全ての風に小さな勇気を乗せて
桜の花びらを踏みしめながら
握り締めた右掌を開いて、
小さな勇気を転がした
温かな春風のようにあなたを包み込みたい
硝子製のその勇気は、
カラコロと弾んで、砂浜に放物線を描き、
光を反射して地面を波打たせる
爽やかな夏風のようにあなたの心を軽くしたい
硝子玉は、ゆるゆると流れて、
枯葉を掻き分け、
金木犀の香りを燻らせる
落葉の舞う秋風のようにあなたを喜ばせたい
一陣の風が、硝子玉を貫いた
硝子玉は、雪原の上に、
小さな勇気の跡を残して
溶けてゆく
粉雪の散りばめられた冬風のようにあなたを輝かせたい
私は、
微風のようにあなたのそばにいたい
私は、
全ての風のようにあなたの背中を押したい