以外の存在がいたのだ。
ところが、教会の教えはそれとまるで違う。
調べてみると、獣人村の新人類教会の教えには、
いろいろな種族の7英雄が出てくる。
どういうことなのか?
伯爵は以前からずっと疑問を持ち続けたという。
そして、エルランドとエメリのスキル。
それはまるで祝福だ。
つまり、二人は現世において、
カルマールたちの御業を復興しているのではないか。
『エルランド、教会には大きな嘘がある。その嘘を暴くには、教会の最深部にある“カルマール建国神話”の原著を手に入れる必要がある』
衝撃的な伯爵からの情報に戸惑うエルランド。
『わかりました。すぐに、原著を抑えましょう。そして、聖導師も』
エルランド、マザー、ハンス、エメリ。
そして伯爵の5人は、ガルムの影移動を使って、
教会本部のそばに移転した。
『これがガルムのスキルか。確かに、獣人たちの守り神といわれるような御業だな』
『父上、聖導師はここに潜伏しているのですか?』
『確実ではないが、ここ以外に考えられない。奴は君たちのスキルを大変恐れているのだ。ガチガチに結界魔法を何重にもかけているのがその証拠だ』
『マザー。いけますか?』
『やっかいそうな結界ですが、やりましょう。みんなの魔力援助もお願いします』
僕たちは魔石で魔力を増幅しつつ、
マザーの魔法キャンセルへの助力を始めた。
『バリン!』『バリン!』『ドカン!』
結界魔法が大きな音を立てて、壊れていく。
『ドガガーン!』
最後に大きな音をたてて、結界は完全に消滅した。
『では、中に入りましょう』
扉は物理的に閉じられている。
問題ない。
魔法で扉を破壊していく。
『なにやつ?とまれ!』
遮るものは、エメリの手により、スキルを消失していく。
魔法を使おうとするものは、魔法が消失したことに驚き、
武器を手にするものは、武器を落とし防具の重さに、
四つん這いになるしかなかった。
『僕の探査魔法を最強にして探索しています。地下に空白の空間がありますね。そこが怪しそうです』
僕たちは地下を降りていった。
『じゃあ、僕の番だね』
マザーが魔法キャンセルを発動しようとする。
僕たちも改めて魔石を含みながら、
マザーを助力する。
『おかしいな。この結界には魔法以外にも何か仕掛けがありそうだ』
エルランドは改めて探査スキルを全開にしてみた。
狭い範囲に高密度の探査をする。
『どうも、石像が結界魔法以外の魔法を邪魔しているようですね』
地下室の前室には4隅に怪しげな像が立っていた。
『おまかせ!』
ハンスが短剣を取り出し、
あっという間に4体の像を破壊した。
『いけそうですな』
魔法キャンセルを再開すると、
ほどなく、結界魔法が消滅した。
『中に5人、赤い点の人物がいます。では、入りましょうか。エメリ、入室したらすぐにお願いね?』
『はい、エルランドさん』
ハンスが引き続き、短剣で扉を破壊する。
室内はほのかに明かりが灯っており、
初老とおぼしき男性が5人座っていた。
『エメリ』
『終わりました』
『『『おお、なんと非道なことを……』』』
男性たちはおそらく自分のステータスを見たのであろう。
オロオロと立ち上がると、がっくり膝をついた。
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