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教会との死闘1

【教会との死闘1】


 エルランドは、早朝、ビリビリと地鳴りのする振動で

 目が覚めた。


『あれ?目が開かないぞ?』


 エルランドはベッドの中で身動きがとれない。

 まぶたさえ開かない。

 まるで金縛りのような状態に陥った。


 この症状は獣人村の住民全員に降り掛かっていた。



『ふふふ、獣人どもめ。今頃は身動きがとれずに驚いている頃だろう。いいぞ。このまま押しつぶしてしまえ!』


 そう暗い瞳で哄笑するのは、

 教会魔導師軍を率いるレッサー教導師だ。

 彼が中心となって、

 神聖大魔法ホーリー・クロスを発動したのだ。



 教会側は、獣人村から5kmほど離れた地点で、

 それぞれ千人の魔導師を準備し、魔法を発動した。


 対象は中心にある獣人村住民である。

 彼らの動きを封じ、最終的に住民を潰してしまう。


 魔導師の魔力を搾り取る過酷な魔法で、

 魔導師の中には意識を失い、最悪死者も出る封印魔法だ。



『グワワッ!』


 エルランドは、これが何らかの魔法であることに気づいた。

 そして、それが4方向からの魔力でなされていることにも。


 そこで、力を振り絞って体を起こし、

 反撃の魔法を放とうとした。


 押さえつけようとする力に抗い、ブルブルと震えながら、

 手を頭の上にあげ、魔法を……


 だが、そこまでであった。

 あまりの強い力に気を失いそうになり、

 腕が下がってしまう


『クソっ、なんとかせねば!』



 そのころ、マザーアニエスも

 何らかの魔法に気づいていた。


 彼女の得意なキャンセル魔法を放とうと、

 魔法を解析しようと試みた。


 だが、そこまでだった。

 あまりに強烈な力に押しつぶされ、

 血反吐を吐いて気が遠くなりかけた。



 反抗の兆しをみせたのは、その二人のみだった。

 あとの住民は、体を動かすこともできず、

 血が下方にひっぱられ、貧血状態にあった。


 あとは押しつぶされるのを待つのみ……



 エルランドは必死で態勢を整えようとした。

 そして、再び少しずつ力に抗い、

 腕を上げて、絡みつく鉄鎖を引きちぎるかのように、

 力を込めた。


『バリン!』


 ガラスが割れるような大きな音とともに、

 体が幾分楽になる。


『よし、これなら!』


 エルランドは、力の及ぶ限りの探査魔法を振り絞った。

 そして、遠く探査魔法が届くかどうかの地点に

 怪しい集団を見つけた。


 東西南北に。



『こいつらか!』


 怒りとともに、エルランドは過去最大の大魔法を唱えた。


『ブレイズ・エクスプロージョン!』


 この魔法は対象の中心点に炎の柱を吹き上げさせ、

 そのまま爆発させる上級火魔法だ。


 半径数百mの範囲内に致死的なダメージを与える。


 エルランドは魔石で回復しつつ、

 4方向に火魔法を放った。


 魔法は敵の何重もの防御魔法を撃ち破り、

 完全に敵の中心地で爆裂した。


 敵の魔法が完全に消滅した。 


 

 獣人村では、エルランドの攻撃により、

 体の拘束が解かれ、ようやく反撃に出ることができた。


『みんな無事か?』


 エルランドや主だった者は村のとおりに出て、

 反撃軍を編成しようとした。



 だが、エルランドの攻撃で4方向の敵はほぼ霧散していた。


『敵意のある赤い印はほぼ消滅しているな。だが、北方の黒い集団はなんだろう?』


 エルランドが改めて探査魔法をかけると、

 来た800mほどの地点に、

 こちら側に進んでくる敵意のない集団を探知した。


 

 あれだけ、エルランドを拘束していた魔法が

 なぜ緩んだのか。


 なんと、エルランドの父親、伯爵が領軍をひきつれ

 教会軍を襲っていたのだ。


 彼らが手にとるのは、エルランドより譲渡された、

 大型魔法弓だ。


 有効射程距離が1km以上ある爆裂魔法を組み込んである。

 それらが10基を4セット。


 東西南北の4方向で、領軍は教会軍に向けて、

 爆裂魔法を炸裂させたのだ。

 

 教会軍はただ魔法の詠唱に専念しているだけ。

 後方からの領軍の攻撃は、領軍には晴天の霹靂だった。


 ただの1射で領軍は半壊したのだ。


 そして、次の斉射を行おうとしたときに、

 獣人村から無慈悲な火魔法が飛んできたわけである。


 伯爵はエルランドたちの同行をずっと追っていた。

 そして、現在教会と深刻な対立状態にあることを認識し、

 教会の同行も逐一追跡していたのだ。


 そして、教会が虎の子の魔導師軍を動かした。

 そのタイミングで、伯爵は領軍を動かしたのだ。



『おい、見たか。獣人村から飛んできた火魔法を。あっという間に教会軍が壊滅したぞ』


『あれはひょっとすると兄上の火魔法ですかね。半径300m程度の範囲攻撃、半端ないですね』


『お兄様は私の魔導師の実力を遥かに越えてますわ』


 弟と妹も参戦していた。

 弟は剣聖、妹は魔導師であり、

 二人とも学校卒業後、領軍に属していたのだ。


 彼らは、敵が壊滅したことを見届けると、

 ゆっくりと獣人村に近づいていった。




ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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