実家からの問い合わせ
【実家からの問い合わせ】17歳春~
『坊ちゃま、ご実家のほうからエメリについて説明せよとのことです』
『エメリの容姿か』
『ええ。どうやらこの家の周囲の住民に不安が広がっているとのこと』
『エメリなんて滅多に外に出ないのに』
『坊ちゃま、田舎になるほど目が厳しくなるものです。ましてや、坊ちゃまは領主につながるもの。ちょっとしたことでも針小棒大に広がります』
『わかった。しかし、どう報告すればいいやら』
エルランドは一晩考え、ある決意を持って実家に向かった。
『久しぶりだな、エルランド。元気にやってるか』
『はい、アン夫婦とガルムも元気です。父上もご壮健のようで何よりです』
『エルランド、おまえ、両目が青いではないか』
『はい』
『そうか。魔力が発現したか……』
『父上、私の処遇については決定事項です。後継者は剣聖である弟です。私は武術も魔法も拙いままです』
『そうか……。で、本日おまえを呼び出した理由は聞いてるな?』
『はい。私達が面倒を見ている子供、エメリのことですね』
『うむ。お前たちがエメリを慈しんでいるのはアンから聞いている。だが、付近の住民から声が上がっておる』
『黒目黒髪ゆえですか』
『そうだ』
『父上、彼女は……』
『エルランド、お前は黒目黒髪がどれだけ領民に不安を与えているか、理解していない。お前たちが彼女を大切にしているのはわかっている。だが、敢えていう。彼女はこのままにはできない。養護施設はどうか?』
『父上、せっかくですがそれはお受けするわけには参りません』
『強情を張るな』
『彼女は私と同じです。いわば、捨てられた存在。彼女を見捨てるのは、正しく私自身を見捨てるのと同じです』
『……』
『父上、こうしましょう。私は彼女を連れてこの領地から、ひょっとしたらこの国から出ていきます』
『待て、エルランド』
『いや、彼女のことだけではありません。詳細は述べられませんが、私には目標ができました』
『それはお前の目が両方とも青くなったことと関係があるのか?』
『そうです。私にはようやく未来が見えてきました。それに、私がこの領地にいると混乱が起こるかもしれませんし、私は不自由なままでいたくありません。ですから、修行に出たいと思います』
『修行か……エルランド、無力な父を許せ。必要な路銀は遠慮なく言いなさい』
『ありがとうございます。ただ、私は金銭的な不安がなくなりました。というか、私を救ってくれたのはエメリです。そのことについて、将来お話できるかもしれませんが、今はこのまま旅立とうと思います』
『うむ』
『父上、旅立つ前に、現在の私のスキルの一部をお見せします。使用方法は紙に書いてきました。どうか、お使いください』
エルランドは、魔法弓、短魔法弓、魔法剣、魔法盾、魔石を
机の上においた。
『使っていただければ、これらの有用性はきっとご理解いただけるものと思います。旅先からも便りとともに新たな成果をお届けします。それではご自愛下さい』
◇
◇
『アンとハンス。そういうわけで、僕はエメリとガルムを連れて旅に出るよ』
『坊ちゃま、それなら私達も』
『そうですぜ、水臭い。アッシらもついていきますわ』
『そうか。実は不安だったんだ。ついてきてくれると、とても助かる』
『じゃあ、みんな準備はいいか』
『この馬車、よく見るとかなり質の高いものですね』
『うん。父からの贈り物だ。派手さは抑えてあるけど、長距離旅行に向いた馬車らしい。じゃあ、いこうか』
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