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未来の王妃

 冒険者ギルドからの帰り道、オレはいまだかつてない危機に陥っている。

 

 事の発端はこうだ。

 ダンジョンでのレベル上げをつつがなく終了して、僅かばかりの報酬を胸に帰途につこうとしていたオレは、ギルドの前で王子一行に出くわしたのだ。


 恐らくは冒険者ギルドに用があったのだろうが、そんなことはどうでもいい。

 王子出現で往来が人混みで凄かったのも、まあ、しかたがない。

 だが、オレが王子一行に会釈して通り過ぎようとした瞬間に突風が起こったのは、何者かの悪意を感じずにはいられない。


 そう、人通りの多い往来で、なぜかオレのスカートだけが後光をさして捲れ上がったのだ。


 ……。

 …………。

 泣いていいか?


 さっきまで王子に注目していた通行人のモブたちが、一斉にオレを注視している。

 オレをというか、オレがとっさに抑えたスカートを、だ。

 キモイ、だがそれ以上に怖い。

 

 ふざけんな、お前ら、こんな色気のかけらもねぇ下着見て興奮してんじゃねぇよ!

 わきあがる恐怖を誤魔化す為に声を出さずに悪態を吐く。

 

 頭の中が真っ白になった。

 何が起こった?

 何でこうなった?

 リセットボタンはどこだ?


 リセットボタン……?

 こうなった原因。

 

 ……オレに、心当たりがある。


 ついさっき、オレはレベルアップした。

 そして、パラメーターアップと共に『ヒロイン』の効果が増えた。


 柚月 Lv5 属性 闇

 

 体力   5

 知力   5

 力    5

 素早さ  5

 器用さ  5

 運  275


 魔法 シャドウアロー  

     エネミー一体に影の矢を放つ 属性 闇


 固有スキル ヒロイン

       

  効果 

   魅了 エンカウント時にエネミーを魅了して行動不能にする

      常時、周囲に『魅了(小)』

   誘惑 低確率で目が合った相手に『誘惑』

      攻略キャラが近くにいるときに、低確率で『誘惑イベント』発生

 

 称号 物憂げな美少女


 魔法を覚えて浮かれている場合じゃなかった。

 『誘惑イベント』ってなんだよ。

 風でスカートが捲くれるのは事故であって誘惑ではない。断じて!

 最悪だ。

 そして最低だ。

 このゲーム作ったヤツはとんでもないクズだ。

 うん……知ってた。


 そうだ、自分の勝手な都合で人を殺すようなヤツが、まともなわけない。

 事故でしかない出来事を『誘惑』だなんて設定でイベントにしてるんだ。

 『ヒロイン』なんて聞こえの良いことをいっているが、これは、呪い以外のなんでもない。


 あの黒服共、今度会ったらただじゃおかねぇ!

 首洗って待ってろよ。

 まぁ、会えれば……だが。


 沸沸と高まっていく怒りに震えていると、ふわりと柔らかい布が頭から被せられた。

「こちらにいらっしゃい」

 凛とした声と共に清涼感のある花の香りに包まれた。

 声の主は状況についていけないオレの手を掴むと、颯爽と人混みの中を進んでいく。

 オレの視界の中で、鮮やかな深紅の巻き毛が踊っていた。


 気が付くとオレは、豪奢な馬車の中で勧められるがままに紅茶を飲んでいた。

 傍らにはオレと同じ制服の気品のある少女が優雅に腰掛けている。

 透けるような白い肌、きりりとした緑の瞳、頭の上で緑のリボンで束ねられた、見事なまでの長い赤い巻き毛。

 ユリウス王子の婚約者の公爵令嬢、カトリーヌ、王子ルートのライバルキャラだ。


 予定よりもだいぶ早いライバル令嬢との出会いに、オレの不安は加速していった。

 

 

 

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