教会では
【教会では】
『なんだ、あの者共は!』
『あれらが獣人族の者たちとの証言が集まっております』
『奴らは一体なにをしたのだ。呪いか!』
『わかりません。奴らは城の結界魔法・防御魔法・アンチ呪い魔法を突破してきました』
『それほどの強固な囲いを破るものがこの世におるのか?』
『魔法をキャンセルするスキルをもっておるようです』
『だが、いきなり現れたのは』
『おそらく、“影”移動ではないかと』
『影移動だと?魔物の使う技ではないのか?』
『はい。特殊なヘルハウンドがよく使う技です』
『なるほど。黒狼が獣人村の指導者であるのは嘘ではないということか』
『ただ、青目を消したスキルが何なのかはわかりません』
『ちゃんと調査したのであろうな』
『はい。教会の魔導部でもしっかりと残留魔法をチェックしました。キャンセル魔法と影スキルにより移転の残留思念は残っておりました。しかし、それ以外は』
『うーむ。謎のスキルというわけか。不味いではないか』
『はい。今、この場に現れて我々に謎のスキルがかけられてもおかしくありません』
『対策は』
『影移動ですが、見知った場所でないと移動できないという観測がなされています』
『なるほど。我々に隠れておれ、ということか』
『申し訳ございません。それが最善かと』
『仕方がない。奴らはあれほどの強固な防御態勢を軽々と突破し、数多の人々の見守る中で平然とスキルを行使して去っていったのだ』
『現在、より強力な結界を張っている最中であります。この教会内ならまず大丈夫かと』
『本当だろうな?奴らは青目を喪失させるという、この国の根幹に関わる技を持っておるのだぞ』
エルランドは、青目を十全に発現できずに、
伯爵家を追われる羽目となった。
青目は魔力の発現を示すもの。
それは王国の成り立ちの根幹を示すもの。
王であろうとも、青目を失えば、
あっという間に平民に落とされ、
一切の敬意を払われなくなる。
青目至上主義というのが、
この国に通底する思想であった。
“カルマール国建国神話”は、
この国を導く重要な物語なのである。
『では、王国の瓦解だが』
『はい。かつて領であったものが次々と独立しました』
『こうも簡単に崩壊するとは。それだけ、王家の青目喪失はダメージが大きかったということか』
『青目つまり魔力の発現は、この国の成り立ちに関わっていることですから』
『ううむ。カルマール建国神話の重しがこれほどだとは』
『前王や前女王の失政もあります』
『たしかにな。なぜ、王家は代々馬鹿ばっかりなんだろうな?』
『まあ、そのほうが操りやすいということでもありますが、前女王はひどすぎました』
『ああ。どうしたらあそこまで民衆から憎まれるのか』
『最期はどこぞの山小屋で果てた模様です』
『おお、そうはなりたくないもんじゃ。じゃが、青目さえ失わなければ、ああはならなかったのではないか?』
『確かに。青目信仰は根深いということでしょう』
『それで、この教会を覆う強力な結界魔法じゃが』
『この教会程度なら大丈夫です。現在、これをさらに大規模にする実験を繰り返しているところです』
『うむ。準備が整ったら、獣人村を破壊するぞ』
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