叫びたい言葉は…… 1
「……」
今日も外で隠れて肉を焼く。だが、いつもは匂いでやってくるはずの犬が来なかった。
「……ま、いっか」
と肉を食いながら思うが、ここしばらくマオと犬が近くにいたこともあってか、すごく今、静かだった。
「……うめ」
ボソッと呟いて食べるが、空があまりに暗く、なんとなく嫌な予感を体現しているもんだから、
「……クソッ!」
俺は骨を投げ捨て駆け出していた。
朝方はあまり城を彷徨く奴はいない。そもそも魔族は寝なくてもよかったり、あるいは夜に活動して朝昼は寝る種族だ。マオは混血だから寝る時が多い。
俺は廊下をかける。あまりに静かなその廊下を。普段よりも静かな、長い廊下を。
そして、それは目の前に現れた。
「…いぬ」
そう呟いた時、何かに噛み付いていた犬は俺を見て咥えたものを離した。
ボトッと落ちたそれは、たまに徘徊していた警護のゴブリンの首だった。
そして同時、犬は俺を獲物として見る目だと理解した。
「こ、の!」
飛び付いてきた犬を俺は、いくつかに最近設置して用具入れの中から箒を取って口に挟ませて、押し倒されながらも堪える。
「おい、しっかりしろ!」
正気じゃない犬は、俺を食おうとする。
どうしてが俺は、こいつに食われたくないと思って、苦しくも犬を蹴り飛ばした。
箒を構え直す。
「……やっぱり、違うよな」
その意味は、犬の目を見てわかった。
泣いていた。涙がパタっと落ちていた。
「……助けてやるから。絶対助けてやるから!!」
俺は何のために隠し持っていた小麦粉を天井に投げ、弾け、視界を眩ませた。




