エメリの進化①
【エメリの進化】19歳 エメリ11歳
エメリはこの村に来てから見違えるように明るくなった。
獣人たちが黒目黒髪になんの偏見も抱かないことが大きい。
それと、料理教室を通じて村人に頼られることが多い。
エメリは容姿もかなりよく、性格は擦れていないので、
村人もエメリをかわいがってくれる。
そんなある日。
『アンおばさん。わたし、最近不思議なものが見えるの』
『エメリ、それはなんだい?』
『私がかんじる魔力のながれ、前までは透明だったんだけど、最近、色がつくようになったの』
『へえ、私は何色?』
『茶色。ハンスおじさんは赤色。エルランドさんは金色』
アンは驚いて、エルランドとハンスにそのことを報告した。
『それは祝福のときの色でやんすね』
『少なくとも、この3人はそうだよね。もう少しエメリに聞いてみようか』
『エメリ、他の人の色も教えてくれる?』
『うん、いいよ』
ジーナ 紫色
フランカ 赤色
パオロ 紫色
アニエス 茶色
ファーザ 紫色
『獣人は祝福をもらってないけど、魔力に色がついているんだね』
『そういえば、この村にはエメリの気配と似た空気の流れを感じるよね』
『ああ、初めて村に来たときの感想がそれでしたね』
『この村とエメリとは何かの関係があるんだろうか』
『少なくとも、この村の雰囲気がエメリの成長を促したかもしれませんね』
『でさ、この色の違いはなんだと思う?』
『やっぱり、各自の得意なジャンルじゃないでしょうか』
『だよね。僕たちの祝福の色もそうだし』
『うろ覚えなんだけど、祝福の色の違いってどうだっけ』
『あっしもうろ覚えでやんすけど、こういうふうだったと思いやす』
ハンスが言うには、
武術系 赤色
神官系 紫色
僧侶系 水色
後方支援系 緑色
召喚系 黄色
生産系 茶色
特殊系 金色
一般系 白色
『エメリ、あと気づいたことない?』
『武器持ってる人なんだけど、強く光ることがある』
『得意武器に反応してるのかな?』
『あっしでやってみやしょう。弓と剣を持ったときで違いがありやすか』
『弓のほうがずっと強い。剣はあんまり光らない』
『じゃ、アンは包丁とか持ってると光るのかな?』
『うん』
『そっか、職業に代表されるような道具で判別できるかもね』
エメリはさらにとんでもないことをいい始めた。
『あのね、獣人のみんななんだけど、エルランドさんやマルコみたいな黒いかたまりが体にあるのが見える』
『魔力の流れを止めているという?』
『ながれを止めているというか、ながれが悪くなってるかんじ』
『僕たちみたいにその塊を消せる?』
『たぶん、できるよ』
これは大事になってきた。
エメリの新しいスキルは、“祝福”そのものだ。
獣人族の社会そのものを変革してしまう。
黙っているか。
しかし、獣人に新しい可能性が開かれたいま、黙っているわけにはいかない。
では、誰に相談するか。
『マザー、ちょっと相談事があって参りました』
エルランドたちは検討した結果、新人類教会のファーザに相談することにした。
これが人族ならば決して口外はしないが、獣人族は人が素朴だ。
中でもファーザは知的で人品が卑しくない。
『ほう、私どもの魔力の流れを悪くするものが体の中にあると』
『ええ』
『そして、エメリはそれを消すことができると』
『はい。おそらく、皆さんの本当の姿が現れるんじゃないかと思います』
『うーむ。それはまるで“祝福”ではないですか。事が大変すぎて、私一人ではもて余すお話ですね。少しお時間をいただけますか。村の信用できる方々と相談してみます』
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