魔道具師たち
【魔道具師たち】
魔道具師は、いくつかの村人に発現した。
それならば、かねてから考えていたことが実現できる。
魔道具の量産だ。
『誰が魔道具師になったのですか』
『ルクス、ザイアック、コールの3人だ』
『すぐにでも、魔道具師と打ち合わせしなくっちゃ』
◇
『エルランド、君は凄いスキルを授かっていたんだね』
『スキルを魔石に閉じ込め、解析するスキルだなんて』
『ああ。ひとまず僕の火魔法で試してみよう』
エルランドは火魔法ファイアを魔石に閉じ込めた。
それを解析。
魔法は術式で記述される。
プログラミング言語のようなものだ。
エルランドは解析した術式を記述し、
ルクスたちがそれを魔道具に転写する。
転写は、魔法陣によって行われる。
魔道具師には同時に魔法陣スキルも発現するのだ。
無論、既存の魔法であれば解析がすんでおり、
書物から魔法陣を写し取ることもできる。
しかし、獣人村にはそのような高価な書物はない。
魔法の拙い獣人にはその知識もない。
『おお、チャッカマンの出来上がりだ』
火種にしかならないエルランドの火魔法。
それでも、記念すべきエルランドとルクスたちによる
最初の魔道具だ。
エルランドたちはそれを皮切りに、
次々と魔道具を開発していった。
【生活道具魔道具】
まずは、生活を便利にするものから作成していく。
チャッカマン 火魔法
給水魔道具 水魔法
温水魔道具 水魔法
排水魔道具 水魔法
排泄物分解魔道具 バイオ魔法
温風・冷風魔道具 風魔法
掃除魔道具 風魔法
概ね、エルランドにはそれらの魔法を唱えることができる。
だが、知らない魔法の場合は、
それぞれの魔法を発現している村人を連れてきて解析する。
あとは、ルクスたちの出番だ。
一つ作るのに、10分程度である。
いずれも初級魔法で記述式は複雑ではない。
ルクスたちは、村の希望者全員に作ることにした。
もっとも、希望者は村人全世帯である。
250世帯ほどあり、全ては2週間ほど時間がかかった。
『エルランドはじめ、みんなありがとう』
『これで冷たい水で体を洗わなくてもいいし』
獣人たちには水浴びを習慣があった。
毎日、水浴びをすることで清潔にしているのだが、
さすがに冬などは凍える思いなのだった。
『村から臭いにおいも消えたよね』
獣人たちは馬車を使わない。
荷物引きは自分たちでしたほうが早いからだ。
自分たちの排泄物・廃棄物を処理すれば、
後は異臭を出すものはあまりない。
◇
ここで、エルランドは共同浴場を提案してみた。
温水魔道具によりシャワーは確保していたし、
風呂を設置するものもいたが、共同浴場の風呂は広い。
温水とともに開放感があり、獣人たちに歓迎された。
『人族にもないんじゃない?こんな素晴らしい設備』
『大貴族でも難しいと思うよ。魔石の無駄遣いだから』
エルランドは自分で魔石を作り出すことができる。
だが、一般的には魔物から魔石を獲得する。
もしくは、魔導師が温水を出すことになる。
温水魔法を使える魔導師は一部であり、
そもそも風呂に温水魔法を使うという発想がない。
生活魔法に自分の高尚な魔法を使う。
そのようなことに魔導師たちは耐えられない。
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