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広がる獣人村の噂

【広がる獣人村の噂】


 獣人村の噂は、

 たまにこの村にやってくる商人から広まった。

 商人たちは、主に獣人村産の薬を買いに来ていた。


 以前から村の薬は評判のいいものであったが、

 ここにきて急速に獣人村の薬の効能が高まった。


 魔石回復薬は売り物にしないが、

 旧来の薬に魔石回復薬を混ぜたものが出回り始めたのだ。



『もっとたくさん売ってくれませんか』


『ムリですよ。材料が限られますから』


 エルランドも村人に魔石回復薬のムリな供給をしていない。


 というか、魔石回復薬は口外しないように

 村人に求めている。

 そんなものが人族の間に知れ渡ったら、大変なことになる。


 獣人たちは基本的には身の回りで使う薬を作るだけだ。

 たまたま余った薬を、村の倉庫に納める。


 村の薬師にしても、村人以外には薬を販売しない。

 村人同様、余剰分を村の倉庫に納入するだけだ。


 納めた一部の薬の余剰分を商人が手に入れる。

 村は儲ける気が一切ない。


 ただ、人族からいくつか日常品を購入するので、

 人族の通貨が必要なのだ。


 それでも、商人たちはなんとか手に入れた薬に

 ホクホクしていた。


 人族の街では、購入価格の100倍以上の価格で

 売ることができるのだ。


 効能が優れているとの評判は

 獣人族の村の周囲の街で急速に広がっていた。


 特に、感染症関連の薬は人族の薬とは別格の効能があり、

 獣人族の薬は、商人には金と同程度の価値があった。



 商人たちには楽しみがもうひとつあった。

 獣人族の料理である。

 人族の料理を遥かに凌駕した料理を食べることができる。


 いずれの料理も驚くものばかりだが、

 最初に驚くのはパンだ。


 白いフワフワパンは見たことがない、というわけではない。

 王族や上位貴族、富裕層市民の間では

 高い金を払ってそういうパンを食べている。


 しかし、獣人族では白いフワフワパンを

 誰でも食べているという。



『この素晴らしいパンをどうしてみんな食べれるんですか』


『と言われても……みんな、白いパンを作れるから、としか』


『この村にレストランがないのも不思議ですね』


『獣人族は身の回りのことを自分たちでする習慣がありますから』


『最近はここを訪れる人族も増えているようですし、レストランを作ってもらうと気兼ねすることなくて助かるんですが』



 商人たちは、食料を自分たちで用意して

 獣人族の村にやってきていた。


 そして、顔なじみになった獣人たちから

 料理を分けてもらうこともあり、

 そうして獣人族の料理を知ったのだ。


 以前の獣人村の料理は人族の料理同様の味であった。

 しかし、ここ最近急速に美味しくなってきた。

 獣人族の料理を食べると嬉しくて

 1日中ごきげんな気分になる。


 最近来始めた商人たちには、

 この村の料理を食べて腰をぬからかす者もいた。


 だとしても、いつも知り合いの獣人の迷惑になるのは

 心苦しい。


 レストランがあれば、遠慮なく料理を楽しむことができる。



『村長、商人たちからレストランを開設してほしいとの要望があるんですが』


『ああ、最近は来客が増えているようですね。料理教室の一角にでももてなしの部屋を作りましょうか』


 ということで、獣人族の村に初めてレストランができた。

 こうなると、獣人たちもレストランを利用したい。


 そこで、獣人達はお祝いごとをするときに

 レストランを利用することになった。


 普段使いをするのは獣人達の習慣に反するからである。

 つまり、身の回りのことをするのは自分でする、

 ということに反するのだ。



『それと、魔道具がやけに多いですね』


『ああ、最近増えましたね。すごく便利になりました』


『魔石はどうしているんでしょうか』


 魔道具の数々も人族でお目にかかれない、

 というものではない。

 

 しかし、高価な魔石を消費するため、

 特権階級以外の人々の手には届かない。


『魔石は魔物を狩って手に入れるのですが』


 まあ、常識的な返答である。

 これについても、エルランドが口止めをしている。


 エルランドが無尽蔵に魔石を作り出していると知れたら、

 どんな騒ぎになるか。



 他にも、この村には商人の目には

 不思議なことが増えてきた。


 村に入るとき、腕輪をつけるようになった。

 昔はフリーパスだったのに。


 この腕輪をつけないと、結界に弾かれるらしい。


 結界魔法を唱える魔導師がいるということだ。

 かなり能力が高いか、たくさん魔導師がいるか、

 どちらかだ。


 しかし、獣人は身体強化に魔力を使うことがあるが、

 いわゆる魔法は使えなかったはずだ。


 ましてや、村を覆うような結界魔法は高度だ。



 このところ、村を警戒する兵士の武器にも変化がある。

 あの腰にぶら下げている棒のようなものはなんだろう。


 それに防具も急速に洗練されてきている。

 昔は獣人たちはあまり防具をつけなかった。

 しかし、今はフル装備だ。


 明らかに、村の防衛力が上がっているんじゃないのか。

 というか、村は明らかに急速に変化している。



ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

励みになりますm(_ _)m

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