表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

アーサー

 がたんと揺れた馬車の中で、貴女は目を覚ました。

 (う……ん、何?)

 何時の間にか眠っていたようだ。

 (いや、寝てたっていうか、さっき、オレは……)

 貴女の手には村を出るときに両親が持たせてくれた、『木の棒』がしっかりと握りしめられている。

『しっかりやるんだよ』

 そういって『木の棒』を渡してくれたときのことを思い出した貴女は、少しくすぐったい気持ちになった。

 (いやいやいや、上京する子供への餞別が木の棒って何よ?嫌がらせか)


 ふと貴女はこちらをじっと見つめている青年に気が付く。

 商人らしい服装の軟派な感じの青年は、よく目立つ水色の髪をしていた。

 彼は貴女と目が合うと、その垂れ目がちな金の瞳で、パチンとウィンクして見せた。

 (うげぇ、あれ、コイツどこかで見たことあるな)

 突然のことにどぎまぎしていると、(いや、別にしてねーよ)彼は窓の外を指差した。


「外で何かあったみたいだぜ、見に行かないか?」

 (だが断る)

 そういうと彼は貴女の手を引いて、馬車の外へと飛び出していった。

 (いや、断るっていっただろ。だいたい、上京したての女の子が一番着いて行っちゃいけないタイプだろ、アイツは!)


 外に出るとスライムの親子が道を塞いでいた。

 (スライムの、親子?)

「なあアンタ、その制服、学園の生徒だろ?ちょっと人助け、していこーぜ」

 (ん?この制服は……)

 彼は短剣を構えるとスライムの親子に向かっていった。

 (このシーン、どっかで見たような)

 貴女も緊張した面持ちで『木の棒』を構えると、彼の後を追った。

 (ちょっと待て!)


 戦闘の説明をします

 (いきなりなんだよ?)

 モンスターとエンカウントして戦闘が始まると、貴女の固有スキル『ヒロイン』が発動します。

 (ヒロインってスキルだっけか?)

 『ヒロイン』が発動するとモンスターは魅了され、貴女に攻撃できなくなります。

 (それって、こっちが一方的に殴り放題ってことか?)

 

 では攻撃してみましょう。

 まず、ダイスを振ってください。

 (はい?ダイス?ああ、画面の端っこでくるくるしてるヤツか)

 貴女の攻撃力は、力のパラメーター値と武器の攻撃力、ダイスの合計値を足したものになります。

 ダイスの目が7で揃った。

 おめでとうございます。クリティカルヒットです。

 (……)


 ダイスが同じ目で揃うとクリティカルヒットが発生します。

 クリティカルヒットが発生すると様々な効果が得られます。

 この場合は、貴女の力『1』と『木の棒』の攻撃力『1』の合計『2』が100倍になり、更にあなたのレベルが『1』上がります。

 レベルが上がるとパラメーターが初期値に準じて上がっていきます。

 スライムに200のダメージが入った。

 スライムを倒した。


 さあ、この調子で残りのスライムも倒してしまいましょう!

 (ああ、うん、分かった。これはオレが悪い。餞別が木の棒なの、オレのせいだわ)

 

 ふたりの活躍によってスライムは退治されました。

 (つまりアレだろ、ここは、『茨の月と宵闇の少女』の世界)


 (じゃあ、オレは、死んだ……のか?)


「アンタ、意外とやるじゃないか!おかげで助かったよ」

 彼は笑顔で貴女を振り返ると、一瞬驚いたような顔をした。

 

 固有スキル『ヒロイン』について説明します。

 (なあ、オレさ、今ショック受けてるとこなんだけど……)


 固有スキル『ヒロイン』はパッシブスキルです。

 常時、周囲に『魅了(小)』の効果を与えています。

 更に、運のパラメーターが100を超えると、低確率で目が合った相手に『誘惑』の効果を与えます。

 (はい?なにその痴漢のおっさんのいい訳みたいな効果は!)


 (いや、ちょっと待て。確かさっき……)


「そういえば、まだ名前、訊いてなかったな」

 彼は貴女にはにかんだ笑顔を向けてきた。

 (おい、なんか悪寒がするんだけど!)


「オレはアーサー。アンタは?」

「私は柚月です」

「柚月か。いい名前だな」

 そういって彼、アーサーは指で貴女の乱れた髪を梳いた。

 

 (待て、落ち着け、なに『誘惑』されてんだ!)

 

 (早く、早く正気に戻るんだアーサー)


 (あと名前変えさせてくれぇ!)


 (アネキの名前で呼ばれるのはいやだぁぁぁああ!)

 






 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ