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魔王と勇者に憧れた者  作者: ヨベ キラセス
一部 魔約編
9/40

魔王の娘 2

「……ん?」

そこで俺はふと何か引っかかって、落ち葉をはらう箒の手を止めた。そしてアイツの名前を復唱する。

「マオ…マオ……マオ……なんか引っかかるな」

その名前をどこかで聞いた気がする。だが思い出せない。

マオ……マオ……マオ? 俺は何かを忘れている。



………俺の…せいだ…



ノイズのようなものが走る。やっぱり何か引っかかる。俺は確かその名前を、どこかで、身近に––––


「…んで、どうするよ?」


しかしその思考はすぐに断ち切られ、俺は半開きの扉を見つけた。そこから小さいが、確かに声が聞こえる。

気にする必要はないはずだが、俺はその扉の横に立ち、耳を済ませた。


「……だから、あの魔王の娘ですよ兄貴!」


なるほど下克上か。俺はよくあるトップ争いについてだと考え、関係ないと持ち場に戻ろうとした。


「ああ、『マオ』様なら策はある」


足が止まって俺は振り返る。あいつ、今なんて言った?

俺は再び壁越しから声を拾う。

「確かに魔王の娘なだけあって力はあるがな」

なんだよ、あいつ超お偉い様の娘かよ!? 俺は今までの言動に流石に目眩がしてしまった。

いや、死刑とかは願ったりだけど、ほら、ここで言う娘って、もはや《王女》じゃん。奴隷が王女にタメ張ったって、もう目眩だけでも軽すぎるよまじで。

そりゃ俺のこと知らなくても仕方ない。確かおっさん曰く「半年近く引きこもり」だから。てかその引きこもり王女が出てくるとか、そして俺の前に来るとか普通考えないだろ? 俺間違ってないし、あいつが正せばよかったんだろ?

頭を抱え、俺は今後どう会話しようか考えていた。いや、もう会うべきじゃないよな?


「––––だから、身篭らせて喰うんだよ」


「……は?」

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