必殺技は『カプ』
ある日、私の部隊に任務が下る。それは、ある高貴なお方と皇女殿下一行を首都まで送る事だった。私は、皇女殿下が高貴なお方なのではと疑問を抱くが、そこは宮仕えの悲しさ、尋ねられない。
そして、私が女上司から呼ばれると、そこには、皇女殿下と宮廷の幹部が揃っており、少し遅れて可愛らしい男の子が現れる。彼が高貴なお方らしい。
「こちらは、飛竜部隊隊長のジーナです。私達を首都まで送ってくれます」
皇女殿下自ら、私を紹介する事に驚きました。
その後、私は彼らを飛竜の厩舎へと案内します。
「この子は、私のパートナーのペスです」
私は厩舎へ着くや否や、彼らに相棒を紹介する。
そして、彼がペスに近付き、彼女の顔をなでる。
カプッ。
ペスが彼の上半身をくわえる。私は血の気が引いていく。
「「「きゃぁー」」」
皇女殿下達の悲鳴が木霊する。
「ペス、変な物を食べてはいけません! お腹を壊しますよ!」
「ペス、ダメですわ。ペッしなさい! ペッ!」
「ペス、早く吐き出しなさい! その人は危険なんですよ!」
「ペス、いいですか、その人は見境のない変態なんです。そんなスケベな者を食べたら、変な病気がうつりますよ!」
私は気が動転して、彼に失礼な言葉を浴びせてしまった。しかし、女上司、皇女殿下も失礼な言葉を浴びせている。特に女魔導士様は、失礼どころか、彼を病原菌扱いしている。
ペスが彼を開放する。彼の身体は唾液まみれでツンと鼻を刺す臭いをさせている。
彼はペスには怒らず、女魔導士様の腰へとしがみつく。
「ペス! カプ!」
カプッ。
「ぎゃぁー」
彼女は上半身をくわえられる。それは、とてもシュールでした。
「ペス! ペッ!」
ペスがペッと彼女を吐き出す。彼女は唾液まみれで、泣き崩れる。
「ペスは、私のパートナーなのに……」
私は肩を落としてうなだれます。
女魔導士様が不公平だと告げ、彼を納得させる。すると、彼は女上司と皇女殿下を指差す。
「ペス! カプ!」
ペスは翼をはばたかせて、二人を追う。
カプッ。
「ひゃぁー」
皇女殿下がカプられ、口の中でモニュモニュされる。
ペッ。
彼女は吐き出され、ピクリとも動かない。
そして、ペスは次の獲物へと向かう。上空から女上司の背後へと忍び寄る。
カプッ。
「「おおぉー」」
彼らは、その芸術的なカプに賞賛と拍手を送る。
ペッ。
彼女は吐き出され、その場で泣き崩れる。
この一件で、『カプ』はペスの必殺技とされ、国内外を問わず広まりました。