怪しい男達
「ねえ君、ちょっとオジサンの話聞いていかないかい」
コンビニの帰り道。
懐に肉まんを抱えたオレは、不審者に絡まれていた。
「ウチのボスがちょっと困っているんだよね」
どっちかっていうと困ってるのはオレの方。
黒のスーツにコート、サングラスのガタイのいい男ふたりに壁際に追い詰められたら誰だって怖いだろ?
「とあるゲームで魔王を倒さなくちゃいけないんだけどね、不具合が見つかったんだよ」
そ、そういう時は運営に報告してくれ。
何でオレに言うの?
「ああ、俺たちその運営の人」
はい?
「なんだけどさ、修正するのが難しいんだよね、これが」
はあ。
「で、ボスが怒って直接ゲームの世界に行って魔王を倒してこいっていうのよ」
む、無理だろ?
「そう思うだろ?けど、出来るんだよねぇ」
へ?
目の前の黒服が懐から拳銃を取り出した。
「は?……え?……ほ、本物?」
男はさあどうだろうねぇと、楽しげにオレの額に銃口を突きつけた。
冷たい感触に息が上がって身体が震えてくる。
いったいオレの身に何が起こっているんだ。
「君さ、ゲームの世界に転生してさ、ちゃちゃっと魔王、倒してきてよ」
転、生……って。
それってつまり、うわ、ヤバイのに捉まった!
「そう、転生。理解できたみたいだね」
「それじゃ、頼んだよ?」
瞬間、震える足を叱咤して駆け出したオレの身体に、衝撃が響いた。
真っ白な無音の空間に投げ出されたオレは、そのままどこまでも、落ちていった。




