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商人の独り言

【商人の独り言】


 俺は○領出身の商人だ。


 もともとは冒険者をしていたんだが、

 あまり腕っぷしが強くねえ。

 だから、商人に鞍替えってやつだ。


 ま、チンピラ商人って言われても、そのとおりだ。

 だけど、商売するときはもちっとマシな話し方をするぜ。


 当たりはつけていた。

 獣人族の薬だ。


 冒険者時代によくお世話になったんだが、

 人族で流通している薬よりもよく効く。

 知る人ぞ知るってやつだ。


 獣人族の薬は有名じゃないし、

 獣人の名前を出しただけで敬遠されてしまう。


 俺も供給先を隠したいから、幻の薬で通している。



 俺は獣人村に知り合いの人族が住んでいるから、

 この薬に出会ったんだが、普通はなかなか手に入らねえ。


 これを仕入れて街で売れば、10倍ぐらいの値段がつく。

 そもそも、獣人たちは欲がねえ。

 二束三文のような値段で薬を売ってしまう。


 俺にとっちゃありがたい話だ。

 そのかわり、俺が代理店をやるからもっと薬を。

 と言っても、全然のっかってこねえ。


 強く言うと、疑わしい目でこちらを眺め、

 話を終わらせてしまう。

 それからは、没交渉になってしまう。


 獣人の癖に。


 人族は獣人を嫌っている。

 人族よりも劣る存在だとして。


 俺に言わせれば、人族の庶民よりも圧倒的に優秀だがな。

 特に狩りの能力は。


 それと、獣人は美男・美女ばかりだ。

 俺は男だから、やっぱり美女は嬉しい。

 たとえ、獣人でも。


 けど、誘っても全然のってこねえ。

 獣人のくせに、お高く止まってやがる。


 頭はどうだか知らねえが、人族との違いは感じねえ。

 それに、妙に感がいい。

 騙そうとすると、すぐに感づかれる。


 正直、腕力に関しては俺は獣人に全く負けてるので、

 無茶振りはしない。


 時々、バカな奴らが獣人にいろいろ突撃して、

 激しくやられている。

 あんなふうにはなりたくねえ。

 俺は分をわきまえて、賢く立ち回っているよ。



 で、ここ数ヶ月の話だ。


 突然、村が活気づいた。

 なんでも、ブラック・ハウンド様のご加護が

 降り注いでいるらしい。


 ブラック・ハウンド様ってのは、村の守り神だ。

 俺も一度だけ見たことがあるが、神々しい犬だった。


 ああ、犬なんていうと奴らが怒るな。

 お犬様だった。


 普段は地中に潜ってやがるんだが、

 地中を伝ってどこへでも瞬間移動できるとか、

 森の王者だとか、たくさんのヘル・ハウンドを

 従えているとか、


 噂レベルなんだが、信じてもいいようなオーラが

 やつから立ち上ってやがる。



 ブラック・ハウンド様のお陰か知らねえが、

 薬の薬効が抜群によくなった。

 以前から獣人の薬は良く効いたが、そのレベルじゃねえ。


 たちまち評判になり、貴族とか富裕層とかに

 超高値でバンバン売れる。


 仕入れ値の100倍で売っているんだが、

 それでも供給がおっつかねえ。


 相変わらず、獣人たちはのんびりしてる。

 俺がもっと作ってくれ、金はいくらでも、と懇願しても

 全然ダメだ。



 ただ、いいこともある。

 この薬の噂を聞きつけて、商売敵が増えてきた。


 そこで、獣人村は出入り業者を制限することになった。

 なんだか、嫌なことが増えたらしい。


 よくわかる。

 獣人のことを知らない連中が、

 差別意識丸出しで突撃してるんだろう。



 で、獣人村は出入り業者の一つに俺を選んでくれた。

 昔から取引してたからな。

 いくら有力な商人や貴族とかがくいこもうとしても、

 奴らは金とか権力とか関係ねえし。


 だから、怒った商人とか貴族とかが

 おかしな人間を雇っているらしい。


 バカな奴らだ。

 獣人の戦闘力をしらんのか。


 案の定、村に手を出して方々で没落してるって噂がでてる。

 没落してる?貴族とか金持ちとかがか?


 獣人達、何をしたんだ。



 戦闘力といえば、獣人達、最近かなり変化してきた。


 まず、外壁が立派になった。

 以前から外壁は立派だったが、もっと立派になった。

 話によると、硬化魔法で固くしてあるし、

 防御魔法とか結界魔法とかもかかっているという。


 獣人って、魔法使えるんだ。

 初めて聞いたぜ。


 そんで、入り口のところで、腕輪をすることになった。

 これがないと、結界魔法に弾かれるらしい。


 確かに、門番の了解を得て腕輪無しで突撃してみたんだが、

 見事に弾き返された。


 かなり強力だな。

 第一は魔物用だが、

 もう一つは欲に駆られた人族を弾くためらしい。


 まあ、納得だな。

 俺だって、そうする。



 嬉しいことはまだある。

 食事。

 とんでもなく美味い。


 特に肉とパン。


 肉はこの国一番だと断言できる。

 深みのある味で、しかも臭みがない。


 昔は鳥系の肉しかなかったが、

 最近は魔豚を出すようになってきた。


 これを小麦粉をつけて揚げたもの。

 最初は断面が赤くて生揚げだと文句言ったんだが、

 それはちゃんと火が通っているから、大丈夫だっていう。

 そういえば、深いピンク色だ。


 おそるおそる食べてみると、これがマジうめえ。

 もの凄くジューシーなんだ。


 また、甘辛いソースが抜群だ。

 これだけ食べるために獣人村に行ってもいいぐらいだ。



 それから、パンだ。

 白くてフワフワパンが普通に出てきやがる。


 このレベルは王室や上位貴族、富裕層が

 高い金を出して食べてるやつだ。


 俺も、一度だけ食べたことがある。


 獣人たちはそのレベルのパンを毎日食ってやがる。

 もうね、移住したいと真剣に思ったよ。


 だけど、移住は断っているらしい。

 村のサイズがパンパンなんだと。


 人族の奴らも以前から住んでるから、差別とかじゃねえ。

 そもそも、獣人は差別をしねえからな。



 他にもあるぞ。

 噂レベルだが、クッキーとか。


 なんと、奴らは砂糖も日常的に使ってやがる。

 砂糖なんて、黄金レベルの値段がついてるぞ。


 他にも様々な便利魔道具とか。

 警備兵が身につけている武器や防具とか。

 金の香りがプンプンしやがる。


 売ってくれっていったんだが、

 売るだけの量がないっていいやがる。


 奴らには商売っ気がまるでねえ。

 まず、自分たちが楽しむのが先決。


 村に住んでる人族の奴らに聞いてみたんだが、

 どうやら箝口令がしかれているらしく、

 滅多にしゃべってくれねえ。


 それはわかる。

 人族が押し寄せてくるのが嫌なんだろうな。

 人族は強欲だからな。

 欲しいものは力を使ってでも奪い取ろうとしやがる。



 あれ、なんだか俺は獣人側みたいだな。


 でも、考えてみると、獣人って容姿は優れているし、

 性格もおとなしい。


 欲張りじゃないし、気のいい奴らばかりだ。

 それでいて、腕力はぴか一だ。


 これって、人族よりも圧倒的に優れてないか。

 なんで、奴らが蔑まされているんだ?



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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