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獣人族の村①

【獣人族の村①】17歳秋~


 国境近くの道を馬車で通っているときのことだ。

 数名が獣に襲われている場面に出くわした。


『ガルム』


 即効でガルム軍団が獣に襲いかかり、

 獣は彼らの昼食になった。



 襲われていた者たちは。


 彼らは頭にいわゆる猫耳がある。獣人族だ。

 2名が重傷。二人共女性だ。

 残りの一人は残念ながら事切れていた。


 エルランドは魔石回復薬を取り出し、応急手当を行った。


 重症者の一人は足が取れかかっていたが、欠損状態を回復。

 もう一人は腹を食い破られていて非常に危険であったが、

 これも怪我をした直後であったため、

 みるみるうちに傷口がふさがっていった。


 エルランドの魔石回復薬は特に怪我に対して即効性がある。

 しかし、万能ではない。


 今回の例だと、1時間もほっておくと、

 治りがかなり悪くなる。

 そのまま死んでしまっても不思議ではない。

 いかに早期に治療するかがポイントの一つだ。



『大丈夫ですか?』


 エルランドは傷のふさがった女性に声を掛けた。


『助けていただいたのですね。本当にありがとうございます』


 そう答えるが、血を大量に失っているためか、目が朧だ。

 とりあえず、彼女たちを馬車にそっと運んで

 そこで回復を待つことにした。


 1時間もすると、顔色も良くなってきた。



『本当にありがとうございます。お陰様で元気になってきました』


『遅くなりましたが、私は獣人村のジーナと申します』


『私はジーナ様の護衛、フランカです』


『キースはダメだったようですね』


『男性のことですか。僕たちが来たときにはもう』


『そうですか……でも、私どもの傷も死んでもおかしくないものでした。普通の回復薬ではなかなか追いつかないと思うのですが、特別の薬を使っていただいたのでしょうか』


『自家製の薬です。値段の高いものではありませんから、お気になさらず』


『いえ、そういうわけには参りません。ぜひともお礼がしたいので、私どもの村に来ていただけませんか。あと、誠に申し訳ないのですが、死んだ仲間も』


 いずれにせよ、彼女たちはしっかり歩けるほどではない。

 エルランドたちは送りがてら彼女たちの村に向かった。



 そこに、地面に潜んでいたガルムが姿を現した。


『ブラック・ハウンド様!』


 二人の獣人はガルムを見るなりそう叫んでひれ伏した。


『ねえねえ、どうしたの。ブラック・ハウンドって?』


『獣人族の村に伝わる伝説の黒いお犬様です。獣人族の守り神とされています』


 ひれ伏しながら、ジーナがそう説明する。


『ガルム、どうする?守り神だって』


『ワフウ?』


 ガルムは不思議そうな顔をしている。

 ガルムがブラック・ハウンドであるかはともかく、

 確かにガルムは規格外だ。


 身体能力の高さ。レアなスキル。ヘルハウンド軍団の統率。

 特別な犬であることは明らかだ。



『一応、ガルムの本当のサイズを見せるね。ガルム』


 ガルムは普段は通常の大型犬程度のサイズである。

 体調が1m弱といったところか。

 本当のサイズは体長2m前後ある。


『ああ、やはりブラック・ハウンド様。伝承通りです』



『私はアンヌ。こちらは、エルランド様と私の夫のハンス。それからエメリ、こちらにきてご挨拶なさい』


 アンヌは二人を介抱しつつ、エメリにそう呼びかける。

 エメリはしばらくもじもじしていたが、

 意を決すると前に出て挨拶をした。


『は、はじめまして。エメリといいます……』


『ああ、なんて可愛い子なの!わたしはジーナよ。よろしくね』


『本当だ。お人形さんみたいだ。わたしはフランカだ。よろしく』


『エメリ、かわいいお人形さんみたいだって』


『えへへ』


 エメリは照れながらも嬉しそうだ。

 誕生日のときに見せた影のある喜びとは違う。


 アンヌが言うには、


『虐げられてきたから、エメリは自分に自信がないのでしょう。そこに全くの他人である彼女たちから褒められたものだから、少し自分に自信がついたのかもしれません』



『エメリちゃん、こっちにいらっしゃい』


 ニコニコ顔でジーナがエメリを呼ぶ。

 エメリは躊躇していたが、ジーナの隣に座った。


『へー、他人に懐いた姿初めて見た』


『えー、そうなの?でも、これからはお友達よ』


 ジーナはそういいつつ、エメリを膝の上に乗せた。


『ジーナ、おまえだけずるいぞ』


 フランカも膝のせに参戦してきた。

 エメリは嬉しそうだ。


『ジーナさんもフランカさんもいい匂いがする』


『ああ、獣人からは種族特有の香りが出るのよ』


『獣人?』


『見たことないのかな?ほら』


 といって、ジーナは猫耳を見せた。


『これって飾りじゃないの?』


『通称猫耳。人族と獣人とでは耳の位置や形が違うのよ』


『へー』


 エルランドも獣人は初めてなので、

 興味深く彼女たちの会話を聞いていた。




ブックマーク、ポイント、感想、大変ありがとうございます。

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